"片胸の息継ぎ" 第11話
律子はもう度だけ腕を伸ばした。
顔を横へ向ける。
息。
しをんだ。
咳き込みそうになる。
それでも次の回をかいた。
が何かに触れた。
壁だった。
律子は両で掴んだ。
顔をげる。
息が荒い。
肺がきくいている。
脚が震えている。
肩がい。
しばらく何も考えられなかった。
監員がくにいる。
誰も律子を見ていない。
計を見る。
何分泳いだのかも分からない。
の距表示を見る。
25メートル。
律子は笑わなかった。
泣きもしなかった。
ただ呼吸した。
吸う。
吐く。
吸う。
吐く。
そのつつが、今までよりきく体のへ入ってくる気がした。
しばらくすると息がった。
律子は壁にもたれたまま、反対側を見た。
25メートル先に、さっきまでいた壁がある。
戻らなければ更へけない。
歩いて戻ってもいい。
プールサイドへがってもいい。
もう分だともう。
その、体のどこかから、さな求がてきた。
もう回。
律子はそれを聞いた。
派な目標ではない。
きがいでもない。
が変わったわけでもない。
次の検査もある。
病気が度と戻らない保証もない。
傷も消えない。
で眠る夜もある。
齢も増える。
体はしずつ衰える。
それでも体は、全部を理解してからくわけではない。
の全を確認してから息を吸うわけでもない。
肺のの空気がなくなれば、次を欲しがる。
腹が減ればべたくなる。
疲れれば休みたくなる。
のでもうしめるとえば、腕が伸びる。
律子は壁を掴んだまま、ゆっくり息を吐いた。
肺のが空いていく。
苦しくなるに、顔をげた。
しい空気が入ってきた。
森本の言っていた通りだった。
吸おうと力を入れなくても、体は勝に次の息を取った。
律子は壁を蹴った。
今度は距を数えなかった。
どこまでけるかも決めなかった。
ので息を吐きながら、次に空気が欲しくなるところまで、ただ腕を伸ばした。