"「一円もやらない」姑と二十六億円の遺言" 第18話
誠さんは君のお母さんをからしていたからね。拒絶された屈辱から彼女は親父を抱き込み、会社を乗っ取るように仕向けたんだ。そして親父と結婚して佐藤の女帝の座に収まった」
あまりにも醜悪な、しかし筋の通った真実だった。
義母が私をあれほどまでに嫌い、排除しようとした理由。
それは私の顔を見るたびに、自分が犯した過の罪と拒絶された屈辱をいしていたからだったのだ。
彦は続ける。
「親父は涯その罪悪に苛まれていた。だからこそ、誠さんの娘である君を正当な継者として呼び戻したんだ。苗さんに本当の復讐をするために」
私は震える声でつぶやいた。
「復讐……」
お義父様は私を使って、お義母様を裁こうとしたのですね。
私は自分のが震えているのに気づいた。
私が今まで受けてきた仕打ち。それはかつて私の父が受けた裏切りの、形を変えた再現だったのだ。
彦は私に古い通の封筒を差しした。
「、お袋の病へってこれを渡してほしい」
それは30以、私の父、誠が素良を理由に苗さんに突きつけた解雇通だった。
「これを読めば、彼女は理解するはずだ。自分がどれほどい所から落ちたのか。そして自分が何も持っていないであったことをね」
私はその黄く変したをしっかりと受け取った。
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義母の苗さんは、自分が16億円のと10億円のを息子たちの嫁に分け与えることで、自分を施す側の者だとい込んでいた。
しかし、その資産そのものが、彼女がかつて盗もうとして失敗したものの残骸だったのだ。
混乱はいよいよ頂点に達しようとしていた。
を失い、夫を失い、プライドを砕された恵子さんと美咲さん。
そして自分が番軽蔑していた嫁にの全てを握られていることをらされる義母。
私は彦を見つめた。
「彦さん、私、で会いにきます。お義母様と決着をつけてきます」
私の決に、彦は黙って頷いた。
その夜、佐藤の豪邸からはかりが消えた。
代わりに病院の般病棟の片隅で、絶望に震えるの老女のすすり泣きが晩響いていた。
翌朝、私はで病院の般病棟を訪れた。
4部の入りにつと、苦しい空気と消毒液の匂いがをつく。
カーテンの隙から見える苗さんの姿は、昨よりもさらにさく、痩せ細って見えた。
苗さんは怯えた声をげていた。
「誰?誰なの?く、く私をここからして。恵子さんは、美咲さんはどこ」
苗さんは目隠しをされたままを彷徨うような状態だった。
私は無言でカーテンをけ、彼女の枕元にった。
私の顔を見るなり、苗さんの瞳に微かな期待のが宿る。
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「ゆき、ああ、ゆきさん。来てくれたのね」
彼女は震えるで私の首を掴もうとしたが、私はそれを静かにかわした。
「お義母様、し昔のお話をしませんか」
苗さんは焦ったように言う。
「昔の話?そんなのどうでもいいわ。それよりあの薬を、あれを打たないと私はんでしまうわ。あなたおを持っているんでしょう。お義父様から盗んだおがあるんでしょう」
をにしてもなお、彼女は奪われたという被害妄のにいた。
私は鞄のから、枚の古びた封筒を取りした。
「お義母様、あなたがゆきはだと仰ったあの。私はある確信を持ちました。あなたは私のに、あのの面を見てずっと怯えていたのですね」
苗さんのきがピタリと止まった。
「あの?何を言っているの」
私は静かに告げる。
「私の実の父、誠です。あなたは自分がかつて、私の父が経営していた会社の社員だったことを息子さんたちにも隠し通してきました。それどころか、自分は名の令嬢で、お義父様に見初められて結婚したのだと、30以も嘘をつき続けてきた」
苗さんの顔から、急速に血の気が引いていくのが分かった。
「な、なんでそれを……」
私は封筒のから、黄く変した枚のを差しした。
「これをご覧になりますか」
それは私の父、誠の直の署名が入った解雇通だった。
理由欄にはこうある。
『度なる経理データの改ざん、及び経営者への適切な誘惑為による秩序の乱れ』