"タダ宿の代償" 第3話
敦子はわず携帯話を握り直した。これまで自分が払ってきた教育費や援助を、息子に恩として返してほしいとはっていなかった。けれどなくとも、母親のを使うなら、その母親がどれだけ負担するかくらい考えてほしかった。
さらに数、織から届いたメッセージが敦子の気持ちを決定にやした。「観、お留守番をお願いしてもいいですか? 荷物と買ったものをに置いていくので」とかれていた。そのには「お母さん、もより遅いって輔から聞いたので、緒に回ると疲れるとうんです」と続いている。
確かに敦子は、数から膝に軽い痛みがある。歩けば休憩が必になることはあるが、常活に支障があるほどではなく、旅にけないわけでもない。それなのに、自分は最初から観の数に含まれていなかったのだとり、敦子は初めてはっきりと傷ついた。
夜になって正弘に相談すると、夫は聞を畳みながら「まあ、輔も久しぶりに来るんだし、泊めてやればいいじゃないか」と軽く答えた。敦子が「10よ。事も布団も全部私が準備するのよ」と言っても、正弘は「料理は敦子の方がいし、孫にも会えるだろ」と笑っている。
「あなたは何もしないから、そんな簡単に言えるのよ」
わずい言葉がると、正弘は驚いた顔をした。
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敦子はそれ以何も言わず、リビングをて寝へ向かったが、胸のではい押さえてきたものが静かに膨らみ始めていた。
族だから。
息子だから。
孫がいるから。
その言葉を理由に、自分はどこまでし続けるつもりなのだろう。
敦子はまだ、その答えをせずにいた。
旅までとなった夕方、敦子は輔へ話をかけた。到着予定刻との台数、それから寝具をどこまで準備すればいいのか、最に確認しておこうとったからだった。自分のに満があることは分かっていたが、この点ではまだ、無理をしてでも受け入れるつもりでいた。
「夜8くらいには着くとう。速混んでたら遅れるかも」
「夕は途でべてくるの?」
「いや、着いてからでいいよ。母さん何か作っといて」
敦子はさく息を吐いた。「分かった」と答えた直、輔が「あ、ちょっと待って」と言い、話から顔をした気配がした。どうやらくに織がいたらしく、の会話がそのまま受話器を通して聞こえてきた。
「ホテル、本当に取らなくて丈夫なの?」
織の声だった。
「丈夫だって。母さんの使えばタダじゃん」
輔が笑って答えた。
敦子の指が止まった。話がつながったままだとは気づいていないらしく、そのまま慮のない会話を続けていた。
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「でも10よ。普通だったら宿代だけで結構するよね」
「だから得なんだって。連休でホテルいし、全部で10万以浮くんじゃない?」
「お母さん、本当に何でもしてくれるね」
織が笑った。
「昔からそうなんだよ。頼めば断らないから」
敦子は何も言えず、携帯話をへ当てたまま座っていた。自分がこれまで輔の頼みを断らなかったのは、息子を甘やかしたかったからではない。自分が苦労した分、子どもにはしでも楽をさせてやりたいとったからだった。
「正直、お母さんってちょろいよね」
織のその言に、敦子の胸の奥で何かが音をてて崩れた。
輔は否定しなかった。それどころか「まあ、そういうとこあるな」と笑い、「今回も留守番させとけばいいし」と続けた。敦子は自分の呼吸がし速くなっていることに気づき、震えるをもう片方ので押さえた。
「緒に観するって言われたら困るけどね。遅いし、こっちも気を遣うでしょう」
「それは丈夫。母さんにはにいてもらうって言ってあるから」
「それなら助かる。帰ったにご飯もできてるしね」
織は楽しそうだった。そこには、64歳の女性が10分の布団をえ、事を作り、片づけをすることへの像が切ないように聞こえた。
さらに織は、「うちの両親には、向こうのは輔の実だから自由に使えるって言ってある」
と話した。輔も「どうせ将来は俺がもらうだし」
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