"「一円もやらない」姑と二十六億円の遺言" 第15話
なら健さんの横領の訴えを取りげて。訴えを取りげれば税務署だって……」
私はたく言い放つ。
「それはできません。横領を告発したのは私ではなく、税務署です。そしてその証拠を固めたのは、お義父様自なのですから」
健さんが声を震わせた。
「お義父様が?そんなはずない。父さんは俺たちをしていたはずだ」
私は静かに答える。
「いいえ。お義父様はあなたたちをしていたからこそ、これ以の罪をねさせないために、全てを私に託したのです。あなたたちが自分ので汗をかいて働くびをらず、ただの資産をい潰すだけのになってしまったこと。お義父様はぬほど悔されていました」
私はベッドで震えている苗さんに線を移した。
「お義母様。あなたが私に言った言葉、覚えていますか。『あなたはなんだから、1円もあげるわけない』。あの言葉を聞いた、私はしいというより、どこかほっとしたんです。ああ、これでようやく私も佐藤の呪いから解放されるんだと」
苗さんが骨ばったで私のの裾を掴もうとする。
「ゆき、お願い助けて。私にたくないわ。あの薬、あのいお薬をもう度打ってちょうだい」
私はそのを見ろした。
「あのお薬は、私の父が残した特許をもとに、私の会社が研究費をして発したものです。
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父の会社を奪い、父のを狂わせた々に、その恩恵を受ける権利はありません」
苗さんの目が驚愕で見かれた。
「ええっ……」
父の特許。
それは義父でさえも解できなかった未完の技術だった。
それを私が引き継ぎ、密かに完成させていたのだ。
私はを見渡した。
「皆様。これから皆様には本当の獄をわっていただきます。おもなく、もなく、位もない。ただ自分たちが犯した罪のさだけを背負ってきていくのです」
私は苗さんのを静かに振り払った。
健さんたちの叫び声を背で受けながら、私は病をた。
「ゆき、待て、待ってくれ」
廊を歩く私の取りは、羽がえたように軽やかだった。
しかし、病院のに向かう途、私はある物と鉢わせした。
それは、から急遽帰国したばかりの、私の夫、彦だった。
彦の目はしみとある決に満ちていた。
彼がどちらのを選ぶのか。
病院の自ドアから歩にたところで、私は夫の彦と対峙していた。
夕の、灯のに照らされた彼の顔はひどく疲れ果てているようにも、あるいは何かから解放されたようにも見えた。
私は静かに尋ねた。
「彦さん、いつ本に」
彦は声を震わせながら答える。
「今朝成田に着いた。そのまま病院へ向かおうとしたんだが、弁護士から連絡があってね。
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実が変なことになっていると」
彦は私の目を見つめた。
「ゆき、君がやっていることは、全て父さんの……親父の指示なのか」
私はゆっくりと頷いた。
「お義父様の遺志であり、私の志でもあります。彦さん、あなたはどちらの方なのですか」
沈黙が流れた。
彦は佐藤の次男。
本来であれば兄の健さんや弟の夫さんと共に、私を責めてる側にいてもおかしくない。
しかし、彼はゆっくりと首を振った。
「方なんて、そんなおこがましいことは言えない。ただ、俺はっていたんだ。親父がの際にどれほど悔していたか。そして、君に全てを託そうとしていたことも。俺がに残り続けていたのは、本にいると兄貴たちやお袋の欲に巻き込まれて、君を助けられなくなるとったからだ」
彦の言葉に、私の胸の奥がくなった。
彼はっていたのだ。
義父の罪も、そして私の父との関係も。
彦は続ける。
「俺はの座を通じて、親父が隠していた第の資産の理をしていた。ゆき、君に渡されたあのホワイトリーフ社の株だけじゃない。親父は君の父親、誠さんの名で、スイスのに莫な信託資産を残していたんだ。それを君に引き継がせるために、俺はあっちで続きをしていた」
私は驚いた。
「え、初でした」
お義父様は私に会社の経営権だけでなく、父、誠の名を冠した本当の遺産までも残してくれていた。