"義母ATM、ハワイへ消ゆ" 第7話
私は努めて丁寧に答えた。「どういうことと言われましても、私ども夫婦は末始に旅へ来ているだけです」と説した。修は「15もあなたのを訪ねているんですよ」と言ったが、その言い方自体が、まるで私に責任があるようだった。
「奥様から、親族のには名でないと満しない方もいらっしゃると伺いました。元護師の庶民が作る料理では、おにわないでしょうから」
私がそう言うと、修は何か言い返そうとして詰まった。隣で聞いていた夫は、肩を震わせながら窓のを見ている。私はさらに「せっかくですから、皆さんのお柄にふさわしいホテルやレストランをお使いになった方がよろしいといます」と続けた。
「ふざけないでください。今すぐ帰ってきなさい」
命令するような声だった。
私は静かに答えた。
「無理です。キャンセルできない旅ですし、110まで帰りません」
話の向こうで騒ぎが起きた。歩美が父親に何か説し、別の女性の声も聞こえ、子供が「寒い」と訴えている。そこへようやく正也が話を代わった。
「母さん、お願いだから帰ってきてくれよ。みんなもうのにいるんだよ」
息子の声を聞いた瞬、胸がしだけ痛んだ。何も守ってきた子供の声だから、どんなに腹がっていても完全にのようには聞けない。
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それでも私は、ここで戻れば何も変わらないことも分かっていた。
「正也、あなたは私に言ったでしょう。37も働いてきたんだから貯はあるって」
「それは……」
「それから、2500万円以援助したことも、私が勝にしたことだって言ったわね。だから今度は、その貯を私が勝に使うことにしたの」
正也は黙った。
私は78万円でハワイ旅を予約したことを伝えた。すると「そんな」と驚かれたので、「あなたたちをもてなす150万円よりずっといわ」と返した。夫が横でさく頷いていた。
「母さん、そんな言い方しなくても……」
「正也。私、本当にあなたたちのATMだったの?」
核を尋ねると、息子は慌てて否定した。「そんなことってない」と言ったが、その直、歩美が何か叫ぶ声が聞こえた。私はスマートフォンに保してあるInstagramのスクリーンショットをいした。
「歩美さんはいていたわよ。『義母からまた援助ゲット』『ちょろすぎ』『ATMみたい』って」
沈黙が落ちた。
今度は。
誰もすぐに話さなかった。
正也がさな声で「それ、見たの」と呟いたことで、私はつだけ分かった。驚いたのは投稿の内容ではなく、私が見たことだった。つまりなくとも、歩美が私を馬鹿にするような投稿をしていることを、彼は完全にはらなかったとしても、像できないほどではなかったのだ。
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搭乗始をらせるアナウンスが流れた。
夫が計を指した。
私は最に「ホテルを探しなさい。子供たちを寒いところに置いておかないで」と伝えた。それから正也が「待って」と言うのを聞きながら、静かに通話を切った。
すぐにまた着信した。
歩美。
正也。
神崎澄。
らない番号。
何度も画面がった。
私は通だけLINEを送った。
〈のは宿泊施設ではありません。隣の迷惑になりますので、滞せず、宿泊先を探してください。良いお正を。〉
送信すると。
私は源を切った。
そして。
夫と緒に搭乗へ向かった。
が滑をれた瞬、私は胸の奥に残っていたいものまで本へ置いてきたような気がした。窓ので建物がさくなり、のへる頃には、さっきまで鳴り続けていたスマートフォンのこともい来事のようにじられた。夫は内のメニューを眺めながら、「正になんて、結婚して初めてだな」と嬉しそうに笑った。
考えてみれば、私たち夫婦は旅らしい旅をほとんどしてこなかった。子供がさい頃は教育費を優先し、正也が独したは老のために貯し、孫ができてからは「この子たちに使ってやりたい」と援助を始めた。もおもあったはずなのに、自分たちのために使う理由を作らなかった。
ホノルルに着いた翌朝、私たちはワイキキのが見えるカフェに入った。テラス席には柔らかなが吹き、くでは波の音が聞こえている。
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