"義母ATM、ハワイへ消ゆ" 第8話
本なら今頃、私は15分の朝を準備していたはずだとうと、目ののコーヒーのりさえ特別なものにじられた。
「みち子、顔つきが違うよ」
夫にそう言われ、私は「どんな顔?」と聞いた。「仕事を辞めたの夜みたいな顔」と答えられ、で笑った。退職したも私は、翌朝から何をすればいいのか分からないほどく仕事にきていた。
正当の朝、本との差を考えながらスマートフォンの源を入れた。通欄には、数え切れないほどの着信履歴とメッセージが並んでいた。正也だけで50件く、歩美からはさらにく届いており、には「訴える」「子供がかわいそう」「親として最」といった言葉まであった。
私はつもかず、通を消した。
ただし、静さんから届いていたメッセージだけはいた。そこには「あけましておめでとう。ハワイ楽しんでる?」という挨拶のあと、「そっちは気にしない方がいいとうけど、応らせておくね」とかれていた。
どうやら29、のに15が集まったことで所が騒然となったらしい。型の2台が沿いにまり、荷物を持ったと子供が玄関で言い争っていたため、隣民が何事かとへてきた。正也たちは慌ててそのをれたものの、末で15が度に泊まれる宿は簡単には見つからなかったという。
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最終には何組かに分かれて、空きのあったビジネスホテルや駅かられた宿を確保したようだった。すべて同じホテルには入れず、親戚同士が別々に移することになったらしい。事も歩美が自していた黒毛牛や伊勢老ではなく、初は移の途で買った弁当やファミリーレストランになったと聞いた。
私はそれを読んでも、特に愉とはわなかった。ただ、「自分で予約し、自分で支払えば済むことだったのだ」と改めてじただけだった。私に押しつけようとしていた費用と労力を、彼らが自分たちで負担することになったにすぎない。
さらに翌、静さんから別のらせが届いた。歩美のInstagramが炎しているという。私は事が分からず首を傾げたが、どうやら緒に来た親戚のが、今回の旅が「から正式に招待されたもの」ではなく、歩美が勝に話をめていたことをったらしい。
親戚のには、私が宿泊費も費も負担する予定だとらなかったもいた。歩美から「義母がぜひ全員で来てほしいと言っている」「旅館みたいに広いから丈夫」「費用は全部向こうが持つ」と聞かされ、招待を断る方が失礼だとって参加した庭まであったという。
その親戚のが歩美のSNSを見つけた。
〈義母をこき使う計画〉
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〈ただ働き最〉
〈ATMみたい〉
それまで冗談として友たちだけに見せていた言葉が、今度は自分の親族の目に触れた。しかも「義母がんで招待してくれた」と聞かされていた親戚にとって、それは笑える内容ではなかった。
歩美の従妹だという女性から、私のLINEへ直接メッセージまで届いた。
〈突然ご連絡して申し訳ありません。私は歩美さんから、さんご夫婦が私たちを正式に招待してくださったと聞いていました。こんな事だとはりませんでした。本当に申し訳ありません〉
私はその文章を何度も読んだ。15全員が同じ考えだったわけではないと分かり、しだけ救われた気がした。問題だったのは数そのものより、歩美とその両親、そして正也が、私のをしないものとして扱っていたことなのだ。
そのの夕方、夫と辺を散歩した。夕陽に照らされた面を見ながら、私は「もしあの従妹さんたちも全部同じようなだったら、もっと嫌な気持ちになっていたかも」と話した。夫は「、15もいれば15通りだよ」と言い、私の歩幅にわせてゆっくり歩いた。
正の夜、私たちは級なではなく、ホテルくのさなレストランで魚料理をべた。値段は歩美が求していた分のお玉よりずっとかったが、議なほど満した。
誰かの顔を伺わず、を気にせず、べたいものを自分で選ぶだけのことが、こんなに自由だとはらなかった。
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