みかん小説
本棚

"汚れた手と呼んだ義母へ" 第10話

雅代が慌てて割って入った。

「な、何をおっしゃるの! 義父様が暴れて怪をしないように、お医者様が親で処方してくださったのよ! あなたのような介護士にとやかく言われる筋いはありませんわ!」

齢者に対する過剰な薬物拘束は、誤嚥性肺炎や止を引き起こす極めて危険な為です。それどころか、本の尊厳を著しく踏みにじる『齢者虐待防止法』における確な虐待・ネグレクトに該当します」

恵子の言葉は、容赦なく佐伯の隠された醜悪な真実を暴きてた。

崇の顔から堵の笑みが消え、代わりに凶暴な悪が宿った。

「……坂本さん。言葉を選びたまえ。々は京都の医療を支える佐伯グループだ。たかが施設のでの処方プロセスを、部のが『虐待』などと捏造してもらっては困るな」

「捏造ではありません。臨データと投与痕、バイタル記録がすべてを証しています。私ども域包括支援センターは、公関としてこの事実を見過ごすことはできません」

恵子はハッキリと言い放った。

「本に、京都府医療監督局および齢者福祉課に対し、本施設における違法な過剰投薬および齢者虐待の疑いに関する正式な『緊急評価報告』を提いたします」

「何だと……!?」

崇の顔が、恐怖とりで般若のように歪んだ。

広告

もしそんな報告政に提されれば、察どころではない。医療監査が入り、グランドメゾン京都の営業止、さらには佐伯医療グループ全体の信用失墜と……すべてが泡と消えるのだ。

崇は恵子との距を詰め、威圧するように見ろした。

「坂本恵子……いい気になるなよ」

崇の声は、い唸り声となっていた。

「おたちのような底辺の介護士が、私に歯向かってどうなるか分かっているのか? 私は京都府医師会の幹部とも、労省の元官とも太いパイプがあるんだぞ。もしその報告枚でも部にでみろ……」

崇は恵子の元で、殺気った囁きを吐き捨てた。

「おの所属する支援センターへの政補助を即座に全額カットさせ、センターごと首にしてやる。それだけじゃない。おの介護福祉士資格の剥奪続きを取り、度とこの関で介護の仕事ができないよう、業界から完全に抹殺してやる! 娘の美咲さんの護師免許だってどうなるか分からんぞ!」

卑劣極まりない権力による脅迫。

雅代は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、翔太はまたしても父親のろで震えながら目を背けていた。

しかし、坂本恵子は歩も引かなかった。

脅迫に晒されながらも、その瞳には切の恐れはなく、ただ正義とプロとしての揺るぎない誇りだけがく輝いていた。

広告

「脅迫のつもりですか、佐伯常務」

恵子の声は、静寂の広がるVIPルームにく響いた。

崇の放つ刺すような威圧を真っ正面から受け止めながら、恵子は歩も退かなかった。それどころか、にしていた評価シートのファイルを胸元で静かに抱え直し、崇の目をまっすぐに見つめ返した。

域の福祉施設に対する補助カットや、個の資格剥奪をにされるとは……医療グループの職におられる方が、自らの過失を隠蔽するために権力を振りかざす。それこそが、何よりの非であり、社会な信用を自らドブに捨てる為だとはお考えになりませんか」

「き、貴様……!」

崇の顔が朱に染まり、拳がりで震えた。

「私たちは、政から委託を受けた専職として、目のの患者様の命と尊厳を守る義務があります。健郎様に施された過剰投薬の事実、および適切な管理状況は、ありのまま報告させていただきます。それが私の仕事であり、譲れない線です」

恵子の言葉には、いささかの迷いもなかった。の現で培われた圧倒な信が、崇の威圧を完全に無力化していた。

その、ずっと壁際で黙っていた翔太が、弾かれたように美咲の腕を掴んだ。

「美咲! ちょっと来てくれ!」

「きゃっ……して、翔太さん!」

翔太は半ば引に美咲を VIPルームの、静まり返ったエレベーターホールへと連れした。

に美咲を押しやると、翔太は必の形相で美咲の両肩にしがみついた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: