"頭金300万を1万円にした婚約者の末路" 第10話
佐伯登紀子が嘲笑った「たかが取り数万のOL」の居所は、彼女がうほど無力でも孤独でもなかった。
正午、私は武スカイツリーラインの急に乗り込み、再び埼玉県越を目指した。 き先は佐伯の実ではない。 都ホーム越支。 あの偽造された同が提された、元凶の所だった。
ガラス張りのショールームに入ると、受付の女性が笑顔で会釈した。 「いらっしゃいませ。ご相談でしょうか?」 「営業部の田さんをお願いします。佐伯様邸のリフォームの件で参りました、桐咲良です」
名を告げた瞬、受付の女性の表が微かに張った。昨の話の件が社内で共されているのかもしれない。 数分、奥の応接ブースから、代半ばほどの柄な男性がにてきた。昨、話で話した営業担当の田だった。
「あ、桐様……わざわざをお運びいただき、恐縮です。どうぞこちらへ」
個の応接に通され、されたお茶にはをつけず、私はバッグから持参した類の束を取りした。 田は落ち着かない様子で私の頬の青い痣に瞬線を落とし、すぐに気まずそうに目を逸らした。
「田様、お忙しいところ恐れ入ります」 私は名刺入れから自分の名刺をし、テーブルに置いた。 「私、株式会社オフィス・スペースプランニングで法営業と内装企画を担当しております、桐と申します。
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同業者とまでは申しませんが、事請負契約や設計の続き、資材発注の流れについては通り理解しているつもりです」
田の背筋が、目に見えてピシリと伸びた。 ただの「になって喚き込んできた若い女」ではないと察したのだろう。
「単刀直入にお伺いします。昨メールでお送りいただいた【事同兼連帯債務承諾】ですが、原本を確認させていただけますか」
「あ……はい。々お待ちください」 田は席をち、数分に青いファイルを持って戻ってきた。 テーブルに広げられたA4の類。 そこには、私の名『桐咲良』と、私の旧所、そして朱肉で捺された文判の印があった。
私はバッグから、役所で取得してきたばかりの【印鑑登録証】と、私の【実印】、そして運転免許証を並べて置いた。
「田様。私の本物の跡と、この類の跡を見比べてください。そして、この印鑑登録証の印と、類に捺されている百円均で買える文判の印を照してください」
田は鏡の位置を直し、い入るようにつの類を見比べた。 見る見るうちに、彼の額から脂汗が滲みてくる。
「跡がまったく異なることは目瞭然ですね」 私は淡々と、しかし逃げのないトーンで言葉をねた。 「この類は、佐伯悠馬が私の承諾を得ずに勝に氏名を冒用し、文判を正に捺印した【印私文偽造および同使】の産物です。
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刑法第百条に該当するな犯罪為によって作られた類です」
「そ、そんな……! しかし悠馬様は、ご婚約者様ご本の承諾を得ていると……!」
「その言葉を鵜呑みにして、本確認の話本入れずに着を決めたのは都ホーム様ではありませんか?」 私は田の目をまっすぐに見据えた。 「さらに申しげます。佐伯登紀子名義で貴社の座に振り込まれた付百万円のうち、百万円は私の個座から無断で引きされたものです。現、警察に被害届の提を相談しており、弁護士を通じて預の正流用として当利得返還請求の続きをめています」
田の顔から、完全に血の気が引いていった。
「もし、この偽造類を根拠にして貴社が事を続し、私の個資産からた付を解体費用や違約として費消した、どうなるとわれますか?」 私は帳をき、あらかじめ理しておいた論点を読みげた。 「貴社は『私文偽造によって締結された無効な契約』を認識しながら事をし、の横領被害から当に利益を得たとして、民事の損害賠償請求の対象となります。さらに、コンプライアンス違反として国交通省および埼玉県の建設業指導窓への通報、ならびに貴社本社への正式な抗議文送付をわざるを得ません」