"ママ卒業の代償" 第8話
「いや……この写真が」
「そこじゃない!」
そのの夜。
健太郎がやってきた。
顔を見るだけで、話しいがうまくいかなかったことが分かった。
「どうだったの?」
「駄目だ」
子に座り、を抱えた。
「話にならない」
私はチラシとをした。
「これってる?」
健太郎はチラシを見るなり目を見いた。
「何だよ、これ」
まで読む。
次の瞬、子の背にもたれた。
「いつのに作ったんだ……」
しばらく呆然としていた。
「30代からの私改革セミナー?」
声が震える。
「子育て放りして何が私改革だよ」
誰も何も言わなかった。
「ママ卒業って何だよ」
健太郎がを握った。
「子供って、卒業したくなったらやめられるもんなのかよ」
やがて顔をげた。
「俺、もう無理だ」
その言葉は静かだった。
「美奈子が自分のをやりたいっていうなら、それ自体は止めない。でも、ひなにしたことは許せない」
唇を噛む。
「しかも、今も何も反省してない」
そして私たちに向かってをげた。
「父さん、母さん。迷惑かける」
「何言ってるの」
私はすぐ言った。
「ひなと暮らすことのどこが迷惑なのよ」
夫も頷く。
「ああ。それに本が帰りたくないと言ってるんだ」
「俺、美奈子と婚する」
それを聞いても、私は驚かなかった。
すでにのどこかで予していた。
「ひなのこと、頼めるか」
「もちろんよ」
健太郎は目を赤くした。
「ありがとう」
その、2は婚へ向けて話をめ始めた。
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そして数。
今度はひなの同級のお母さんから私へメールが来た。
『し聞きにくいことなんですが……』
そんなきしだった。
『のポストに変わったチラシが入っていました。これ、ひなちゃんのお母さんですよね?』
添付されていたのは、あのセミナーのチラシだった。
美奈子さんは、自分で所にポスティングして回っていたらしい。
さらに続いていた。
『から、し気になっていました。学の送り迎えをしているのはいつもおばあ様なのに、ネットでは育児奮闘といているらしくて。のお母さんたちのでも話題になっていました』
私は隠さなかった。
『恥ずかしながら、その通りです』
事実だけを返信した。
美奈子さんは現ひなと暮らしていない。
学の送り迎えも私がしている。
写真のくもがで撮ったもの。
それ以はかなかった。
でも、それで分だった。
噂は気に広がった。
美奈子さんのブログには、再びコメントがつき始めた。
『この子、本当に緒に暮らしている娘さんなんですか?』
『学の送り迎えをしているのは祖母だそうですね』
『ブログの内容と実際が違いませんか?』
『娘さんを使って自分を演していただけ?』
最初、美奈子さんはコメントを削除していたようだった。
しかし消しても消しても増えた。
やがてブログそのものが見られなくなった。
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自己プロデュースセミナーも、参加希望者が集まらず止になった。
自分で配ったチラシが、逆に過のブログへを呼び込むきっかけになってしまったらしい。
誰かを陥れたわけではない。
私たちはネットで美奈子さんを攻撃したわけでもない。
ただ、本がいてきたものと、現実との違いが周囲にられただけだった。
それでも結果はきかった。
美奈子さんは次第に所でも姿を見せなくなった。
婚については、っていたよりく話がまとまった。
ひなの親権は健太郎が持つことになった。
美奈子さん自が、子供を引き取りたいとく主張しなかったこともきかったのだとう。
婚成、美奈子さんは町をた。
どこへったのか。
何をしているのか。
私たちはらなかった。
ひなにも詳しいことは話さなかった。
ただ、
「これからはパパと、じいちゃんとバーバと暮らすんだよ」
と伝えた。
ひなはしばらく私たちの顔を見回した。
「ずっと?」
「ずっと」
私が答える。
「帰らなくていい?」
「ここがよ」
その瞬、ひなは泣きした。
声をげて。
初めてがへ来た頃、泣くことすらできなかった子が、きな声で泣いた。
私はその方が嬉しかった。
「泣いていいのよ」
抱きしめる。
「嫌なら嫌って言っていいし、しかったら泣いていいの」
夫も横からを撫でた。
「腹減ったら腹減ったって言え」
泣いているひながし笑った。
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