"四十七万円を母に送った夫への逆襲" 第29話
は顔面蒼になり、をいては閉じた。
消毒液の匂いとせわしない音が交差する病院の廊では、どんな綺麗事も無になる。
ただ1つの残酷な現実だけが残っていた。
私の子供はきるために呼吸の戦いをしていて、私はもう2度と誰にもこの子のきるを邪魔させない。
みおは集管理に移された。
さなガラス窓越しに見る娘は、胸をさくさせながら、械の音にわせて呼吸していた。
握りしめれば壊れてしまいそうなさなを、そっといている。
母親はいとは言うが、それは当事者にしか分からない。
本当のさとは、倒れないように必にっているだけで、内側は誰かに握り潰されているように痛いものなのだ。
私は廊のプラスチックの子に崩れ落ちた。
病院の夜はい。
護師の音や械の子音が鳴るたびに、私の臓もそれにわせて縮みがった。
は私から数歩れた所にち尽くしていた。
顔は青黒く、酒の匂いも消えっていない。
づくこともちることもできず、娘の容態を配するというより、私が次に何を言うのかを恐れているようだった。
私はもう、彼には話しかけなかった。
今彼に言葉を費やすのは、息の無駄だ。
私は携帯話をき、弁護士に文通信を送った。
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『先、必な法続きの準備をお願いします』
私は決を込めて打つ。
『子供の親権と全を確保しなければなりません。子供の救急搬送を妨害された件や、財産の横領についての証拠は揃っています』
弁護士からはすぐに返信があった。
『落ち着いて、全ての証拠を保管してください。集宅の防犯映像や病院の診断記録も全て保全する続きを取ります』
画面を閉じ、病院の井を見げた。
のにも3と言う。
だが私はもう、を削ってまで耐えるつもりはない。
私自を鋭く研ぎ澄まし、2度と誰にも傷つけられないようにするだけだ。
け方、医師がてきた。
「容態は旦落ち着きましたが、児は変化がいので、引き続き観察が必です」と告げた。
私は謝を伝え、病院の受付記録と診断の写しを求めた。
誰かを攻撃するためではない。
になって「げさだ」などと、誰にも言わせないための防策だった。
事態がし落ち着いたのを見計らって、私は持参していた仕事用の端末をいた。
病院で恐ろしいことを企んでいるわけではない。
だががえている今やらなければ、また謝罪と繰り返しの沼に引きずり込まれるだけだと分かっていた。
端末をちげ、以から準備していた保領域をく。
そこには、私が捏造したものは1つもない。
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の仕事の類の矛盾に気づき、忠告したに見つけたものばかりだ。
自然な接待費の領収、予定とわない経費請求、規則の抜け穴を指示した子便。
かつて私は、夫婦なのだからと忠告にとどめ、見て見ぬふりをした。
その優しさが結果として、娘の命を危険にさらすことになった。
私はもう適当にばらまくような真似はしない。
正しい順を踏むだけだ。
私はい子便を作成し、証拠類を添付して、の会社の内部監査部及び適切な通報窓に送信した。
『経費の正処理及び横領のリスクが見受けられます。調査を請します』という簡潔な文章だ。
個なや庭の事は切かなかった。
事実だけで分なみがあるからだ。
2通目は、私が関わったことのある彼の会社の取引先の監査担当者へ送った。
『正の能性があるため、現の請求について確認をめてください』とだけ伝えた。
企業というものは、1つでも正確な警告があれば、全ての歯を止めて確認作業に入るものだ。
2通の子便を送信し終え、私はじっと座っていた。
はまだ鍵盤のにあったが、のに勝利のびはなかった。
ただ、壊れた扉が2度とかないように、いを置いたのような虚無だけがあった。
私が端末をいているのを見て、が歩づいてきた。
「みさき、何をしてるんだ?」
私は顔をげずに答えた。
「仕事よ」
彼は唾をんだ。