"「一円もやらない」姑と二十六億円の遺言" 第1話
私は静かに部の空気をじ取った。
級ホテルのような特別病のベッドで、義母である苗さんがを横たえている。
彼女はややかな線を私に向けた。
「ゆきさん、あなたはなんだからがの財産なんて1円もあげるわけないでしょう」
そのにいた全員の線が、斉に私へと突き刺さる。
窓から差し込む午のが、かえって内のえ切った空気を際たせているようだった。
男の嫁である恵子さんは、これ以ないほど勝ち誇ったような笑みを元に浮かべた。
彼女はその両腕で、元にある分い類を事そうに抱え込んでいる。
そこには都内の等に建つ、16億円相当の豪邸の権利が入っているはずだ。
恵子さんはわざとらしくため息をつきながら、私の顔を覗き込んできた。
「そうよ。ゆきさん、お義母様の言う通りだわ。男の嫁である私とあなたとではが違うの。16億円のを継ぐ私に対して、あなたには何もなくて当然じゃない」
彼女の言葉を聞き、恵子さんは満そうに頷いた。
恵子さんは苗さんに向かって、媚びるような笑顔を向ける。
「お義母様、ありがとうございます。このは私が責任を持って守っていきますわ。いえ、男の嫁の美咲さんもそううでしょう」
話を振られた男の嫁の美咲さんも、で笑いながらきく頷いた。
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彼女の元にも、10億円の価値があると言われる商業のに関する類が固く握られている。
美咲さんは私を蔑むような目で見つめた。
「もちろんです。私だって10億円ものを頂いたんですもの。次男の嫁のゆきさんとは、これからお付きいの仕方を考え直さないといけませんね。財産を分ける価値もないと親戚付きいを続けるのはの無駄ですから」
の女性たちの酷な言葉が、静かな病に響き渡る。
義母の苗さんは満そうに目を細め、再び私をじっと見つめた。
「分かったらさっさと帰りなさい。これから弁護士さんと事なお話があるの。財産を1円ももらえないあなたがここにいても邪魔なだけよ」
私はその言葉を、ただ静かに受け止めた。
りで声を荒げることも、しみで涙を流すこともしない。
私はゆっくりと、そしてくお辞儀をした。
「承いたしました。お義母様のご、しかと承りました」
私のあまりにも淡々とした態度に、苗さんはしだけ眉をひそめた。
恵子さんと美咲さんも、私がもっと泣き叫んだりすがりついたりすることを期待していたのか、拍子抜けしたような顔をしている。
恵子さんは満げにを尖らせた。
「あら、と聞き分けがいいのね。もっと見苦しくいがるかとったのに。
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やっぱり育ちがれるわね」
恵子さんの嘲笑を背で受けながら、私は病のドアへと歩をめた。
な扉をけ、廊にる直、私は度だけ振り返った。
私は苗さんの顔を真っ直ぐに見つめた。
「お義母様、1つだけお伺いしてもよろしいでしょうか」
苗さんは嫌そうに元のナースコールをいじりながら答えた。
「何よ。今更おなんてさないわよ」
私は静かに首を横に振った。
「いえ、おのことではありません。これからのお体のことですが、本当に恵子さんと美咲さんに全てをお任せしてよろしいのですね」
苗さんはで笑いばした。
「当たりでしょう。16億円のと10億円のをあげたんだもの。この子たちが私の面倒を最まで見るのは決定事項よ。あんたみたいな無文に配される筋いはないわ」
私はわずかに目を伏せた。
「様でございますか。それでは失礼いたします」
私は静かに病のドアを閉めた。
背から聞こえる嘲笑を遮断し、私はでい廊へと歩をめる。
誰もいなくなった廊を歩きながら、私は鞄のからスマートフォンを取りした。
画面には、ある通が表示されている。
それはこの豪華な特別病の支払い期限と、最先端のがん治療薬の決済確認のメールだった。
義母も、恵子さんも、美咲さんも、誰もらなかったのだ。
苗さんが今受けている、額数百万円にも及ぶ全額自己負担の度先医療。