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"爪の綺麗な中卒娘、奇跡を起こす" 第4話

すら満かせてもらえなかったのかよ。体、親は何やってたんだか……」 「お母さんは……病気で……」 凜がわずさく反論しようときかけた。しかし、その言葉は途でピタリと凍りついた。休憩にいたの男たちが、斉にややかな線を凜へと向けたからだ。

凜はそれ以何も言わず、ただ黙って部の隅にある丸子にトボトボと腰掛けた。持参したコンビニの売りのおにぎりを取りし、フィルムを剥がしながら、窓のに広がる無質な景をぼんやりと眺めた。 母である幸子は、名古内の古びた総病院の病のベッドで、もうものずっと寝たきりの活を送っていた。原因のよく分からない難病だった。毎かかり続ける治療費は、数万円をもらなかった。凜が学をあきらめ、昼夜を問わずいくつものアルバイトを掛け持ちして働き続けてきたのは、すべてその入院費を面するため以の何物でもなかった。こんなところで自分の話を誰かにしたところで、同どころか面倒がられるだけだ。凜はたくなったおにぎりを黙々と噛み締めながら、ただ窓のの曇り空を見つめていた。

の過酷な作業の鐘が鳴り響く。 凜は再び無言で体をかし続けた。コンクリートのを雑巾でいつくばるように拭き、い部品の入った台を力いっぱい押し、あちこ치に散らばる鉄の廃材を際よく片付けていく。

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額から粒の汗が流れ落ちても文句つ漏らさず、どんなに理尽に鳴られても、ただひたすらにげた。ただ、そのきな瞳だけは、周囲の械の挙や作業員たちのきを、まるでビデオカメラのように鋭く観察していた。

それからさらに数が過ぎ、入社してが経過した頃のことだった。 午の騒がしい作業のを縫って、社の誠郎はいつものようにをゆっくりと巡回していた。それは気まぐれではなく、彼がも欠かしたことのない課だった。毎決まったコースを、決まった順番で歩く。械の唸る音の微妙な変化を聞き取り、のコンクリートのわずかな湿り気をの裏で確かめ、従業員たちの元を観察する。

ちょうどその、凜はすぐくの具棚の頓を黙々とこなしていた。誠郎はその元でふとを止め、唸るような音をてて稼働している巨な作業ラインを眺めながら、独り言のようにぽつりと呟いた。 「……また、このやがるな」 その言葉に、凜は作業のを止め、ふっと顔をげた。 「午になると、どうしても良品の発率ががるんだ。同じラインで、同じベテランの作業員が作っているというのに……なぜだか分かるか?」 それは誰かに答えを求めるものではなく、誠郎の純粋な独り言だった。

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だが、凜はすっとそのに歩み寄り、落ち着いた声で答えた。 「……気温ではないでしょうか」 誠郎が驚いたように振り返った。 「午を過ぎて直射が当たり始めると、気温が急激にがります。この古いの建物自体がを抱え込んで、内の温度が昇することで、精密な属部品自体の膨張率が微妙に変わってしまっているんです。朝番に設定した基準のままでは、午帯はどうしても誤差がてしまうんだといます」

には、しばらくのい沈黙が流れた。 誠郎は何も言わず、じっとラインの端に取り付けられた古い温度計に目をやった。それから、壁にかけられた分い作業記録のファイルを引きずりし、これまでに良品が発した正確な刻をつひとつ丹に照らしわせていった。すべてのデータは、凜の言った通り、違いなく午帯に恐ろしいほど集していた。

郎は記録ファイルの留めをパチンと閉じると、凜の方を瞥もしなかった。ただ静かに、自分の事務所へと続く通へ向かって歩きした。凜はまた何事もなかったかのように、具棚の細かな理へと戻っていった。

夕暮れ、田所が慌ただしい取りで誠郎の事務所のドアを叩いた。

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