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"頭金300万を1万円にした婚約者の末路" 第3話

「咲良、ちょっと驚いちゃってさ。自分のおも入ってたから、詳しい話を聞きたいって」

登紀子は淹れたての緑茶を私のにコトンと置くと、優雅に微笑んだ。 その目は笑っていなかった。品定めをするように、私の毛先から元までをく細めた線でなぞる。

「ああ、あのおのことね。悠馬から座の管理を任されたって聞いて、本当に頼もしい息子に育ってくれたと涙がましたよ。ねえ咲良さん、これを見てちょうだい」

登紀子は私の正面に回り込み、図面をトントンと指先で叩いた。 「ほら、ここが階。私の膝が悪いでしょ? だから玄関から段差を全部なくして、リビングはい切って畳に広げるの。システムキッチンはドイツ製の最級のものを取り寄せることにしてね。お友達を呼んでお茶会をするのに、今のキッチンじゃ恥ずかしいから。あと、奥のを防音仕様にして、昔習っていたおの部にするつもりなのよ」

鮮やかなパース図には、贅を尽くした階のシニア向けプレミアム空が描かれていた。 「……あの、お義母さん」 私は図面から目をげずに尋ねた。 「私たちの居スペースは、どちらでしょうか」

階よ」 登紀子は事も無げに言った。 「階段をがったところのつ。あそこを繋げて、あなたたちの寝にすれば分でしょう? 若いんだから、階段のりくらい平気よね。

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あ、そうそう、階にはさなトイレと洗面台だけ増設してもらうわ。お呂とキッチンは階のものを共すればいいんだから、無駄な事費をかけなくて済むでしょう?」

血の気が引いていくのが分かった。 つ。キッチンもお呂もなく、活のすべてを階の登紀子に握られる構造。 これで「フルリノベーション世帯」などと呼べるはずがない。 ただの「義母の贅沢改装資を拠させられ、階の借りさせられる同居」だ。

「お義母さん」 私は図面からを引き、膝ので指を揃えた。 「単刀直入に申しげます。昨百万円、全額を元の座へ戻してください」

リビングの空気が、ピシリと凍りついた。 登紀子の眉がピクリとがり、悠馬が慌ててを起こす。 「ちょ、咲良! いきなり何言いすんだよ!」

「いきなりじゃないわ」 私は悠馬の制止を無し、登紀子の瞳をまっすぐに見据えた。 「あの百万円のうち、百万円は私が結婚に自分の力で貯めた個資産です。悠馬さんとの共財産でもなければ、佐伯のおでもありません。私の承諾なしにの預へ振り込むことは、法律にも認められません。へ連絡し、をキャンセルしてください」

私の声は、ながら驚くほど静だった。

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は通っている。論ではなく、確な権利の主張だ。 普通の覚を持つであれば、ここで「申し訳なかった、息子から咲良さんの解を得ていると聞いていた」と狼狽するはずだった。

だが、佐伯登紀子は違った。

彼女はゆっくりと湯呑みにを伸ばし、お茶をすすると、い、これ見よがしなため息をついた。 そして、憐れむような、侮蔑の混じった線で私を見ろした。

「……悠馬」 登紀子は私を完全に無し、隣の息子に声をかけた。 「あなた、本当にお見い相違えたんじゃないかしら」

「えっ……母さん?」 「咲良さんだったかしら。あなた、うちの悠馬と結婚して『佐伯の』になる覚悟が、これっぽっちもないのね」

登紀子は笑を浮かべながら、背筋を伸ばした。 「族になるっていうのはね、お互いの持っているものをすべて差しして、つのを守っていくことなのよ。それを『私のお』だの『の預』だの……。取り数万かそこらのOLが必に貯めた端だからないけれど、そんなはしたで恩着せがましく権利を主張するなんて、本当に育ちがれるわ」

「はした……?」 私の声が震えた。悔しさではない。目のの怪物の発言に対する、底れぬ寒気だった。 「百万を、はしたとおっしゃるんですか? 毎残業して、自炊して、将来のために削って貯めたおです。

それを無断で使っておいて、その言いは何ですか!?」

「だから何なのよ!」

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