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"「ただいま」と笑う夫を家族全員で無視した" 第7話

あまりの酷さに耐え切れなくなった私は、そのの夕方、配して様子を見に来てくれた晃に対し、堪えきれずにその事実を愚痴としてこぼしてしまった。

私の話を聞いた晃の表は、りで完全に凍りついていた。 「……あいつ、今、寝にいるんだな?」 晃は静かな、しかし殺気を孕んだ取りで寝のドアを乱暴にけ放った。

「おい、久史! いい加減にしろよ!」

ベッドから顔をした久史に対し、晃は胸ぐらを掴みげんばかりの勢いでりを叩きつけた。

「自分の娘が命の危に瀕しているに、連絡つ返さないなんて、父親以としてあり得ないだろう! お体何様のつもりなんだ!?」

晃自、幼い頃に父親をくし、母子庭ので母親が女つで必に育ててくれた苦労を誰よりもっている男だった。母親に謝しつつも、ではずっと「父親という」に憧れを抱き続けていたと、以私にも話してくれたことがあった。 「自分がもし父親になれたら、どんなことがあっても絶対にが子を孤独にはしない」――そう誓っていた晃にとって、久史の極まりないネグレクトは、断じて許すことのできない冒涜だったのだ。

「子供にとって、父親のがどれだけ特別か、おは分かってないのか!? それを……おは父親として何をしているんだ!?」

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声を浴びせられた久史は、鬱陶しそうにを掻き、笑いを浮かべて晃をねめつけた。 そして、私のを疑うような、最悪の暴言を吐き捨てたのだ。

「……ハッ。子供、子供ってうるせえんだよ。だったらさ、おがこのブスと結婚して、未優の父親にでもなってやればいいだろ?」

「……お、自分が何を言っているのか分かっているのか!?」 晃の腕が、りでプルプルと震えていた。 だが、久史は悪びれる様子もなく、嘲笑をめて言葉をねた。

「うるせえよ! 俺はな、子供なんて産んでくれって頼んだ覚えは度もねえんだよ! こいつが勝に妊娠して、勝に産んだんだ! だったら、自分で勝に育てるのが筋ってもんだろうが!」

その瞬、私ので、何かが完全に砕け散った。 結婚する、あの映画館の帰りで、夕暮れの灯ので「温かい庭を築こう」と赤くなって語りっていた未来。あのの言葉は、すべて嘘だったのか。 目のにいるこの男は、私だけでなく、が子である未優のことすら、最初から望んでなどいなかったのだ。

胸の奥底で、久史に対するや、かつて抱いていた微かなの残滓が、完全に消滅していくのをじた。 残ったのは、たい氷のような虚無と、い軽蔑だけだった。

「……晃さん、もういいわ」 私は震えるで、今にも久史を殴り倒しそうになっていた晃の腕をそっと引いた。

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「このに何を言っても、無駄よ。言葉の通じる相じゃないわ」

私は久史に背を向けた。この男に期待することは、もう度とない。そうに誓った瞬だった。

それから数ヶが経った頃、久史は突然、リビングで枚の類を私に突きつけてきた。 「来から、方の営業所へ転勤することになったから」

「えっ……? こんな急に転勤なんて、どうするの? 私たちも引っ越しの準備を――」

「おたちはついてこなくていい」 久史は私の言葉を即座に遮った。 「俺は単赴任する。もう向こうのアパートも契約してあるから。おたちはここに残れ」

相談も、事の報告すらもなく、久史は勝に単赴任を決めていた。 だが、そのの私は、引き止める気すら起きなかった。 むしろ、未優にたい線を投げつけ、庭の空気を悪くするだけの久史と物理れて暮らせることは、私と未優にとって好都ではないか――そうえたからだ。

実際、久史がいなくなった活は、驚くほど平穏で、精神にも遥かに楽だった。 未優ときりの毎は慌ただしくもおしく、「この子を私が派に育てげてみせる」という覚悟が、自然と私の背く押してくれるようになっていた。

――しかし。 この単赴任こそが、久史が周到に仕組んだ、さらなる巨悪の始まりだったのだ。

久史が単赴任先へと旅ってから、最初のは、これまで通り夫婦の共座へ活費が振り込まれていた。

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