"臨月に捨てられた女医、18年後の審判" 第3話
「医学な事実だろうが。齢産にどれほどの染体異常や発育リスクが伴うか、医師である俺が番よくっている。最初から、期待なんてこれっぽっちもしてないさ」
医師の免許を持つ夫が、何ら医学な根拠もないまま、ただ自らの勝な都と失望から、胎内のが子を呪うような言葉を平然と吐き捨てる。 信じられないいで夫の顔を見つめたが、かつて私を優しく抱きしめてくれた面は、微も残っていなかった。
そのを境に、私の活は完全なる孤無援の獄へと変貌した。 ごとにくきくなっていくお腹を抱えながら、私はたったで産への準備をめなければならなくなったのだ。
俊彦が定期健診に付き添ってくれることは度となくなった。 「次の健診、緒に病院へけないかしら……?」と私が懇願しても、彼はネクタイを締め直しながら酷く面倒そうに吐き捨てるだけだった。 「忙しいに決まってるだろう! 病院の副院としての激務がどれだけ変か、元医師のおなら分かるはずだろ!」 そう言って背を向け、度として同することはなかった。
ベビーベッドや児用の肌着を見にこうと誘っても、「そんなものはネットで適当な物を買っておけ」とたくあしらわれた。 彼の帰宅はにに遅くなり、付が変わるどころか、朝帰りすることも珍しくなくなった。
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勤の彼のワイシャツの襟元から、微かに漂ってくる私のものではない甘ったるいの匂い。 かつては無造作に置かれていたスマートフォンが、いつのにか厳なパスコードでロックされ、浴にまで持ち込まれるようになった常。
黒い疑の染みは、私ののでじわじわと、確実に広がっていった。 そして、その疑の染みが私を完全にみ込む決定な瞬は、臨を迎えたある凍てつくの夜、最悪の形で訪れたのである。
夜を回った頃、玄関の鍵がき、酒の匂いを漂わせた俊彦が帰宅した。 私はソファからちがり、きなお腹を両で支えながら、震える体を必で押さえつけて彼のにちはだかった。
「……あなた、浮気をしているでしょう。お願いだから、隠さずに正直に話して」
私の張り詰めた問いかけに対し、俊彦は驚くどころか、まるでその言葉を待ち望んでいたかのように、醜悪な歪んだ笑みをその元に浮かべたのだ。
「ああ、やっと気づいたか。本当に察しの悪い鈍な女だとっていたよ。ちょうどいい、俺からもおに話があったんだ」
彼は罪悪の欠片すら見せず、むしろ誇らしげに、いとも簡単にすべてを状した。
「俺の病院の内科にいる、直美っていう護師だよ。代半ばで若くてくて、おみたいなシワだらけのババアとは違いだ。
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……しかもな、彼女、妊娠したんだよ」
ので、ブツンと音がして考が完全に止した。 いつ陣痛が来てもおかしくない臨のお腹を抱える本妻の目ので、夫が若いを孕ませたことを誇らしげに語っている。 呆然自失となり、声すらせない私を見ろしながら、俊彦はさらに残酷な言葉をねた。
冒の、あの言葉だった。
「しかも男の子なんだとさ。だから責任を取って、俺は彼女と再婚することに決めた。おとは婚だ」
責任――。 私とお腹の娘に対する責任を問うた私に対し、彼は「齢女の産む障害児かもしれない娘と、若くて健康な直美が産む健康な跡継ぎ息子、どっちが事かなんて比べるまでもないだろう」と言い放ち、らかに笑い声をげたのだ。 そして、奥から現れた義両親もまた、を取りって息子の貞と隠し子のを「でかした!」と祝福した。
「今すぐこれにサインしろ」
目のに突きつけられたのは、すでに俊彦の署名と捺印が済まされた緑の婚届だった。 私の荷物をまとめるすら与えられず、財布と母子帳、わずかなの回りの品だけをハンドバッグに詰め込まれ、私は臨の体つのまま、を捧げて尽くしてきた武田の敷から、酷に叩きされたのである。
バタン、とな玄関ドアが閉ざされ、内側から鍵がかけられる属音が響いた。