"雪下の赤いマフラー" 第7話
『男の子でした』
『名はハルト』
佐藤は息をんだ。
『199965』
『でも産のあと、彩は量に血しました』
『助かりませんでした』
美咲の涙がへ落ちた。
『最に赤ちゃんを守ってと頼まれました』
しかし美咲自もまだ18歳にもなっていなかった。
分を隠しながら乳児を育てる力はない。
『沖縄の族へ養子にしました』
「なぜ沖縄?」
『くへ』
『田先からも』
『旭川からも』
『事件からも』
佐藤が帰ろうとした、美咲は最にもう1枚いた。
『へってください』
『旭川の』
『古い林の終点』
そして、
『はそこにいます』
佐藤はすぐ署へ連絡した。
翌、捜索隊が編成された。
17探し続けたが、今度こそ見つかるかもしれなかった。
林はいに覆われていた。
除が先にみ、そのを警察両が追った。
気温は氷点20度かった。
美咲が描いた図を頼りに、林の終点から歩く。
約500メートル。
々のに、根の部が崩れたが現れた。
「ここだ」
佐藤はを止めた。
へ入る。
古い机。
倒れた子。
腐ったベッド。
17からが止まったような所だった。
鑑識担当者がを確認した。
「この部分だけ違います」
板の並びが自然だった。
す。
には凍った。
ツルハシとシャベルで掘る。
1メートルほどんだところで、赤い布が現れた。
佐藤の胸が締めつけられた。
広告
褪せた赤いマフラーだった。
そのから骨が見つかった。
蓋骨にはきな損傷が確認された。
DNA鑑定の結果。
だった。
17歳のは、17、のに眠っていた。
田は遺体を埋めたことを正式に認めた。
「殺すつもりはなかった」
繰り返した。
「事故だった」
佐藤は静に尋ねた。
「事故だったなら、なぜ通報しなかった?」
田は答えられなかった。
「なぜを隠した?」
沈黙。
「なぜ美咲と彩の族へ何も言わなかった?」
田はをげた。
「自分が怖かった」
それだけだった。
佐藤が捜索現をれる頃、修院から連絡が入った。
美咲が渡したいものがあるという。
修院へ戻ると、院が茶の封筒とさなロケット型のメダルを持っていた。
「シスターが、ずっと隠していました」
ロケットをく。
赤ん坊の写真。
裏には、
『ハルト 199965 彩の赤ちゃん』
とかれていた。
封筒のには彩のがあった。
『親なる美咲へ』
文字は々しかった。
『これを読む頃、私はもういないかもしれません』
『赤ちゃんをお願いします』
『名はハルト』
『太陽のようなになってほしいから』
彩は田との関係についてもいていた。
教師から特別に扱われることが嬉しかった。
自分を理解してくれるだとった。
されているとった。
しかし妊娠を告げた瞬、田は変わった。
『族に言えば、あなたのも終わると言われました』
広告
の嫉妬にも気づいていた。
『でが私を見た、目にはりしかありませんでした』
そして最。
『がんだのは私のせいだといます』
『私が先を信じなければ』
『あの所へかなければ』
『ハルトだけは、このことに縛られずきてほしい』
佐藤はを閉じた。
「この子を探します」
院が静かに言った。
「16歳になっていますね」
「はい」
「らせるべきでしょうか」
佐藤は迷った。
真実をることで、のはきく変わる。
しかし何もらずにいることが正しいとも言い切れない。
「本には、自分のをる権利があります」
旭川へ戻った佐藤は、児童相談所や養子縁組の記録を調べた。
数。
沖縄から回答が届いた。
199965にまれた男児。
名はハルト。
その、沖縄県内の夫婦へ養子縁組された。
現16歳。
佐藤は画面を見つめた。
暗い事件ので、唯まれたしい命。
彩が最まで守ろうとした息子は、きていた。
3、佐藤は沖縄へ向かった。
旭川のとは全く違う空気だった。
かい。
。
濃い緑。
ハルトは学活のかたわら、域の救急活に関を持ち、将来は命救助に関わる仕事を目指していた。
佐藤は彼が戻るのを待った。
若い男性が施設へ入ってきた。
写真で見た彩と、目元がよく似ていた。
「ハルト君ですね」
「はい」
「旭川央警察署の佐藤です」
ハルトは戸惑った。
「旭川?」
「君のについて話があります」
表が変わった。
広告
おすすめ作品
-
完結第15話
灯油札の密告
2005年11月、長野県の山あいにある静かな村で、工藤家の住宅が深夜に炎に包まれた。 家の中には、父と母、そして7歳の息子。近所の人々が助け出そうと駆けつけるが、玄関には外側から鎖と南京錠が掛けられ、勝手口も角材で封じられていた。 これは事故ではない。 誰かが一家を逃げられないように閉じ込め、火を放ったのだ。 村人たちは涙ながらに犯人探しを願い、特に隣人の男は誰よりも深く悲しんでいるように見えた。だが刑事・星野は、焼け跡に残された不自然な痕跡と、その男の身体にあった小さな傷に違和感を覚える。 そして事件から数日後、町の貴金属店に持ち込まれた大量の一万円札が、捜査を大きく動かす。 その紙幣には、かすかな灯油の匂いが残っていた。 炎で消されたはずの夜に、いったい何があったのか。 そして、最後まで燃え残った“匂い”は、誰の罪を指し示していたのか――。ミステリー|遺體発見2.3万字5 0 -
完結第11話
雪峠の五発
2006年11月15日、長野県北部。 その年最初の雪が降り始めた高木峠へ、1人の巡査が向かった。展望台に不審な車があるという匿名通報を受け、霧谷慎也は「確認だけ」のつもりでパトカーを走らせる。 だが午後6時15分、現場到着を知らせる無線を最後に、慎也からの連絡は途絶えた。 雪の展望台に残されていたのは、鍵のかかったパトカーと、車内に置かれた制帽と手袋。慎也本人だけが、吹雪の峠から忽然と姿を消していた。 事故なのか、事件なのか。誰かに連れ去られたのか。それとも、自ら山へ入ったのか。 妻と幼い娘は、答えのないまま13年を過ごすことになる。 そして2019年春。雪解けの斜面から、慎也が持っていた古い懐中電灯が見つかった。 13年間沈黙していた峠が、初めて返した小さな手がかり。 その光の先に隠されていたのは、匿名通報の本当の意味と、雪の下に封じられていた一夜の真実だった。ミステリー|行方不明1.7万字5 1 -
完結第12話
ETCに残らない白バイ
2003年春、千葉県の高速道路を巡回していた女性白バイ隊員・水島舞が、サービスエリアで忽然と姿を消した。 監視カメラには、彼女が白バイを降りて建物へ入る姿が残されていた。だが、その18分後、白バイに乗って走り去ったのは舞ではなく、ヘルメットで顔を隠した見知らぬ男だった。 舞本人も、白バイも見つからない。料金所の記録にも、ETCログにも、その後のはっきりした足取りは残っていなかった。 結婚を控えていた婚約者、娘の帰りを待ち続ける両親、そして答えを出せないまま止まった捜査。 10年後、古い監視映像を最新技術で解析した時、画面の隅に映っていた“あるもの”が、事件を再び動かし始める。 白いバイクは、どこへ消えたのか。 そして水島舞が最後に見た人物とは――。ミステリー|行方不明1.7万字5 0