"旅館のバグを直した退職SEと十歳上の美人社長" 第5話
突然クビになっても困るやつばかりで……」
そう言うと、彼女は呆れたようにさくため息をついた。
彼女は俺の顔をまじまじと見つめて言った。
「あなた、お好しすぎない?」
そう言われ、俺はし首を傾げて考える。
「そうですかね。なんか、同僚のみんなが暗く沈める顔見るのは嫌だったから」
俺はきっぱりと言い切った。
「自分で決めたことなんで、悔はしてないです」
そう言うと、彼女の角ががり、ニヤリとする。
「本当にお好しね。でも、そういうの嫌いじゃないわ」
こんな美しい美女から直接そんなことを言われて、俺は急に恥ずかしくなり慌てる。
「いや、まあ……」
俺は照れ隠しに、自分の本音をこぼし始めた。
「今の会社って、システムを作ってはろくにテストもせずにすばかりで、最のチェックがすごく雑なんですよね」
俺は元のコーヒーカップを見つめながら言った。
「俺、本当はもうし丁寧な仕事をしたいなってずっとってて……」
俺は自嘲気に笑った。
「ま、偉そうなこと言っても、再就職の当てはまだ全然ないんですけどね」
初対面の彼女ので慌てながら紡いだその言葉は、俺自も識していなかった俺の本当の本音だった。
この旅館で、俺の作ったシステムがお客様のために何の問題もなく使われているところが見たかった。
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でも、今俺が実際に見たのは、バグに遭遇して女将さんが困る景だ。
もっと会社全体でチェックをねていれば、あんな単純なバグは納品に確実に潰せたはずだった。
それくらいの、本当に初歩なうっかりミスだ。
俺が仕事のことを考えて浮かない顔で考え込んでいるのもってからずか。
目のの美女は、突然嬉しそうに「気に入った」と言って、パンと両を打った。
俺が何のことか分からずきょとんとしていると、彼女は自分のカバンから名刺入れをす。
そして、1枚の名刺を取りし、俺のにスッと差しした。
そこには『黒彩佳』と綺麗な字でかれていて。
さらにそのの肩きには、なんと……
「えっ、社……!?」
俺が名刺の文字に驚いて彼女を見つめると、彼女は自信に満ちた笑顔を向けた。
「ええ。私、20代のに自分でシステム会社を起こして、今そこそこの業績をあげている会社の社なの」
彼女はウィンクをして、悪戯っぽく笑った。
「黒彩佳と申します。私のことは彩佳さんって呼んでね」
と、フレンドリーな笑顔で自己紹介し、最はビシッとウインクで決めた。
俺が突然の展に困惑していると、美女はそのまま俺に尋ねた。
「あなたのお名は?」
と聞かれたので、俺も慌てて自分の名刺をしながら名乗った。
「井夜です」と答える。
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彩佳さんは俺の名刺を受け取り、ニヤリと笑った。
「夜君。実はさっきのパソコントラブル、あなたを試したの」
彩佳さんは自分のノートパソコンをポンと軽く叩いて言う。
「あ、やっぱりあの謎のファイル……」
俺が納得してそう言うと、彩佳さんは楽しそうに笑った。
「そう、私の自作自演。やっぱ気づいた?」
彼女は自げに種かしをした。
「で適当に作ったダミーのファイルを、わざと裏で埋め込んだの」
そう言われ、俺はし呆れて顔をしかめる。
「俺を試したって……」
俺の満げなしかめっ面に、彼女はし居まいを正した。
彼女は真剣な差しで俺を見た。
「カウンターでの女将さんとのやり取りを見てて、すぐ分かったのよ」
彼女は俺の技術力をく評価してくれた。
「あなた、システムエンジニアとしては結構な凄腕でしょ。あとは、あなたの本当の柄が見たかったの」
彩佳さんはふんわりと微笑んだ。
「カウンターで慌ててる女将さんを見て、自ら駆けつける点でいいなのは分かってたけど。全く見ずらずの私のことも、無条件で助けてくれるのかなって」
そう言われ、俺は彼女の真っ直ぐな言葉にドキドキしてしまう。
彩佳さんはを乗りし、俺の目を見つめた。
「実は優秀なエンジニアをヘッドハンティングするつもりだったんだけど、退職予定なら話がいわね」
彼女は魅力な笑顔で、俺に提案した。
「ねえ、うちの会社に来ない?仕事のやりがいは絶対に保証するわよ」