"没落夫と偽りのお嬢様が堕ちた地獄" 第19話
「ただ、同居はいいけど、勤務はやめて欲しいかも。にしたら収入が幅にがっちゃうよね。収入ががるくらいなら、訪問介護をいっぱい頼んだ方が義じゃない? おがかかっても、お母さんだってその方がいいだろうし。ちょっとくらいなら私も介護を伝ってあげてもいいからね」
ナオトはく頷いた。
「分かった。アミの言う通りにするよ。本当にありがとな」
こうして、母を引き取っての同居活が始まった。ナオトは懸命に働き、母のリハビリを支えた。
同居が始まって半ほど経ったあるの夕暮れ、ナオトは所のATMから戻り、居に設置された介護ベッドの母のもとへ駆け寄った。
「母さん、今ATMでを引きそうとしたんだけど、残が百円くらいしか残ってなかったよ」
ベッドを起こした母は、目を丸くして首を横に振った。
「え……そんなはずないわ。はもう以引きしてないのよ。だから活費のしにしてもらおうとったのに」
ナオトは通帳をまじまじと見つめた。
「座を違ってるんじゃないか?」
「用の座が分からなくなるほどボケてないわよ。体はこんなだけど、は元気なんだから」
「だとしたら……もしかして誰かが引きしたとか? 最、誰かにキャッシュカードを預けたりしてないよな? あと詐欺にあったとか」
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母はきっぱりと否定した。
「キャッシュカードをに預けたことは度もないし、座番号すらに漏らしたことはないわ。キャッシュカードも通帳も、ずっと居のタンスにしまってたんだからね」
「居のタンス……」
ナオトは腕を組み、考え込んだ。
「え、もしかして空き巣が入ったとか? でもそれならキャッシュカードがあるのはおかしいわよね」
母は窓のに目を向け、躊躇いがちにをいた。
「……待てよ。いや、でもな、こんなこと考えたくないけど……に入りする訪問介護やリハビリのなら能かもな」
「え? でも、そんなことすぐにバレるようなことをするかしら? それにキャッシュカードの所なんて分からないでしょ。居には常に私がいるんだし。キャッシュカードを探して物してたら、流に私が物音で気づくとうけど」
ナオトも頷いた。
「だよな。母さんの介護ベッドは居にあるもんな」
母は静かにナオトのを握り、真剣な差しを向けた。
「ねえ……もしかして、アミさんじゃない?」
ナオトはねがるように退りした。
「は? 何でそうなるんだよ! そんなわけ……!」
「だって、よく考えてもみて。アミさんなら、私がを貯めてることをってるもの。でも、おが必なら言ってくれたらいいのにね。こっそり使わなくたって、言ってくれたら差しすのに。
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同居することになっちゃって、アミさんには迷惑をかけちゃってるし……」
「違うって! やっぱアミじゃないって! 流にそれはないだろ。ま、ちょっとアミにも聞いてみるけどさ」
母は憂いを帯びた表で息を吐いた。
「私ね、ちょっと悪い予がするわ。アミさん、何か言えない事を抱えたりしてるんじゃないかしらね」
「言えない事って?」
「それは分からないけど……昔ね、あんたの親父も同じようなことしてたのよ。だから嫌な予がしてね。い過ごしであってほしいけどね」
ナオトはを止めた。
「別れた父親のことだよな。そういえば、別れた経緯をあまり詳しく聞いたことなかったな。直接な婚の原因は父親の女癖の悪さとしか聞いてないけど……」
母はい目をしながら、静かに語り始めた。
「元夫はね、スナックでりった若い女に入れ込んでてね。私たちを捨てて、その女と再婚するつもりでいたみたい。そうして、あんたの学のために貯めてたおをその女に渡しちゃったのよ」
「そうだったの……?」
「そうよ。それでその女は『結婚式の費用にするから、を自分に預けてくれ』って言ったらしいわ。でも、おを受け取ったらトンズラされて終わり。つまり、その女は結婚する気なんてなくて、夫は騙されたの。私はね、もうこの男とはやっていけないとって婚を決したのよ」
「それは……別れたくなっても仕方ないな」
「でしょ? だからね、そののことがあるから、どうしても嫌な予ばっかりしちゃうのよ。