"27年目の再会" 第11話
「夫なのに?」
「夫だから」
「読者として欲しい」
美子はし照れながら、本に名をいた。
美子。
その横に。
さく。
「ありがとう」
といた。
直はその文字を見た。
そしてった。
には。
取り戻せないがある。
でも。
残りのまで失う必はない。
数。
里奈が実を理していた。
古い箱から、枚の写真がてきた。
若い頃の両親。
その裏には。
昔と同じ字で。
だけかれていた。
「選ばなかったも、私のだった」
里奈はその言葉を読んで。
静かに写真を戻した。
の誰もらなかった27。
それは。
失われたではなかった。
誰かをしながら。
同に、自分自であり続けようとしただった。
直が退職してから、半が過ぎた。
以の彼なら、朝起きるも、昼を取るも、すべて仕事だった。
会社の予定。
社員との連絡。
取引先との調。
のには、常に「次に何をするか」があった。
しかし今。
朝、妻と緒にコーヒーをむが増えた。
それだけのことなのに。
直にとっては、きな変化だった。
「今は版社?」
「うん」
美子はバッグを持ちながら答える。
「午から編集会議」
「忙しいな」
「楽しいわよ」
その言葉を聞くたび。
直はし嬉しくなった。
昔。
美子が仕事の話をしていた。
自分はどう聞いていたのか。
今なら分かる。
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聞いているつもりで。
実際には聞いていなかった。
ある。
美子の版社で、さなイベントがかれることになった。
活とまいをテーマにした講演会。
美子が話すことになった。
「ってもいいか?」
直が聞いた。
美子はし驚いた顔をした。
「来るの?」
「嫌か?」
「そうじゃないけど」
美子は笑った。
「昔のあなたなら、絶対に来なかったとう」
直も苦笑した。
「そうだな」
「仕事じゃないからな」
その言葉を言った。
直は自分で気付いた。
昔の自分は。
仕事になるものだけを切にしていた。
仕事につながらない。
誰かのさな努力。
そういうものを見落としていた。
イベント当。
会にはくのが集まった。
名がいるわけではない。
きな広告もない。
でも。
そこにいるたちは、真剣に美子の話を聞いていた。
「は、ただ活する所ではありません」
美子は話した。
「そこにむのや記憶が残る所です」
直はろの席で聞いていた。
その言葉。
どこかで聞いたことがある。
。
会社の会議。
商品の説。
そのも。
美子は同じことを言っていた。
しかし。
あのの自分は。
それを「良い企画」としか見ていなかった。
その奥にあるの考えまで見ていなかった。
講演が終わった。
の女性が美子に声をかけた。
「さん」
「あなたの記事を読んで、仕事を始める勇気がました」
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「私も、もう度やり直してみようといます」
美子は優しく笑った。
「無理をしなくていいんですよ」
「自分で選んだとえるなら、それでいいといます」
その会話を聞いて。
直は胸が苦しくなった。
昔。
美子が欲しかった言葉。
きっと誰かに言ってほしかった言葉。
「無理をしなくていい」
「あなた自の選択でいい」
それを。
自分は度も言えなかった。
帰り。
は駅まで歩いた。
「今は来てくれてありがとう」
美子が言った。
「俺は何もしてない」
「そうね」
「でも」
美子はし笑った。
「昔なら、あなたはこう言っていたとう」
「何を」
「俺が支えるから、そんな仕事は無理しなくていいって」
直は苦笑した。
「言っていたな」
「今なら?」
直はし考えた。
そして。
「どうしたいか聞く」
そう答えた。
美子は静かに笑った。
「それで分よ」
その夜。
直は昔の会社資料を理していた。
もう過に執着しているわけではなかった。
ただ。
残されたものを正しく理したかった。
その。
枚の古いメモが落ちた。
付。
。
内容はかった。
「美子さんの名をすべき」
その。
別の字。
「社にはらせない」
直は息を止めた。
今まで。
自分はずっと、
「らなかった」
とっていた。
しかし。
本当にそうだったのか。
そのメモをいた物。
名を見る。
佐藤隆志。
そして。
横にさな文字があった。
「奥様本も承済み」
直はけなくなった。
美子は。
自分がらないところで、