"やさしい義母の消しゴム" 第12話
かつて彼女が「聖母」として崇められていたOG会の会ので、彼女は錠をかけられ、のように惨めな姿で連されていった。
集まっていた域の名士たち、元同僚たち、所のたち。 全員が、酷な蔑みの目で真由美さんを見送っていた。
彼女がをかけて築きげた「完璧な世体」と「聖母の仮面」は、その、完全に崩壊し、度と修復能なレベルで社会にしたのだった。
静まり返った「会議B」には、ただ哲也の荒い呼吸音だけが響いていた。
警察官に連されていく真由美さんの鳴は、ホテルの廊の奥へと消えていった。かつて彼女を「聖母のようなお義母さん」と持て囃していた域の名士や元同僚たちは、蜘蛛の子を散らすようにそのからちり、誰として彼女を庇う者はいなかった。
t哲也はに膝をついたまま、呆然と私を見げていた。その顔からは血の気が完全に引いている。
「あ、麻美……嘘だろ? 母さんが逮捕されるなんて……そんなの、俺の仕事はどうなるんだよ? 会社にられたら、俺、世どころか居所がなくなる……!」
彼はどこまでも自分の保しか考えていなかった。妻がどれほど追い詰められていたかではなく、自分がこれから社会からどう見られるか、それだけが彼のを占めていた。
「世、ですか」
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私はややかに見ろした。
「哲也さん。あなたが現お勤めの堅ハウスメーカー、その主取引先である建築資材ファンドの最資者が誰か、ごじですか?」
橘先がスッと差しした類のロゴを見て、哲也の目がきく見かれた。
「わ、が社の株主の親会社……!?」
「ええ。グループの関連信託です」
橘先が静かに告げた。
「あなたが『卒の無力な嫁』と見していた麻美お嬢様の声で、ご自の社内での信用も、今のキャリアも、すべて再評価されることになります。当然、実の母親が印私文偽造および巨額詐欺の容疑で逮捕されたという事実は、コンプライアンス、会社側にも正式に通されます」
「ひっ……! や、やめてくれ! 麻美、頼む! やり直そう! 俺が悪かった! 母さんの言いなりになっていた俺がバカだったんだ! これからはおを番に切にするから!」
哲也は必の形相で私のチュニックの裾にしがみつこうとした。
私はそのを、歩引いて静かにかわした。
「やり直す? 何をですか?」
「全部だよ! 夫婦だろ!? 、緒に暮らしてきたじゃないか!」
「夫婦……。そうですね。でも、あなたがしていたのは『麻美』ではなく、『あなたの自尊を傷つけない、言いなりになる無力な女』でした。そしてあなたが守りたかったのは、母親が作った『理の庭』というだけです」
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私はバッグから、用していたペンを取りし、テーブルのの『婚協議』に自分の名を署名した。旧姓の「麻美」として。
「世田のマンションの所権は、もともと私の婚資産からをしたものです。ローン残の清算および、私名義の保証関係の完全解除続きはすべて橘先に委任してあります。あなたには、今週末までにあのからてっていただきます」
「、てくって……俺はどこへけばいいんだよ!?」
「りません。お母様の残した千万円の借と、警察への対応、そしてご自の今の活……すべて、おで考えればよろしいのではないでしょうか」
橘先が、哲也のに『退通告』と『損害賠償請求』を置いた。
「ご署名いただけないは、即座に裁判所へ産渡しの断仮処分を申請いたします。ご自の柄が拘束されないうちに、続きを済ませることをくお勧めします」
哲也は震えるでペンを握り、ガタガタと歯を鳴らしながらサインした。 彼のプライド、キャリア、まい、そして「完璧な族」という見せかけの幸せは、瞬にして音をてて崩れった。
「失礼いたします」
私は度も振り返ることなく、会議のドアをけた。
ホテルのロビーへると、の澄んだたいが頬を撫でた。 着せられていたくすんだグレーのチュニックを脱ぎ捨て、のに用されていた、自分のお気に入りの質なコートを羽織る。