"爪の綺麗な中卒娘、奇跡を起こす" 第12話
あの、誠郎が自分のその目を見て信じてくれたように、今度は自分がこの青のを見据える番だった。 「……学歴なんて、この仕事のでは何の価値もありません」 青が驚いたようにパッと顔をげた。 「うちのが見るのは、あなたの今の実力と、これからいがろうとする気力だけです。やる気さえあるなら、基礎から私がすべて教えてあげます」 青の目がみるみるうちに粒の涙で潤み、ポロポロと頬を伝った。 「あ、ありがとうございます……! 本当に、ありがとうございます……!」 凜は、その青の姿を見て、優しく穏やかに微笑んだ。
すべての面接業務が終わり、夕暮れを迎えた頃、凜はのへとを向けた。 の古いコンクリート塀の脇で、夕に照らされながら佇んでいる誠郎の姿があった。彼はゆっくりと沈みゆく夕を眺めていた。 「社、今の面接、終わりました。……とても筋のいい、良い材でした」 誠郎は満そうにく頷いた。 は並んで、夜のに浮かびがるのあたたかなかりをじっと見つめた。窓ガラスの隙からオレンジのがへ漏れし、で働く従業員たちのききとしたが忙しそうにいているのが見えた。 (お母さん……) 凜は、夕空を見げながらのでそっと呟いた。 先週、病院の病へ会いにった、母はベッドので泣いていた。
自分のしい名刺をに取り、そこに印刷された「設計主任」という文字を、震える指先で何度も何度もなぞりながら、粒の涙を流してんでくれたのだ。 (私、ここでちゃんと、誇りを持ってやってるよ)
の塀の脇に植えられた菜のが、夜の優しい夕に吹かれて、静かに、しかししっかりと揺れていた。 誠郎がふと線を落とし、く優しい声で言った。 「……おい、も朝からいぞ」 「はい!」 は並んで、活気の戻った温かなのへと戻っていった。その背を包み込むように、窓からはいつまでもるく、力いが満ちあふれていた。