"義母ATM、ハワイへ消ゆ" 第12話
12の初め、スーパーに黒豆や数の子が並び始めた頃、私はのことをいした。以ならこの期になると、正に何を作るかを考えて何週もから忙しくしていたが、今はまだ何も決めていなかった。
「今はどうする?」
夕、夫が聞いた。
私はカレンダーを眺めた。温泉でもいいし、またでもいい。でのんびり過ごすのも悪くない。
その、スマートフォンに正也からメッセージが届いた。
〈今のお正なんだけど、もし都がよければ、元の昼だけ4で顔をしてもいい? 泊まらないし、料理も自分たちで持っていく。無理なら全然丈夫です〉
私は何度か読み直した。
1とは。
あまりにも違う文章だった。
決定事項ではない。
数がかれている。
もかれている。
泊まらないと記されている。
そして何より。
私たちに断る権利があることを。
正也が初めて最初から認めていた。
私は夫に画面を見せた。
「どうしたい?」
夫は私に聞いた。
以なら、「息子なんだから来させてやればいい」と言われてもおかしくなかった。けれど夫は正也の気持ちではなく、私の気持ちを尋ねてくれた。
私はし考えた。
の空港でをげた正也。
パート先の話をした歩美。
孫たちの笑顔。
そして。
ハワイの朝。
全部をいした。
「お昼だけなら、来てもらおうかしら」
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そう言うと、夫は「じゃあ今は6だな」と笑った。
私は正也に返信した。
〈元の12頃なら丈夫です。ただし、本当に何も持ってこなくていいから、自分たちがべたいものだけ持ってきてください。今は私もたくさん料理しません〉
すぐに返事が来た。
〈分かった。ありがとう〉
それだけだった。
1231。
私は朝5には起きなかった。
7半まで眠り、夫とゆっくり朝をべた。黒豆は販のものを買い、伊達巻も蒲鉾もスーパーで選んだ。
昔の私なら。
こんな正料理を。
「抜き」とっただろう。
けれど今は。
しも恥ずかしくない。
元の昼。
玄関のチャイムが鳴った。
ドアをけると、正也4がっていた。歩美はきな保バッグを持ち、正也は寿司桶を抱えている。
「けましておめでとうございます。今は私たちが持ってきました」
歩美がそう言ってをげた。
私は「どうぞ」と言って4をへ入れた。
孫たちは靴を脱ぐと嬉しそうに居へっていった。正也は鍵を交換したことをいしたのか、玄関の鍵を瞬見たが、何も言わなかった。
昼の席には。
級な伊勢老も。
黒毛牛も。
鮑もなかった。
スーパーで買った黒豆。
私が作った煮物。
正也たちが持ってきた寿司。
歩美が自分で作ったという唐揚げ。
それだけだった。
けれど。
より。
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ずっと穏やかな正だった。
事の途、歩美がし照れながら「唐揚げ、くないですか」と尋ねた。私はつべ、「ちょうどいいわよ」と答えた。
以なら。
私が15分作る予定だった卓。
今は。
6がそれぞれしずつ持ち寄って。
同じテーブルを囲んでいる。
お玉は孫2に。
それぞれ私が決めた額だけ渡した。
歩美は何も言わなかった。
正也も。
「もっと」とは言わなかった。
夕方4過ぎ。
4は約束通り帰っていった。
玄関で正也が振り返り、「母さん、のこと、本当に悪かった」ともう度言った。私は「もう同じことをしなければ、それでいい」と答えた。
許したのかと聞かれれば。
たぶん。
しずつ許しているのだとう。
でも。
忘れたわけではない。
忘れる必もない。
あの。
私は自分がATMではないことを。
自分自にいさせた。
37働いて貯めたおも。
67きてきたも。
私のものだった。
母親だから。
義母だから。
祖母だから。
誰かのために全部差しさなければならないわけではない。
族を切にすることと。
自分を粗末にすることは。
同じではない。
正也たちが帰ったあと。
私は夫とでお茶を淹れた。
窓のにはの夕暮れが広がり。
とは違って。
のには誰もっていない。
「来はどうする?」
夫が笑いながら聞いた。
私は湯呑みを両で包み。
しだけ考えた。
「まだ決めないわ」
「そうか」
「だって、私たちのお正でしょう。私たちが好きなに、好きなように決めればいいのよ」
夫は嬉しそうに頷いた。
1。
15を迎えるために。
150万円を使うつもりだった私たちは。
その半分ほどのおで。
ハワイへ逃げた。
あのは。
逃げたつもりだった。
けれど今なら分かる。
あれは。
逃げたのではない。
ずっとのために差ししてきたを。
自分のに。
取り戻しにったのだ。
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