"荷造りの日に消えた夫の行き先" 第5話
「言っただろ。ありがとうって」
「ありがとうだけでしょう」
修は黙った。
織は続けた。
「私が何を失ったとってた?」
「仕事」
「それだけ?」
夫は答えられない。
仕事を辞めた。
織は収入だけを失ったわけではなかった。
同僚。
自分の担当売。
へ教える役割。
仕事帰りのスーパーの裏。
毎変わる季節商品。
「さん」
と呼ばれる所。
妻でも。
母でも。
介護者でもない自分。
それも。
全部なくなった。
「ごめん」
修が初めて。
そので謝った。
織は。
すぐには許した気持ちになれなかった。
「おはどうする?」
修が聞いた。
「今は決めない」
「織のものだよ」
「あなたが決めないで」
夫がし笑った。
「分かった」
以なら。
修はそこで終わっただろう。
ところが、そのは続けた。
「も織に渡すつもりだった」
織は顔をげた。
「何?」
現んでいる戸建て。
宅ローンは3に終わっている。
評価額はくないが。
にとって番きな財産だ。
「婚したら俺は潟へく。は織の名義にして、預もめに渡そうとってた」
「初めて聞いた」
「婚条件の話になったら言うつもりだった」
織は。
呆れて笑った。
「どうして全部最に言うの?」
「何が?」
「仕事のことも、病院も、おも、も」
夫は黙った。
「あなたののでは、全部もう決まってる。でも相は何もらない」
修は何も言えなかった。
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織は、その初めて理解した。
夫の問題は。
婚を望んだことだけではない。
いつも。
事なことをで考え。
で結論をし。
最に結果だけ渡す。
修自も。
ずっとそれをしてきたのだ。
幸恵が3度目に潟から来たのは、婚の話がてから約5週だった。
兄の荷物を本格に運ぶため、軽トラックまで借りている。
織は。
もう止めるつもりはなかった。
。
本。
釣り具。
古いレコード。
修自に箱へ詰めさせた。
途。
薬をまとめる、修が圧薬を種類入れ忘れた。
織は気づいた。
しかし。
すぐには言わなかった。
10分ほどして。
修自が薬箱を見直した。
「あれ、アムロジピン入れたっけ」
「入れてないよ」
「気づいてた?」
「うん」
修がし満そうな顔をした。
「言えよ」
織は笑った。
「自分で来たでしょう」
夫は。
何も言わず薬を取りにった。
本当に。
来ることが増えた。
そして。
自分がやらせていなかったことも。
確かにあった。
昼。
幸恵から、
「しで話せる?」
と言われた。
は所の喫茶へった。
幸恵はコーヒーが来ても。
しばらくをつけなかった。
「織さんに謝らないといけないことがある」
「何?」
「私、最初は兄を引き取るつもりなかった」
織は眉を寄せた。
「修から頼まれたんでしょう?」
「うん。でも断った」
「どうして?」
幸恵は。
夫の介護を10していた。
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55歳だった夫が性の神経難病を発症。
最初は杖。
次に子。
その。
事。
入浴。
排泄。
すべてに介助が必になった。
「私は夫を介護したこと、悔してない」
幸恵は言った。
「でも変だった」
45歳で仕事を辞めた。
友とは疎になった。
好きだった旅もやめた。
眠れないも。
夫へ優しく来ないも。
あった。
5。
夫がくなった。
「織さんが兄の介護始めた頃、私、度もちゃんと伝いに来なかったでしょう」
「お盆と正には来たよ」
「数だけ」
織は黙った。
「兄のへ来ると、夫のいした」
病院の匂い。
薬。
介護用品。
子。
修がく歩けず苛つ姿。
「怖くて逃げた」
幸恵の目が赤くなった。
「織さんが変なの分かってた。それでも、自分までまた介護のへ戻る気がして来られなかった」
織のには。
7の満があった。
どうして妹なのに、もっと助けてくれなかった。
何度もった。
「今さら謝られても、なかったことには来ないよ」
織は正直に言った。
幸恵は頷いた。
「うん」
言い訳しなかった。
それで。
織のりはしだけ形を変えた。
「じゃあ何で今回は受け入れたの?」
「兄が言ったから」
修は妹へ、
《織を自由にしたい》
と話していた。
再発する能性がある。
もしもう度倒れたら。
今度こそ妻の60代を。
全部介護で奪うかもしれない。
「お兄ちゃん、も織さんへ渡すって言ったでしょう」
「昨初めて聞いた」
幸恵が呆れた顔をした。
「やっぱり?」
「ってたの?」
「私には最初から話してた」
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