"没落夫と偽りのお嬢様が堕ちた地獄" 第14話
勤務先での業務にもな支障をきたし、折悪しく会社の業績悪化に伴う員理の際、真っ先にリストラの対象となった。再就職先も見つからず、現は雇い労働を転々としながら、アパートでその暮らしを続けている。
方、分な慰謝料と財産分与を確保していたシオリは、以から興のあった専資格の勉に励み、見事に難関試験を突破した。現は企業に正社員として採用され、経済にも精神にも自した充実の々を送っている。
あるの夕暮れ、ミクがパートから帰宅すると、リビングのテーブルの央に見慣れない類が枚置かれていた。緑の枠線で囲まれた婚届である。そこへ、奥の寝からきなスーツケースを引いた夫のリツが現れた。リツはミクを瞥し、酷に告げた。
「ミク、話がある」
ミクは荷物をろすことも忘れてち尽くした。
「……何?」
「テーブルのに婚届を置いておいた。俺は今から実に帰るから、おは帰ってきたらサインしとけ」
ミクのので警鐘が鳴り響いた。
「え? 婚届って何? どういうこと?」
リツはで笑い、コートを羽織った。
「どうって、そのままのだよ。おとは婚する。サインしたら荷物まとめてていけ」
ミクはスーツケースのにちはだかった。
「ちょっと待って! いきなりすぎない!? 何かあったの? 話しおうよ!」
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「話しう必なんてない!」
リツはミクのを乱暴に振り払った。
「俺はもしてきたんだ。子供も産めない女とは、もうやっていけない」
ミクは胸を押さえ、息を呑んだ。
「……っ」
リツは勝ち誇ったように目を吊りげた。
「おは俺の気持ちを考えたことがあるのか? 周りの奴らはみんな子供がいるんだぞ! 齢にも子供の話で持ちきりだ。おのせいで、俺だけ子無しで肩が狭いんだぞ!」
ミクは震える声で反論した。
「でも……子供ができないのは、私だけのせいじゃないでしょ?」
「おのせいに決まってるだろう!」
リツは激昂し、ミクの顔のすぐに指を突きつけた。
「子供ができないのはおの責任だ! 母さんにだって孫の顔を見せてやりたいんだよ。だから、女なのに子供すら産めないおとは、もう限界なんだ!」
ミクの瞳に疑がった。
「お母さん……何か言ってきてるの?」
「当たりだろ! 俺は毎のように言われてる。『しい嫁をもらった方がいい』ってな!」
「嘘……」
「母さんは俺のことをちゃんと考えてくれてる。だから母さんのアドバイス通り、婚することにした」
ミクは必に夫の腕を掴んだ。
「そんな……ねえ、度ちゃんとで話しおう?」
リツは侮蔑に満ちた目でミクを見ろした。
「俺はもう、おの顔を見るのもウンザリだし、これ以おにを使いたくないんだ。
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だからもう会う気もない。……それからな、おは俺に慰謝料を払え。おのせいで、せっかくの俺ののが無駄になったんだからな!」
ミクはわずをした。
「はあ!? 何でそうなるのよ!」
「おが役たずだってってたら、結婚なんてしなかったんだぞ! それくらい当然だろ! とにかく、俺は俺で別の女と幸せになる。ミクはミクで、子供が産めなくてもいいというしい男でも探せ!」
リツはスーツケースを引き、玄関へ向かって歩きした。
「リツ、待ってよ! こんな終わり方おかしいよ!」
ドアノブにをかけたリツは、笑を浮かべて振り返った。
「言っただろ。俺はもうウンザリだし、欠陥品に用はないんだよ。さっさとサインしてていけ!」
バタンと乱暴にドアが閉まった。
数、ミクはサインした婚届をテーブルに残し、静かにをた。その直、ミクはリツにいメッセージを送った。
『婚届はいて机のに置きました』
『そうか』
素っ気ない返信に対し、ミクは確認の文字を打ち込んだ。
『リツ、最につだけ確認させて』
『何だよ』
『お母さんから何か聞いてない? 例えば、妊検査結果のこととか』
画面越しにリツの呆れた声が聞こえてきそうな返信が届いた。
『ああ。それなら母さんは「おに原因がある」とか言ってたぞ。俺は問題ないそうだから、やっぱりおだろうってな』
ミクは目を伏せ、静かに息を吐いた。