"27年目の再会" 第2話
美子は器を片付けながら続けた。
「私は忘れたことなんて、度もないわ」
その言葉を聞いた瞬。
直は初めて気付いた。
自分にとっては終わった話だった。
でも。
妻にとっては、終わっていなかったのかもしれない。
そのの午。
直はもう度、あの箱を調べた。
にはにも古い資料があった。
そして、冊のノートを見つけた。
表には美子の旧姓がかれている。
いた瞬。
直の顔が変わった。
そこには、若い頃の妻がいた企画案が残っていた。
宅。
暮らし。
族。
域。
見覚えのある内容だった。
なぜなら。
それは、自分の会社が発表したヒット企画とほとんど同じだった。
直はページをめくるを止めた。
妻はただにいたとっていた。
自分の成功を支えてくれた妻だとっていた。
しかし。
もしかすると。
自分が成功したとっていたもののに、
ずっと妻のが含まれていたのではないか。
その夜。
直は初めて、妻の過を調べ始めた。
翌。
直は会社の古い資料へ向かった。
退職したで会社へくのはし気が引けた。
だが、確認したかった。
の企画資料。
あの宅シリーズ。
誰が最初に提案したのか。
社員に聞けば、すぐ答えはるとっていた。
「社の発案ですよ」
そう言われるとっていた。
しかし。
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資料の古い担当者は、直を見るなりし困った顔をした。
「さん……今さらそれを確認するんですか」
その言葉に、直は違を覚えた。
「どういうだ?」
担当者は古いファイルを取りした。
「当の資料です」
直はページをめくった。
そこには企画会議の記録が残っていた。
最初の提案者。
そこにかれていた名を見て。
直のが止まった。
美子。
妻の名ではなかった。
旧姓だった。
「……どうして」
担当者は言った。
「社、覚えていないんですか」
直は顔をげた。
「何を」
「この企画の最初の原案を持ってきたですよ」
「誰だ」
担当者はし迷ってから答えた。
「奥さんです」
その瞬。
直ので、何かが崩れた。
「違う」
わずにた。
「これは俺が……」
担当者は何も言わなかった。
ただ古い資料を指した。
そこには、美子な細かいきの修正が残っていた。
暮らしの線。
族の活。
子供の成。
齢者への配慮。
全部。
今でも会社の基本理として残っているものだった。
直は資料を閉じた。
「なぜ……俺はらなかった」
担当者は静かに言った。
「さん」
「奥さんは、あなたに言わなかったんじゃないですか」
「……」
「あなたが、自分のを捨ててまで頑張っているとっていたから」
直は何も言えなかった。
帰宅すると、美子は庭の入れをしていた。
いつも通りの姿。
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見てきた妻。
でも。
今からは、同じには見えなかった。
「美子」
彼女が振り返る。
「何?」
直は聞いた。
「おは、俺の会社を助けていたのか」
美子はし黙った。
そして。
「違うわ」
と言った。
直は驚いた。
「違う?」
「私は、あなたの会社を助けたかったんじゃない」
美子はゆっくり続けた。
「ただ、自分が考えたことを形にしたかっただけ」
その言葉は静かだった。
責める声ではなかった。
だからこそ、直にはかった。
「じゃあ、なぜ……」
直が聞くに。
美子は言った。
「あなたが必としているとったから」
その瞬。
直は答えを失った。
妻は自分を責めていない。
ってもいない。
ただ。
自分がらない27をきていた。
そして直は初めてった。
自分は妻のを奪ったのではなく、
妻のをらないまま緒にきてきたのではないか。
その夜。
直のスマートフォンに、通のメールが届いた。
送り主は、娘の里奈だった。
本文はかった。
「お父さん、お願いだから、お母さんの過を勝に調べないで」
直は画面を見つめた。
なぜ娘はそんなことを言うのか。
そして次の文を読んだ瞬。
直は息を止めた。
「お母さんは、私にも全部は話していない。」
そのから。
の27の記憶が、しずつ崩れ始めた。
直は、里奈から届いたメッセージを何度も読み返していた。
「お母さんは、私にも全部は話していない」
その文がかられなかった。
娘の里奈は、母親と仲が悪かったわけではない。