"娘の結婚式で夫は愛人を新しい妻と紹介した" 第3話
誰もが。
剣へ向かうとった。
しかし。
誠は由美のまで歩いてきた。
そして。
く。
をげた。
90度い礼だった。
会が再びざわつく。
由美は驚かなかった。
誠はをげたまま言った。
「佐藤さん」
「これまで、本当によく耐えてこられました」
剣の顔から。
笑みが消えた。
誠は顔をげる。
「準備はできています」
由美はさく頷いた。
「ありがとうございます」
誠の「準備はできています」という言葉を聞いても、由美は勝ち誇った気持ちにはならなかった。
むしろ、胸の奥に浮かんだのは、ここまで来るのに費やしただった。
27。
数字にすればい。
でも、そのには何千回もの朝と夕があり、何百回もの学事があり、7の介護があった。
結婚したばかりの頃、剣は今ほど傲ではなかった。
由美が作った夕をべて、
「うまい」
と言った。
美穂がまれた夜は、病院の廊で泣いた。
休には3で公園へった。
由美は、あの頃の剣まで全部偽物だったとはっていない。
変わったのはしずつだった。
剣が昇した。
料ががった。
部が増えた。
親戚から「派になった」と言われるようになった。
その頃から。
のでも、
「俺は仕事してる」
が癖になった。
由美が邪で寝込んでも。
「俺の飯は?」
美穂の学事と会議がなれば。
「おがけばいいだろ」
広告
義母が倒れたには。
「男の嫁なんだから、頼むよ」
最初は頼み事だった。
それがいつのにか。
「やって当然」
に変わった。
義母の介護が始まった最初の。
由美は週2回だけでも訪問介護を増やしたいと相談した。
介護保険を使っても自己負担はる。
に1万数千円程度だった。
剣は言った。
「その、必?」
「私、夜も何度も起きてるの」
「昼休めばいいだろ」
「美穂のこともあるし」
「にいるが、それくらいで音吐くなよ」
その夜。
由美は初めて婚届を検索した。
でも。
美穂は10歳。
転はしなくても。
父と母が別れることを。
まだ学の娘に背負わせるのが怖かった。
もうしきくなったら。
そうった。
学になったら。
に入ったら。
学へったら。
就職したら。
毎回。
「あとし」
と自分に言った。
気づけば。
美穂は27歳になっていた。
***
介護7目。
義母は84歳でくなった。
葬儀で。
剣は親戚から言われた。
「剣君、お母さんの介護、本当に変だったね」
剣は。
「まあ、族ですから」
と答えた。
由美は隣にいた。
誰も。
7。
毎オムツを替えたのが誰か。
病院へ連れていったのが誰か。
夜に痰が絡んで苦しむ義母の背をさすったのが誰か。
聞かなかった。
帰宅。
由美は剣に言った。
「今、あなた介護してたみたいに話してたね」
剣はネクタイをしながら答えた。
広告
「いちいち細かいな」
「でも実際にやってたのは私でしょう」
「俺が稼いでたからできたんだろ」
そして。
いつもの言葉。
「誰ので活できてるとってるんだ」
その。
由美は初めて。
自分の7が。
夫のでは。
0円なのだとった。
介護。
事。
育児。
料がないから。
価値がない。
その考え方を。
由美自までしずつ信じてしまった。
***
義母がくなってから。
由美はし自由になるとった。
でも。
剣との距は戻らなかった。
夕を緒に取るは減った。
はゴルフ。
平は接待。
由美が、
「たまには旅でもかない?」
と誘うと。
「今さら2で何話すんだよ」
と笑われた。
それでも由美は。
婚を急がなかった。
美穂が学を卒業するまで。
就職するまで。
そして。
達也との結婚話がると。
今度は。
「結婚式までは」
とった。
相のに。
「親が婚するらしい」
という余計なを与えたくなかった。
美穂の婚約が決まった夜。
剣は珍しく嫌がよかった。
「これで親としての役目も終わりだな」
その言葉を。
由美は。
娘を送りす寂しさだとった。
今なら分かる。
剣も。
同じを待っていた。
由美は。
娘が結婚したら。
自分のを考えようとっていた。
剣は。
娘が結婚したら。
妻を捨てて理と暮らそうとっていた。
2とも。
同じを。
27の結婚の終点にしていた。
ただ。
が正反対だった。
***
由美が誠に会ったのは。
そんなだった。
両の顔わせ。
剣は。
「美穂は昔から私に似て真面目で」
「就職先も私が相談に乗りまして」
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
捨てられた夏の肖像
次女・夏が生まれた日、夫は赤ん坊の顔を見るなり言い放った。 「この子は俺の子じゃない」 長女は夫にそっくりなのに、次女はまったく似ていない。たったそれだけの理由で、私は浮気を疑われ、DNA鑑定で親子関係が証明されても、夫と義母は夏を認めようとしなかった。 そして私は、生まれたばかりの次女だけを連れて家を追い出される。 残された長女には会えないまま、10年が過ぎた。 ところがある日、成長した夏とショッピングモールを歩いていた私は、夫と義母、そして長女と偶然再会する。 そこで彼らは、夏の姿を見て言葉を失った。 10年前、「他所の子」と罵られた次女には、彼らが知らない大きな秘密があった――。因果応報|人生逆転1.8万字5 0 -
完結第10話
消された妻の逆転乾杯
夫の昇進祝いの宴席で、佐木美和は信じられない光景を目にする。 35年間連れ添ってきた夫・孝志が、120人の招待客の前で、若い愛人を「妻です」と紹介したのだ。 本当の妻である美和は、会場の端の席に座らされ、まるで無関係な招待客の一人のように扱われていた。夫からは事前に「今日だけは黙っていろ」と言われていた。 けれど、美和は怒鳴らなかった。 ただ静かにグラスを持ち上げ、夫と愛人に向かって乾杯した。 なぜなら彼女は、17年間にわたって夫が奪い続けてきた功績、不正に使われた経費、そして自分の名前を消された証拠を、すでに会長へ渡していたからだ。 祝福の拍手が響く中、会長がゆっくりと立ち上がる。 「佐木君。今の紹介で、最後の確認が取れた」 その一言で、夫の栄光の夜は、崩壊の始まりへと変わっていく――。夫婦|第二の人生|不倫1.4万字5 0 -
完結第14話
銀行にいた偽妻
60歳の斎藤かよ子は、夫・剣一を大阪出張へ送り出したはずだった。 しかし午前11時17分、銀行から一本の電話が入る。 「ご主人が、奥様と同じ名前の若い女性と一緒に来店されています」 その女性は、かよ子の名前を名乗り、住所や生年月日、家族の情報まで正確に答えていた。しかも夫は、その女を自分の妻として銀行に紹介し、かよ子名義の資産に関わる重要な手続きを進めようとしていた。 ただの浮気ではない。夫は、かよ子の服装、癖、署名、人生の記録までも利用し、“もう1人の妻”を作り上げていた。 37年間信じてきた夫が、本当に奪おうとしていたものは財産だけだったのか。 そして、何も知らない妻を演じ続けたかよ子が、最後に銀行で見せた反撃とは――。人生逆転|夫婦2.1万字5 0 -
完結第10話
隠し子を知っていた55歳妻
結婚30年。55歳の律子は、61歳の夫・正典から突然「好きな人がいる」と告げられる。相手は34歳の女性。そして2人の間には、3歳の男の子までいた。しかし律子は驚かなかった。「れん君でしょう? 1年前から知っていました」。夫の顔から血の気が引く。離婚届を差し出されても、律子は微笑んで「離婚しません」と拒否した。夫への愛が残っていたからではない。この1年間、弁護士への相談、財産や年金の確認、仕事探しまで、誰にも知られず自分の人生を立て直す準備をしていたからだ。30年間、自分の人生を夫の都合で決められてきた妻は、最後の別れの日だけは自分で選ぶと決めていた――夫婦|不倫1.4万字5 0 -
完結第13話
青いチョーク
63歳の田中澄江は、夫を亡くしてから2年間、午後4時になると必ず家を出るようになっていた。 夕方の光が差し込む居間には、亡き夫の湯呑みと、言葉にできない寂しさだけが残っていた。そんなある日、取り壊し前の小学校の前で、澄江は一本の青いチョークを拾う。 何気なく引いた一本の線。灰色の壁に描いた小さな青い四角。 それはただの落書きのはずだった。けれど、その壁に一人の少年が現れ、やがて子どもたちや町の人々が少しずつ色を足していく。 消えては描かれ、また雨に流されるチョークの絵。 夫を失った悲しみの中で止まっていた澄江の午後4時は、いつしか少しずつ違う色を持ち始める。 一本の青いチョークが、空白になった人生に静かな線を引いていく物語。人生逆転1.9万字5 0 -
完結第12話
7階に戻るな
70歳の高橋恵子は、夫を亡くしてから6年、都心のマンションで静かに暮らしていた。 ある夕方、いつものように買い物帰りのエレベーターに乗った彼女は、隣人の老人・木村から一枚の紙切れを渡される。 「病気のふりをして、次の階で降りろ。絶対に7階へ戻るな」 意味も分からないまま指示に従った直後、エレベーターの中で木村は命を落とす。さらに残された紙には、「このマンションでは、誰も信じるな」と書かれていた。 なぜ木村は恵子を逃がしたのか。なぜ7階へ戻ってはいけなかったのか。 やがて事件は、6年前に事故死したはずの夫・優一郎の死、息子夫婦の秘密、そしてマンションから消された5分間へとつながっていく。 たった一枚の紙切れが、穏やかな老後に隠されていた真実を暴き出す――。因果応報|人生逆転1.8万字5 0 -
完結第10話
終電の風呂敷
昭和36年の冬、東京郊外の小さな私鉄駅に、毎晩必ず終電だけに乗る老婦人がいた。 午後11時38分。灰色の着物に黒い羽織、そして胸に抱えた紺色の風呂敷包み。彼女はいつも同じ時間に現れ、同じ行き先――工場前駅までの切符を買っていく。 昼間には一度も姿を見せず、帰りの切符も買わない。翌朝戻ってくる姿を見た者もいない。それなのに、次の夜になると、老婦人はまた何事もなかったように駅へ現れる。 若い駅員・高木修一は、次第にその風呂敷の中身と、彼女が毎晩終電に乗る理由が気になっていく。 そして小雪の降る夜、高木は初めて老婦人の後を追った。 終電の先にあったのは、眠らない工場街と、夜勤を終えて戻ってくる幼い少女たちの姿。老婦人が風呂敷をほどいた時、高木はようやく知ることになる。 彼女が毎晩運んでいたのは、ただの荷物ではなかった。 誰にも頼まれず、名前も残さず、昭和の片隅でそっと続けられていた小さな恩返し。その温もりが、時代を越えて誰かの心に受け継がれていく――。人生逆転|真相1.4万字5 0 -
完結第10話
米寿の席で外された嫁
米寿祝いの席で、義母は親族の前で突然言った。 「秋子さんには、明日から店へ来てもらわなくて結構です」 33年間、朝早くから和菓子店《松月堂》を支えてきた秋子。餡を練り、注文を管理し、繁忙期には夜まで働いてきた日々は、義母の一言で“家族の手伝い”として片づけられた。 しかも店から外された秋子に、今度は義母の通院や世話を任せるつもりだった。 何も言わず席を立ったその夜、秋子は古い段ボール箱の中から、亡き義父が残した一通の封筒を見つける。 そこに入っていたのは、秋子を守るための遺言ではなかった。 店の帳簿に隠されていた不自然な金の流れ、説明されていない借金、そして義父が最後まで言えなかった家族の秘密。 「家族だから」という言葉の下で、誰が何を背負わされていたのか。 33年間奪われてきた時間と仕事の価値を、秋子が静かに取り戻していく物語。人生逆転|嫁姑|親子関係1.5万字5 1