"千五百円の仕送りと暴かれた嘘" 第3話
だが、女じゃ何の役にもたん。育てげたところで、いずれの籍に入るだけだ。無駄な投資になる」
登美の背筋をたい悪寒が駆け抜けた。 直太の酷さは言葉だけに留まらなかった。退院して自宅に戻ってからも、直太はリリカを度として自ら抱きげようとはしなかった。夜泣きが始まれば「の仕事に障る」と鳴り散らし、別の部に閉じこもった。登美に対しても、事務な連絡事項以は切を聞こうとせず、庭内は氷点の空気が張り詰めるようになった。
当然、登美のには夫に対する激しい失望とりが渦巻いた。 だがそれ以に、登美にとって胸に抱くリリカのはしくて仕方がなかった。母乳を吸うさな、柔らかい頬、登美の指をぎゅっと握り返してくるさなのひら。夫がしてくれないのなら、その分、自分が倍のを注ぎ込んで育ててみせる。教壇を奪われて専業主婦になったことも、この子と片もれずにを注げるのだから、むしろこれで良かったのだと、登美は自分に言い聞かせてを奮いたせたのである。
しかし、リリカが成するにつれて、直太の娘に対する態度は単なる無関から、極端な「倹約」という名の精神虐待へと変貌していった。 直太はもともと真面目な気質であったが、銭に対しては異常なまでの執着とし渋りを見せる、病なまでのドケチだったのだ。
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リリカが学学の頃、テレビで見たキッズダンサーに憧れ、目を輝かせながら登美に言ったことがあった。 「お母さん、私、ダンスを習ってみたい! 懸命練習して、将来ステージで踊れるようになりたいな」 登美はその欲をび、夕の席で直太に謝の相談を持ちかけた。 「直太さん、リリカがダンススクールに通いたいと言っているの。所に評判のいい教があって、謝もそれほどくないのだけれど……」 直太は箸を止め、リリカをたく見ろした。 「レッスン料がもったいない。却だ」 「でも、本があれだけやりたがっているのよ?」 「女の子供がチャラチャラと踊りを覚えて何になる。将来の何の役につんだ? をドブに捨てるような真似は絶対に許さん」 リリカは唇を噛み締め、俯いて涙をポロポロとこぼした。
さらにリリカが学に学した際、体育の授業やテレビの特集で女子野球のをり、「野球部に入りたい」と目を輝かせて帰ってきたことがあった。 「お父さん、私、野球部に入りたいの! グローブとユニフォームが必なんだけど……」 直太は聞から線をすことすらせず、で笑った。 「男ならまだしも、女が野球などやってどうする。だらけになって筋肉をつけて、誰が得をするんだ? 具代も征費も無駄だ。男の真似事をする暇があるなら、女としての慎みを覚えろ」
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「そんな……! 友達もみんな、やりたい部活に入ってるのに!」 「答えをするな!」 直太は机をバンと叩いてリリカを恫した。 「どうしても部活に入るというなら、費用が切かからず、に尽くす従順さを養えるボランティア部にしろ。それ以の入部届には判を押さん」
結局、リリカは選択の余を奪われ、に沿わないボランティア部へ制に入部させられることになった。 直太の「倹約」の刃は、常の些細な楽しみのすべてに向けられた。 族でにくことはに度あるかないか。それも直太が割引券をに入れただけだった。遊園へのも、族旅も、「無駄遣い以の何物でもない」という言で切り捨てられた。リリカの着るは、常に登美のからのおがりか、量販のワゴンセールで買った最限のものばかりだった。
頃になったリリカが、友たちとの付きいので満を募らせ、直太に抗議したことも度や度ではなかった。 「どうしてお父さんは、私のやりたいことを全部ダメって言うの!? たまにはみんなみたいに、休みのにどこかへ連れてってくれたっていいじゃない!」 そのたびに、直太は仁王ちになり、太い首筋をりで震わせながら鳴りつけるのだった。 「誰のおかげで毎飯がえているとっているんだ! 俺が朝から晩まで働いて稼いできたを、おのような未熟者の遊びに浪費できるわけがないだろう! 文句があるなら、俺と同じだけ稼げるようになってから言え!」