"千五百円の仕送りと暴かれた嘘" 第4話
登美もまた、昭の厳格な庭で育っただった。しかし、父の厳しさは子供の成を願う教育信に基づいていた。直太のそれは違う。単なる自己満と、い通りの子供(男児)がまれなかったことへの趣返し、そして歪んだ銭欲からくる「支配」に過ぎなかった。 直太の亭主関ぶりは、もはや度を越して庭を蝕む猛毒と化していたのである。
が流れ、リリカはになっていた。 ある平の夕方、スーパーの特売で買い込んだ材のいビニール袋を両に提げて帰宅した登美は、玄関のドアをけた瞬、廊の奥から響いてくる激しい声にを止めた。 靴を脱ぐもなく、リビングから張り詰めたの声が漏れ聞こえてくる。
「だから! しくらいお遣いを増やしてくれてもいいじゃない! 私だけだよ、クラスのでこんなにないの!」 「黙れ! おのような分で、これ以遣いを求するなど言語断だ!」
登美は靴を脱ぎ捨て、慌ててリビングへと向かった。 ドアを細くけてを伺うと、ダイニングテーブルを挟んで、直太とリリカがったまま真っ向から睨みっていた。 リリカは制のスカートをぎゅっと握りしめ、悔しさに肩を震わせている。対する直太は腕を組み、仁王ちになって酷な線を娘に突き刺していた。
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登美は胸を締め付けられるいでその景を見つめた。 娘の言っていることは、全面に正しかった。現、直太がリリカに渡しているお遣いは、般なが受け取っている平均額の半分以――にわずか千百円程度だった。ノートや消しゴムなどの学用品を買い、友たちと放課にファストフードでジュースを杯むだけで底をついてしまうような額である。文句を言いたくなるのも当然だった。
しかし、こののすべての財布の紐を握っているのは直太だった。座の通帳も印鑑も、直太が自の斎の庫に厳に保管し、登美には々の費としてギリギリの活費しか渡さない。銭管理を完全に掌握している以、娘がどれだけ論理に訴えたところで、この男の頑迷な壁を崩すことなど能であることは、登美自が痛いほどっていた。
(また、始まってしまった……) ここ最、リリカが自己主張をめるにつれて、こうした論の頻度は目に見えて増えていた。登美自もかつては反抗期を経験したが、リリカの父親に対する反抗は、登美のそれよりも遥かに激しく、鋭いものだった。それも無理はない。直太のあまりに理尽な抑圧に対し、リリカは全をかけて抗っていたのだ。 だが、登美がに入ってをせば、直太は余計に固になり、に油を注ぐ結果になる。
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そうっていた登美は、これまでの論には極力加わらないよう耐え忍んできたのだった。
を決して登美がリビングにを踏み入れると、板の軋む音に反応して、の線が斉に登美へと向けられた。
「お遣いを増やして欲しい、だと?」 直太は登美のを瞥したあと、再びリリカに向き直り、先でせせら笑った。 「笑わせるな。おのような分別もない子供がをどう使うかなど、目に見えている。無駄遣いのオンパレードだ。買いいだの流りのだの、くだらない浪費に消えるのがオチだ!」 「友達とかけるのにもおがかかるし、学のプロジェクトで使う画材や資料のコピー代だって買わなきゃいけないの!」 リリカは涙混じりの声で必に訴えかけた。 「私はお遣い帳だってちゃんとつけてるし、全部自分で管理してる! 無駄遣いなんて度もしてない!」 「いい加減にしろ!」 直太はテーブルを拳で激しく叩いた。器棚のグラスがカタカタと音をてる。 「そんなものは言い訳に過ぎん! その必性を、計に負担をかけるにる論理な根拠として説してみろ! それができないなら円もさん! まったく……最、親に盾突くことがくなったな。体、誰に似たんだか!」
吐き捨てるように言った直太は、すっと顔を横に向け、部の隅にち尽くしていた登美へとえ切った線を向けた。