"「一円もやらない」姑と二十六億円の遺言" 第4話
それはき義父が私にだけ託した、本当の遺言だった。
私はコーヒーをみ干し、静かに席をった。
面は変わり、佐藤の豪華なリビングに恵子さんの鳴が響き渡った。
「な、何よこれ。何かの違いでしょう」
病院から逃げるように戻ってきた恵子たちが目にしたのは、テーブルのに置かれた通の封筒ではなかった。
玄関の鍵がスマートロックに変更され、自分たちの鍵ではかなくなっているという現実だった。
恵子さんは男である夫の健さんに詰め寄った。
「ちょっと、どういうことなの。健、あなた聞いてるの」
しかし、夫の健さんは真っ青な顔でスマートフォンを握りしめたまま、刻みに震えていた。
健さんはうつろな目で恵子さんを見る。
「ゆきさんから連絡が来たんだ。このは今から管理会社の所物になるって」
恵子さんは信じられないというように叫んだ。
「はあ?お義母様が私にくれるって言ったのよ。16億円のなのよ」
恵子さんが叫ぶ、そこに涼やかな音がづいてきた。
扉の向こう側から現れたのは、私だ。
私は静かにのにち、をいた。
「皆様お揃いで、ちょうど良かったですわ」
恵子さんは扉を激しく揺らしながら、私を睨みつけた。
「ゆき、あんたこれどういうつもりよ。お義母様から頂いたこのに、なんで私たちが入れないのよ」
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私は歩も引かずに、静に答えた。
「恵子さん。確かにお義母様はあなたにこのを譲るとおっしゃいました。でも、それは相続のお話ですよね。お義母様はまだご命です。つまり、今はまだお義母様の所物です」
私は言葉を区切り、恵子さんの目を真っ直ぐに見つめた。
「そしてお義母様は、このを担保に私から莫な借り入れをされていたのをごないのですか」
恵子さんは目を丸くした。
「借り入れ?何言ってるのよ。お義母様がおに困るわけないじゃない」
私は静かに首を振った。
「いいえ。困っていました。正確に言えば、あなた方への度なる仕送りや、お義母様の派な浪費、そしてあの額な特別病の維持費で、現は数から底をついていたんです」
私は事実を淡々と突きつけた。
「私が個にこのを担保に融資を続けていたからこそ、今まで維持できていたのですよ。そして今、お義母様は私をと呼び、1円の財産も渡さないと宣言されました」
私はややかな線を恵子さんに送る。
「であれば、私も親族としてのけで融資を続ける理由がありません。契約に基づき、返済が滞った点でこのは担保として没収。いえ、私が買い取らせていただきました」
恵子さんの顔が、りから絶望へと変わっていく。
恵子さんは震える声で反論しようとした。
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「そ、そんな……じゃあ私がもらった権利は、ただの切れ……」
私はさくため息をついた。
「とまでは言いませんが、借がたっぷりついた産ということになりますね。固定資産税に維持費、さらに私が設定した抵当権。全てわせれば維持するだけでに数百万円はかかります。16億円の価値があるを、それだけの借を抱えて維持する覚悟はありますか」
恵子さんの膝がガクガクと震え始めた。
「す、数百万円……」
彼女の夫である健さんも、収1000万そこそこの会社員である。
に数百万円の維持費など、到底払えるはずがない。
恵子さんはすがるような目で、しれた所にいる美咲さんを見た。
「そ、そうよ。美咲さんのがあるじゃない。を売ってこのの借を返せば……」
しかし、美咲さんはすでに歩ほどろにがっていた。
美咲さんは顔を引きつらせて首を振る。
「嫌ですよ。なんで私が恵子さんのもらうの借を払わなきゃいけないんですか」
恵子さんは裏切られたような顔をした。
「何を言ってるの。私たちが協力してお義母様を守るって決めたじゃない」
美咲さんはたく言い放つ。
「それはおがあるお義母様だったらの話です。今の状態じゃ、お義母様どころか自分の活も危ういわ。私は失礼します。自分のがどうなってるか確認しなきゃ」
美咲さんは吐き捨てるように言うと、にってこうとした。