"「ただいま」と笑う夫を家族全員で無視した" 第8話
しかし、異変が起きたのはヶ目に入ったのことだった。
毎、活費を引きすためにのATMへ向かった私は、記帳された通帳の数字を見て目を疑った。 振り込まれていた額が、これまでの分の――賃と費を支払えば、元には数千円しか残らないような、雀の涙ほどの額に激減していたのだ。
慌てて帰宅した私は、震えるで久史の携帯話へと話をかけた。 数回のコールの、ダルそうにた久史に、私は必に問いかけた。
「ちょっと、久史! 今の活費、どうしてこんなにないの!? 何か振り込みのミスでもあったの!?」
すると受話器の向こうから、久史の憮然とした声が返ってきた。
「ミスなわけないだろ。今から、実に仕送りをすることになったんだよ。だから、おたちに渡す活費を減らすしかないんだ」
「実に……仕送り? 体どうして急にそんなこと――」
「親父のだよ! 経営が急激に悪化して、資繰りがショートしそうなんだ! 実の両親の活がちかなくなってるんだから、男である俺が支えるのは当然だろ!」
「で、でも……! 私と未優の活だってあるのよ!? こんな額じゃ、未優のオムツ代も、乳の材料費すら払えないわ!」
私の痛な叫びに対し、久史は酷無に言い放った。
「だったら、おがパートにるなり何なりして自分で稼げばいいだろうが! 専業主婦にあぐらをかいてんじゃねえよ! いざとなれば、くのおの親に泣きついてを無すれば済む話だろ!」
広告
「そんな……っ!」
「文句があるならを使うな! じゃあな!」 ガチャリと方に通話を切られ、私は呆然と受話器を握りしめたままち尽くした。
あまりにも急で、理尽な仕打ちだった。 だが、経営者である義父のの話をされてしまっては、嫁のからごなしに否定することもできない。途方に暮れた私は、そのの夜、再び晃に連絡を取り、事の経緯を相談してみることにした。
所のファミリーレストランで話を聞いてくれた晃は、腕を組んでく考え込んでいた。 「……確かに、久史の親父さんのが経営難に陥っているという噂は、俺のにも入っている。業界全体の況もあるし、資繰りが苦しいのは本当だろう。……まあ、あいつが本当に実に仕送りをしているかどうかまでは俺には分からないが、あいつ自、父親のことは尊敬していたし、両親を助けたいという気持ち自体は嘘じゃないのかもしれないな。……ここは度、あいつの言葉を信じて様子を見てみるしかないんじゃないか」
幼馴染である晃がそう言うのであれば、私としても久史の言葉を信じるしかなかった。 だが、信じることと、々の活を維持することは別問題だった。 通帳の残は刻刻と減っていく。未優を飢えさせるわけにはいかない。追い詰められた私は、自宅から自転で分ほどの距にある型ホームセンターのレジ打ちのパートに応募し、週に、働くことを決したのだ。
広告
まだ歳にも満たない幼い未優を置いて働きにることは、母親としてを引き裂かれるような罪悪を伴った。 しかし、「きていくためには、これしか方法がないのだ」と自分に言い聞かせるしかなかった。
未優を預ける保育園はすぐには見つからず、私は悩んだ末、で分ほどの所にむ義母にをげ、パートのの数だけ未優を預かってもらえないかとお願いした。 久史からは「男の子を産まなかったからっている」と聞かされていたため、きたがしなかったが、背に腹は代えられなかった。 しかし、実際に訪ねてきた義母の態度は、酷く刺々しいものだった。
数の勤務を終え、汗だくになってアパートへ戻ると、リビングで未優を抱いていた義母が、私を見るなり皮肉たっぷりの笑みを浮かべて嫌を放ってきたのだ。
「あらあら。こんなにまださくてい子をに押し付けて、体どちらの殿方と楽しく遊んでいらっしゃったのかしらねぇ?」
「……え? 遊んでいただなんて、とんでもありません! 私はホームセンターでパートの仕事をしていたんです!」