"汚れた手と呼んだ義母へ" 第13話
何事もなかったかのように振るい、社交界での位を保とうとしていたのだ。
しかし、会に入った瞬、周りの空気が凍りついた。
これまで雅代の周りに群がっていた名の奥様たちが、骨に体を背け、囁きい始めた。
「あら……佐伯様ですわよ」
「まあ、よくお顔をせますことですわね。お義父様を豪華な施設に閉じ込めて、薬漬けにして暴れさせていたんですって?」
「まあ、恐ろしい……『級介護』なんて謳っておきながら、裏ではそんな虐待を……」
「うちの親類にも、佐伯グループの病院から転院するよう勧めましたの。いつどんな目に遭わされるか分かったものじゃありませんわ」
雅代の顔から、さっと血の気が引いた。
「み、皆様……何を根拠のない噂を……! がは被害者なのですわ! あの等な介護士の女が誇張して——」
雅代が言いかけた、かつて最も親しくしていた老舗企業の社交界の鎮が、ややかな線を向けた。
「佐伯様。政の処分が正式に決定したと伺いましたわよ。これ以、見苦しい言い訳はおやめなさい。伝統ある京都ので、そのような徳を働く方とお付きいすることは、がの名誉に関わりますの」
「そんな……! お待ちになって、皆様!」
雅代が伸ばしたを振り払い、奥様たちは示しわせたように蜘蛛の子を散らすようにっていった。
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雅代は、華やかな会の真んでち尽くした。
「病原菌」「の程をれ」とを見してきた雅代自が、今や京都の社交界から完全に「病原菌」として排除されたのだ。雅代は屈辱と絶望のあまり、そのに崩れ落ちた。
そして、佐伯翔太にも厳しい現実が突きつけられた。
学病院の医局。
翔太は直で、教授からの酷な言い渡を聞いていた。
「佐伯翔太先。君の実が運営する施設で起きた違法投薬問題、並びに政処分の件、層部でも非常にく受け止めている」
「き、教授! あれは父の施設の専任医師が勝に入った処置で、僕には直接の責任は——」
「君もあの現にち会い、政への虚偽報告を作しようとしていたそうじゃないか」
教授のたい言葉に、翔太は言葉を失った。
「来期の助教授昇の話はとする。それから、本院での臨勤務は解任だ。から、過疎域にある系列の沿岸部診療所へ赴任してもらう」
「そんな……! 方の診療所だなんて! 僕は循環器内科のエリートとして——」
「文句があるなら辞表をしなさい。だが、この状況での学病院が君を受け入れるとうかね?」
翔太の膝がガクガクと震えた。
名の御曹司としての位も、約束されていたキャリアも、贅沢な暮らしも、すべてが崩れった。自分のでとうとせず、族の権力に甘え、切なを裏切り続けたツケが、気に押し寄せてきたのだ。
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その夜。坂本のマンションのに、ので濡れそそぐ翔太の姿があった。
インターホンが鳴り、美咲が画面を確認すると、そこには髪を振り乱し、泣きじゃくる翔太の姿が映っていた。
『美咲! 美咲、頼むからけてくれ! 僕が悪かった! 君の言う通りだったんだ! 父さんも母さんも狂っていたんだ! 僕には美咲しかいないんだよ!』
スピーカー越しに届く翔太の声は、れなほどに壊れていた。
『全部失ったんだ! 助教授のも、本院でのも……! でも、美咲とやり直せるなら、僕は普通の医者としてやり直す! だからお願いだ、僕を見捨てないでくれ!』
美咲は画面のの男を静かに見つめた。
かつては好きだった面すら、今の翔太には残っていなかった。苦しいに誰かのせいにし、状況が悪くなれば泣きついてにすがる。どこまでも根底から貧しい男だった。
美咲はインターホンのマイクのボタンを押した。
「翔太さん」
『美咲! けてくれるのか!?』
「いいえ。これは、あなたが自分で選んだき様の結果です。もう度と、ここへは来ないでください」
「美咲! 美咲ぃぁぁっ!」
美咲は躊躇なく通話ボタンを切り、インターホンの源をオフにした。
からはしばらく翔太の泣き叫ぶ声が聞こえていたが、やがて静かな音のに消えていった。
美咲は胸のにを当て、ゆっくりとく呼吸をした。
議と、しみはなかった。