"雪峠の五発" 第2話
「!」
「巡査!」
返事はない。
暗いのでは、の落ちる音ばかりが聞こえていた。
その夜から、峠で規模な捜索が始まった。
翌朝までに、野県警は捜索態勢を拡した。
元警察だけでなく消防団、岳救助隊も加わり、候が許す帯にはヘリコプターもばされた。展望台をに半径数キロが捜索対象となり、から見える斜面だけでなく、い林や沢、崖のまで隊員たちがを運んだ。
しかし、は晩り続いていた。
の夜にあったはずの跡は、ほとんど消えていた。犬を使った捜索もわれたが、とのため匂いの痕跡を分に追うことができなかった。
慎也が最に確認したはずの「審両」も見つからなかった。
通報では展望台付にが止まり、誰かが争っているように見えたという話だった。ところが慎也のパトカー以にがいた痕跡はなく、タイヤ跡もに覆われていた。
警察はまず、事故の能性を疑った。
展望台周辺には急斜面がい。暗とのでを滑らせ、から数メートルへ転落した能性は分にあった。
そのためロープを使って崖をり、々の隙や岩まで調べた。
だが、何もなかった。
慎也のも靴も、所持品のつさえ見つからない。
自らへ入った能性。
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誰かのに乗った能性。
事件に巻き込まれた能性。
警察はあらゆる仮説を検討したが、それを裏づけるものはつもなかった。
美咲が夫の失踪をらされたのは、その夜だった。
話を受けた瞬、最初はが理解できなかった。
「方が分からないって……どういうことですか?」
『パトカーは見つかっています。現、周辺を捜索しています』
「事故なんですか?」
『まだ分かりません』
「主は怪をしているんですか?」
『それも……まだ確認できていません』
美咲は受話器を握ったまま、リビングで眠っている陽菜を見た。
朝、
「夕飯にはにう」
と言った慎也。
卓には、美咲が作った煮物が残っていた。
午9を過ぎても、午11を過ぎても、玄関はかなかった。
翌朝、美咲は陽菜を実の母に預け、信濃町警察署へ向かった。
「しい報はありますか?」
「申し訳ありません。現も捜索しています」
「きている能性は?」
担当者は瞬答えに詰まった。
「全力で探しています」
美咲はそれ以尋ねることができなかった。
捜索3目。
候はさらに悪化した。
隊員たちの全にも危険が始め、峠そのものが通止めになった。所によっては積が1mくになり、林のへ入ることすら難しくなっていた。
それでも警察は捜索を続けた。
慎也の写真を持って隣民へ聞き込みをい、事件当の夕方に峠周辺をったについて報を集めた。
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「黒っぽいを見たような気がする」
という証言もあった。
だがのでくから見たもので、種もナンバーも分からない。
慎也がどこへったのかを示す決定な報にはならなかった。
捜索は数続いた。
しかし12に入る頃には峠全体がに閉ざされ、これ以の活は危険だと判断された。
署は美咲にをげた。
「になり、が解けたら必ず再します」
美咲は黙って頷いた。
では理解していた。
の、を掘り返すことなどできない。
けれどのでは、別の声が聞こえていた。
まで待ったら、遅いのではないか。
今、この瞬もどこかで助けを待っているのではないか。
夜になると何度も同じを見た。
ので慎也がっている。
美咲が名を呼んでも振り向かない。
追いかけても距は縮まらず、やがて吹の向こうへ消えてしまう。
そして陽菜が尋ねる。
「ママ、パパはいつ帰ってくるの?」
最初のうちは、
「警察のお仕事が引いてるの」
と答えた。
やがて、
「今、みんなで探してるの」
に変わった。
最には、美咲自が何と答えればいいのか分からなくなった。
「パパ、迷子になったの?」
ある晩、陽菜が尋ねた。
美咲は娘を抱きしめた。
「そうかもしれないね」
「警察なのに?」
「警察でも、迷うことはあるよ」
「じゃあ誰かが見つけてあげないと」
その言葉を聞いた、美咲は声をげずに泣いた。
20074。
解けとともに、捜索は再された。