"やさしい義母の消しゴム" 第6話
という奴隷契約のような内容だった。
真由美さんは、私が恐怖と従順さから、言われるがままにサインすると確信している目で見つめてくる。
私は瞬、困惑したように眉をひそめ、それから堵したような笑みを浮かべた。
「……お義母さん、ありがとうございます。私、本当に数字にくて……哲也さんにもいつも叱られていたので、お義母さんが代わってくださるなら、こんなにいことはありません」
「そうでしょう、そうでしょう! やっぱり麻美ちゃんは素直でいい子ね」
私は真由美さんから万を受け取ると、迷いのないつきで署名欄に名をらせた。 そして、彼女が引きしから取りしてきた「私の実印」を受け取り、慎に朱肉をつけて押印した。
――ぽん。
静かな音がリビングに響く。
真由美さんは、その印をまるで宝物でも見るような爛々と輝く目で見つめ、素く類を自分のバッグへと仕い込んだ。
「よし、これでね! 今の夕飯は、私が特製のスキヤキを作ってあげるわね!」
真由美さんはウキウキとした取りで台所へ向かっていった。
私は自分の指先についた朱肉を、ティッシュで静かに拭き取った。
(お義母さん。あなたが今、に入れたとったその類……)
あの委任状の末尾に、私が図に混ぜ込んだ「特定条件の自無効化条項」
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と、形式の備。 法な識のない真由美さんが気づくはずもないその「欠陥」こそが、彼女が私から資産を奪おうとした決定な「図横領の証拠」となる。
毒をむフリをして、相に杯を握らせる。
台所から聞こえてくる義母のこげ茶のハミングを聞きながら、私はたい満に包まれていた。
委任状をに入れてからの真由美さんのきは、加速という言葉すらぬるいほど破の勢いだった。
彼女はもう、私に対して「隠す」ことすらやめ始めていた。
曜の朝。私が洗面所で顔を洗っていると、脱所のドアが触れもなくいた。
「麻美ちゃん、ちょっとごめんなさいね。洗面台の鏡の裏、掃除させてもらうわ」
真由美さんは私を押しのけるようにして、鏡裏の収納スペースをけた。 そして、私が用していたスキンケア用品や化粧品を、迷うことなくゴミ袋へと放り込み始めた。
「あ、お義母さん……それ、まだ使っているんですけど」
「ダメよ、麻美ちゃん。こういう無駄な化学物質が入った化粧品を着けているから、肌も荒れるし、精神にも定になるの。これからは私が買ってきた無添加の馬油だけを使いなさい」
真由美さんが棚に置いたのは、ドラッグストアの処分品コーナーで売られているような、価な油脂の瓶だった。
私の敏肌にわせて皮膚科で処方してもらっていた価な化粧も、切にしていたリップも、すべて黒いゴミ袋のに消えていく。
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「それから、これ」
真由美さんが差ししたのは、内の療内科の診察券だった。 氏名欄には、私の名が几帳面な字でき込まれている。
「私、先に相談しておいたから。麻美ちゃんが『い対恐怖と度の抑うつ状態』だって。来週から毎週通うのよ。丈夫、診察費用も私が管理してあげるからね」
通院歴の捏造。 彼女は私を完全に「精神疾患の患者」として類に仕てげ、社会な発言権を完全に奪うつもりだ。
「……ありがとうございます、お義母さん。私、自分の病気に気づけていませんでした」
私は力なく微笑み、診察券を両で受け取った。
真由美さんは「素直な子は好きよ」と満そうに私の頬を撫で、ゴミ袋を抱えてっていった。
◇
そのの午、私は「体調良で部からられないな嫁」を演じながら、を澄ませていた。
リビングから、真由美さんと誰かの話し声が聞こえてくる。 来客は、同じマンションの理事を務める男性だった。
「――ええ、そうなんですのよ、理事さん」
真由美さんの、痛な、今にも泣きしそうな声が廊に響く。
「麻美ちゃん、最は部に閉じこもりきりで……には声をげたり、ベランダから物を投げようとしたりすることもあって。所の皆様にご迷惑をおかけしないか、私、配で夜も眠れませんの」