"夫の娘は、私にだけ謝った" 第2話
何もしなくていいって簡単にはえないでしょう」
「だから母さん捨てるの?」
「捨てるって決めつけるのも違うじゃん」
兄妹が言い争い始めた。
真由美は止めなかった。
自分の代わりにってほしいともわなかった。
その夜、が帰ったあと。
真由美はで洗い物をしていた。
隆司は寝へっていた。
器を拭き終えた、スマートフォンにらない番号からメッセージが届いた。
《真由美さんでしょうか》
続いて。
《突然ご連絡して申し訳ありません。川綾と申します》
真由美の指が止まった。
夫の娘だった。
《度だけ、直接お会いできませんか》
その。
《お父さんには内緒でお願いします》
真由美はしばらく画面を見ていた。
そして翌。
夫には何も言わず。
綾と会うことにした。
待ちわせ所は、京駅くのホテルラウンジだった。
真由美はしく着いたが、綾はすでに窓際の席へ座っていた。写真より髪がく、紺のジャケットを着た姿は、仕事帰りの普通の会社員のように見えた。
顔は隆司に似ていた。
特に眉の形と、考えるにし唇を噛む癖が似ていた。
「初めまして」
綾がちがる。
「初めまして」
とも、何と続ければいいのか分からなかった。
真由美はこの女性を憎んでいるのか、自分でもまだ分からない。ただ、夫婦のに突然現れたであることは違いなかった。
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「今はすみません」
綾が先にをげた。
「私から連絡するのは失礼だとったんですけど」
「隆司には言ってないの?」
「はい」
綾はバッグからさな封筒を取りした。
「まず、これを」
に入っていたのは、隆司が綾へ送ったメッセージのコピーだった。
《静岡へ移ることも考えている》
《真由美とは婚する》
《これからは父親としてそばにいたい》
真由美は読みながら、胸の奥がたくなるのをじた。
自分には、
《綾がだから》
と言った。
綾には、
《婚してそばへく》
と伝えていた。
「私、頼んでません」
綾が言った。
真由美は顔をげた。
「何を?」
「婚も、引っ越しも」
綾ははっきり答えた。
「むしろ、やめてくださいって言いました」
真由美は言葉を失った。
「じゃあ隆司は、どうして……」
「分かりません」
綾も困っていた。
「私は父親に会ってみたかっただけなんです」
母がくなった。
遺品から、自分の父親が誰なのか分かった。
36きてきて、度くらい顔を見たいとった。
それだけだった。
「族になってくださいって言ったことはありません」
綾は続けた。
「私、36歳ですよ。父親がいなきゃきられない齢じゃない」
その言葉が、真由美には妙に現実だった。
隆司の話では。
綾はだった。
母を失い。
夫とも婚し。
頼るもいない。
だから父親が必。
そういう物語だった。
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しかし。
目のにいる綾は。
自分で働き。
自分で活している。
「お父さん、私に部を探すとか、仕事辞めても丈夫だとか、いろいろ言い始めて」
綾が苦笑した。
「正直、ちょっと怖いんです」
真由美はわず聞いた。
「怖い?」
「36会わなかったが、3回会っただけで『これから全部取り戻す』って言うんですよ」
言われてみれば。
確かにそうだった。
「お母さんの代わりにはなれないのに」
綾はさく言った。
その言葉で。
真由美は初めて。
綾を夫婦を壊す女として見ることができなくなった。
「私からも聞いていい?」
「はい」
「お母さんは、隆司に妊娠をらせなかったの?」
綾はし迷った。
「父はそう言ってました?」
「らなかったって」
綾の表が変わった。
「それ、違います」
真由美の背がたくなった。
綾はバッグから古い封筒を通した。
茶く変している。
宛名。
《隆司様》
差。
《川恵美》
消印は。
37。
「母が妊娠したに送ったです」
「でも、これは……」
封はいていなかった。
表面に。
赤い判子。
《受取拒否》
真由美は呼吸を止めた。
「父はこれを見て、自分が拒否したわけじゃないって言いました」
「じゃあ誰が?」
「お父さんのお父さんです」
隆司の父・隆。
すでに20にくなっている。
真由美が結婚した頃には、厳しいだったという印象しかなかった。
員だった隆司が、庭環境の複雑な女性と結婚することを反対していた。
恵美の父には額の借があり。
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