"退職と書かれた娘たち" 第4話
朝、数ずつ連れって町へ買い物にる娘がい、志乃はでをた。
フミは迷った末、を追った。
志乃は通りまで歩き、に乗った。フミも両ろの両へび乗り、混みに隠れながら距を取った。
は部を抜け、商とが並ぶ角で志乃をろした。
そこからさらに細いをみ、志乃は「本裁縫所」とさな板の掛かったへ入った。先には仕てかけの着物が吊られ、窓辺で数の若い女が針仕事をしていた。
フミは向かいの先にを隠した。
10分ほどして、奥からの娘が現れた。
フミは息を呑んだ。
「キヨちゃん……」
わず声が漏れた。
娘が振り向いた。
半に「実へ帰った」と言われたはずのキヨだった。
キヨの顔から血の気が引いた。
「フミ?」
志乃も振り返り、驚いた顔でこちらを見た。
フミは逃げることもできず、そのにち尽くした。
志乃はしばらく何も言わなかった。
やがてさく息を吐き、「入って」と言った。
裁縫所の奥にはさな部があり、そこにはキヨのほかにも見覚えのある顔があった。
ハナだった。
「どうして……」
フミは何度も周囲を見回した。
「実へ帰ったんじゃなかったの?」
キヨは俯いた。
代わりに志乃がをいた。
「帰ってない」
「じゃあ、から逃げたんですか」
「そう」
「誰が?」
志乃はしを置いた。
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「私が逃がした」
フミは理解できなかった。
志乃は若い女をそそのかし、から連れしていたのか。それとも、彼女たちは自分から逃げることを望んだのか。
キヨが震える声で説した。
実では父が借をねており、を辞めたは別の男へ嫁がされる予定だった。しかも相は50歳を過ぎた旅館主で、キヨの父はすでにを受け取っていた。
ハナも同じような事を抱えていた。父親がの借りをしていたため、を辞めれば別の奉公先へ回されることになっていた。
「のはらないんですか」
フミが尋ねると、志乃は首を振った。
「らない。られたら連れ戻される」
「でも、どうやって」
「の夜なら、娘たちは自分のを持ってる。しだけ持たせて、残りはへ送る。その、裏からす」
「舎監さんは?」
志乃は答えなかった。
その沈黙で、フミはトメもっているのだと分かった。
「千代ちゃんは?」
フミがを乗りすと、志乃は瞬だけ表を曇らせた。
「無事だよ」
「どこにいるんですか」
「今は言えない」
「どうして」
「の者が探しているから」
志乃はそれ以説しなかった。
フミは納得できず、なおも問い詰めた。
「何でこんなことするんですか」
志乃はしばらく黙った、を差しした。
薬指が、第関節のしからなかった。
「19の、械に巻き込まれた」
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い声だった。
「は治療費をしした。でも働けなくなったら、すぐ辞めさせられた。故郷へ戻ったら、父親に言われたよ。働けない娘を置いとく余裕はないって」
志乃はその、きを失った。
阪へ戻ったものの、片に障害のある若い女を雇うところなどなかった。何もまともにべられずにいた、偶然会った旅館の女がみ込みで雇ってくれた。
「そのがいなかったら、今ここにいない」
志乃は自分のを見た。
「だから今度は、私が逃げを作ってる」
フミは何も言えなかった。
から娘たちを連れしている物は、確かに志乃だった。
だが、それはフミが像していた「消す」というとは、まるで違っていた。
そのの帰り、フミのにはつだけ疑問が残っていた。
トヨはどこへったのか。
志乃は、トヨの名をしただけ、らかに目をそらした。
へ戻ってから、フミは志乃のことを誰にも話さなかった。
千代が無事だと分かったことでしした方、秘密をってしまった責任のようなものもじていた。志乃がしていることが正しいのかどうか、16歳のフミには判断できなかったが、なくともキヨとハナが自分ので今の仕事を選んだことだけは分かった。
その、志乃との関係はし変わった。
作業では以と同じように厳しく注されたが、夜になると折フミの布団のそばへ来て、故郷からは来たかと尋ねるようになった。
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