みかん小説
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"米寿の席で外された嫁" 第5話

きさで選んだわけではありません」

「松堂へ戻れば、いずれあなたのになるかもしれないのに」

子は驚いた。千鶴は米寿の席で、子を正式な従業員ですらないと言ったである。今度は将来のを餌に戻そうとしていた。

「いずれ、では働けません。今した仕事を、今の仕事として扱ってくれる所にいます」

千鶴は菓子を買わずに帰った。文子は事を聞かず、試作の柚子餡を子へ見させた。し苦みがく、2で配を直した。

義父の周忌ではなく回忌がづき、達也は寺へ納める菓子を子に頼みたいと言った。松堂の商品ではなく、子自が作った物を供えたいという。

子は文子へ相談し、の正式な注文として受けた。材料費も賃も見積へ記載し、達也は客として支払った。夫婦なのにくさいと言われるかとったが、達也は黙って受領を受け取った。

回忌の、親族ので千鶴は「子さんがを張って別ので作った」と話した。子は反論せず、菓子の説だけをした。柚子の皮を混ぜた餡は義父が好んだで、文子と何度も調したものだった。

、義父の古い机を理すると、宗郎がきかけた事業承継のメモが見つかった。そこには継者の名はなく、《族だから無償、をやめる》《製造、会計、介護を分ける》とだけ記されていた。

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郎は理を実現できなかった。妻の千鶴を止められず、息子たちへ責任を確にせず、子が無で働く状態も変えられなかった。を残したことは救いだったが、くなったを完全な方に作り替えることも違うと子はった。

「お義父さんも、分かっていたならきているに言ってほしかった」

子がそう呟くと、達也は初めて父親をかばわなかった。「俺も同じだ。分かっていて、母さんに逆らわなかった」と答えた。

達也は、子をへ戻すことではなく、自分が何を変えるべきか考え始めていた。では与計算を部へ委託し、では事と洗濯を週ごとに分担した。最初は失敗もく、子が教えなければ嫌になることもあったが、以のように投げすことは減った。

それでも、夫婦の傷が消えたわけではない。米寿の席で黙っていたこと、の借を隠したこと、子の33伝いの言で済ませたこと。達也が謝っても、子はすぐ許すとは言わなかった。

「謝ったに何を続けるかを見ます」

達也はうなずいた。

方、は松堂で働きながら、商品の原価と作業を計測した。のかかる商品をすべて切るのではなく、価格を見直し、予約限定にする。子が勘でしていた仕事を数字へ変え、次のが引き継げる形にした。

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子はその話を聞き、寂しさと堵を同に覚えた。自分がいなくてもは変わっていく。必とされないことと、過の仕事に価値がなかったことは同じではなかった。

方、達也は事の分担を始めてから、自分がこれまで「伝っていた」とっていたなさをった。休器を洗うだけでは、献を決め、庫を確認し、買い物へき、翌朝のごみを分別する仕事までは見えていなかった。

最初の1か、達也は何度も子へ調料の所や洗濯表示を尋ねた。子は度説したことをき、同じ質問にはそのを見るよう答えた。たいと言われても、夫が覚える会まで引き取らなかった。

ある晩、達也は噌汁を焦がし、鍋を駄目にした。以なら子へ始末を頼んだだろうが、自分でしい鍋を買い、台所の油汚れまで掃除した。さなことだったが、謝罪の言葉よりも子には変化が見えた。

千鶴の通院にも息子たちが交代で付き添った。母親は待ちいと満を言い、医師の説を帰宅には忘れ、薬の袋を別の所へしまった。達也は度の通院だけで疲れ果て、子がそのの予定まで調していたことをようやく具体に理解した。

変だったな」と達也が言った子は「今さら」とは返さなかった。

ただし「分かったなら、次も自分でって」と伝えた。理解したことをへ変えなければ、また謝だけで仕事が戻ってくるからだ。

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