"四十七万円を母に送った夫への逆襲" 第1話
夫のが、今のは50万円だと誇らしげに言った。
私は黙って彼の顔を見つめた。
は満そうな表を浮かべていた。
「そのうち47万円を母さんに送する」
は悪びれる様子もなく、はっきりと言い放った。
「残りを君がどう管理しようが、母さんがぶならそれでいいんだ」
私は反論しなかった。
ただ静かに彼から線をした。
そのから、私は自分の事だけをで済ませるようになった。
で事を終えてから、夜遅くに帰宅する々が続いた。
1か。
私は阿部みさき、今で32歳になる。
私は都内の商業会社で、内部監査の仕事をしている。
私の仕事は、数字の自然さを見つけすことだ。
数字の矛盾から、が何を隠しているかを見抜くのが私の役割だった。
だから私は、常に静でいることに慣れている。
すぐにはを信じないことにも慣れていた。
もっともらしい綺麗な言葉を聞き流す術もっている。
私は夫のと結婚して、3が経つ。
私たちは、都内の16階建ての層分譲宅にんでいる。
私は窓際にち、を見ろした。
窓のにはいつもが渋滞し、の灯りが眩しく輝いている。
部は決して広くない。
だが、私ので清潔に頓されている。
夫婦が互いをいってきるなら、さな族が分に暮らせる所だ。
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の両親は、野の田舎にんでいる。
義理の親のは、決して貧しくはない。
庭があり、さな池がある。
には任せているが、畑も持っているだ。
野のには義父の茂がいる。
茂はのように穏やかなだ。
のでは、まるでのようなだった。
茂の言葉は、根に落ちる音に似ている。
音は聞こえても、誰のもかさない。
野ので全てを決めるのは、義母だった。
義母はよく、いかにも母親らしいことをにする。
「には黒柱が必なんだよ」
義母は胸を張って言う。
「それがないとを防げないのよ」
ただ残なことに、彼女は自分自が黒柱だとい込んでいる。
そして、のは彼女の目にどう映っているのか。
嫁である私を含め、彼女の目にはただの板くらいにしか映っていないのだ。
私とは元をれて暮らしている。
だが、実との見えない糸は太く繋がったままだった。
毎、は自分の母親に数万円の仕送りをしている。
私は今まで、それに反対したことは度もない。
親孝は当然のことだ。
私にもその理はよく分かる。
義母も齢をねている。
れて暮らす親を気遣う夫の気持ちも、理解できる。
それはごく普通のことだとっていた。
しかし、その普通はあるの夜を境に姿を変えた。
全く別のものへと変わってしまったのだ。
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そのは10の終わりだった。
夕方から、ポツポツとたいがり続いていた。
私は帳簿の確認作業に追われていた。
そのため、帰宅が遅くなった。
に着くと、私はいつものように掛けをにつけた。
そして静かに台所にった。
私は料理が特別好きなわけではない。
ただ、で働いて帰ってきた男には、温かい事があった方がいい。
そうすればも丸くなり、話しやすくなるだろう。
それは私なりの気遣いだった。
私はフライパンを取りし、ブリの照り焼きを作った。
鉢にはほうれんのお浸しを添えた。
温かいお噌汁と、浅漬けを用する。
ご飯が炊きがった、ちょうどそのだった。
玄関の扉がく音がした。
が入ってきたのだ。
彼は廊にっていた。
背広をし濡らしている。
髪にもの滴をらせていた。
には仕事用の鞄をげている。
だが、その目は奇妙に輝いていた。
まるで1銭もかけずに、勝負に勝ったのような目だ。
「みさき」
はきな声で私を呼んだ。
「今は良いらせがあるんだ」
私はを布巾で拭きながら、顔をげた。
彼の揚した顔を見つめる。
「宝くじでも当たったような顔ね」
私は首を傾げた。
「どうしたの?」
は笑い声をげた。
彼は子にどっかと腰をろした。
「昇したんだよ」
私は瞬、を止めた。
昇の話を聞いて、ばない妻はいない。
「良かったわね」
私は自然な声で言った。
「いくらになったの?」
はコップにたいを注いだ。