"終電の風呂敷" 第5話
母親である老婦は止めたかった。
15歳。
まだ朝寝坊をすれば叱り。
寒いは布団からられず。
夜になれば母親の隣で話をしたがる齢だった。
それでも。
計を考えれば。
くなとは言えなかった。
「駅で列を見送ったね、あの子、最まで笑っていたんですよ」
老婦はゆっくり話した。
「泣いたら私が配するとったんでしょうね。だから窓からずっとを振って」
京のに入った娘は、最初ので「毎楽しい」といてきた。寮には同じ方から来た女もおり、事もるし、京には何でもあるとかれていた。
だが。
2通目。
3通目。
の文字は。
しずつさくなった。
朝くからへき、慣れない械のにつ。失敗すれば叱られ、夜勤のには眠気と戦いながら働く。料にはへ仕送りするため、自分のために使えるはほとんど残らなかった。
それでも娘は。
「丈夫」
とき続けた。
半ほど経った。
が途絶えた。
数。
から報が来た。
娘がをし。
寮で寝込んでいる。
老婦はすぐに京へこうとした。
だがには。
汽賃すら分になかった。
夫と相談し。
所から借りることまで考えた。
そんな。
娘から通のが届いた。
「もう元気です」
そこには。
見らぬ女性の話がかれていた。
寮の所にんでいる女性が。
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毎お粥を持ってきてくれた。
汗で濡れた寝巻きを洗ってくれた。
夜にも様子を見に来て。
額へ濡れた拭いを置いてくれた。
名を聞いても。
「所のおばちゃんでいいの」
としか答えなかったという。
「娘は、そののおかげで元気になりました」
老婦の声がしだけ震えた。
「私が何もしてやれなかったに、らないが母親の代わりをしてくれたんです」
は黙って聞いていた。
娘はそのも京で働き。
数。
職でりった男性と結婚した。
夫の仕事で州へ移り。
今では元気に暮らしている。
老婦は度。
娘を助けてくれた女性を探した。
だが。
寮は移転し。
周辺の民も入れ替わり。
名さえ分からないを見つけることはできなかった。
「お礼がしたかったんですけどね」
老婦は笑った。
「とうとう、返せなかった」
その。
くで。
終の警笛が聞こえた。
老婦はちがり。
呂敷を抱えた。
そして改札へ向かう。
を見て。
静かに言った。
「だから、返せないなら、別の子に返そうとったんです」
その夜から、にとって午1138分は以とは違うになった。老婦が駅へ現れると、彼はもう呂敷のを議にうことはなかった。その代わりに、今は何個入っているのだろう、どの女が受け取るのだろうと像するようになった。
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ある晩、は老婦に名を尋ねた。
「駅の帳簿とは関係ないんですが、お名を伺ってもいいですか」
老婦はし考えた、「佐々トキです」と答えた。ただし自分の名など覚える必はないと言い、「切符を買う婆さんで分ですよ」と笑った。
トキは原町駅から歩いて15分ほどの所で、夫とで暮らしていた。夫はさな印刷所で働いており、計に余裕があるわけではなかった。握り飯に使う米も特別に買ったものではなく、夕の残りや、りいの農からく分けてもらった米を使っていた。
「毎何個も作ったら、変でしょう」
が聞くと、トキは首を振った。
「分ずつならしたことないんです」
梅干しがある。
噌を焼いた。
細かく刻んだ沢庵を混ぜた。
たまに卵焼きの切れ端が入ることもあった。
豪華な事ではない。
それでも。
夜勤を終えた女たちには。
何より嬉しいものだった。
は々、駅へく仕事があると女子寮のを通るようになった。もちろんへ入ることはなかったが、夕方に女たちが洗濯物を取り込んだり、休に数で買い物から帰ってきたりする姿を目にした。
そのに。
幸子という女もいた。
以、つの握り飯を受け取っていた女だった。
ある、が駅の改札を伝っていると、幸子が切符を差しした。
彼女は駅員の顔を覚えていたらしく、「おばちゃんの駅のですね」
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