"娘の十七万円を愛人に貢いだ夫の末路" 第8話
夫は、腕を組みながら、娘の顔を見て言った。
「若い頃に、広い世界を見てくるのも、の成には切なことだ。きたいなら、ってみなさい」
なんと夫は、あの直太が、にもあっさりと、拍子抜けするほど簡単に娘の留学を認めてしまったのである。
「えっ……本当にお父さん?」
娘も、信じられないという顔で夫を見つめ返した。
私は、全く予の結果に、文字通り拍子抜けしてしまい、ポカンとをけてしまった。
しかし、すぐに気を取り直した。
あの酷な夫も、のではしは娘の将来のことを真剣に考えてくれていたんだなと。
私は、そのは自分のい込みを恥じ、素直にしたのだ。
私は、夫の嫌や気が変わらないうちに、急いで留学のエージェントに連絡を取り、しっかり準備をめなければともった。
そして、慌ただしい準備期はあっというに過ぎり、私は空港の発ゲートで、希望に胸を膨らませるりりかのさな背を、涙をこらえながら見送ってしまったのだ。
娘が旅った、のはし広く、そして静かになった。
しかし、りりかが留学のために本をったくらいから、私のの回りで、いくつかの穏なことが起き始める。
最初に異変をじたのは、毎の郵便物だった。
がの郵便受けに、私が見らぬ、今まで取引のない融関から、命保険の案内や証券会社の投資の勧誘の封が、異常なほど頻繁に届くようになったのだ。
広告
宛名は、決まって夫の直太だった。
私は、夕のに、テーブルのにその封の束を置き、夫に聞いてみた。
「あなた、最こういう融関係のDMがたくさん届くんだけど、何か当たりある?」
私は、議そうに尋ねた。
すると、夫は箸を置き、チラリと封に目をやった。
「ああ、こういうのはな、名簿業者から報を買った、儲けに汚い連が無差別に配っているんだよ。気にするな」
夫は、面倒くさそうに吐き捨てるように言った。
そして、夫は封筒をけもせずに、全てゴミ箱へと放り投げて捨ててしまった。
普通なら、「ああ、そういう迷惑なものか」と納得して、話はそこで終わってしまうだろう。
しかし、私にはどうしても引っかかる点があった。
私は、夫が毎晩リビングで仕事用の帳にき込みをするに使っている、本のボールペンのに気がついていたのだ。
そのボールペンのクリップ部分には、頻繁にがに封を送ってくる、あの見らぬ融関のロゴが、はっきりと刻印されて入っているのが、ずっと気にかかっていたのだ。
ある夜、夫が呂に入っている隙に、私はテーブルのに置かれた帳とボールペンをじっと見つめた。
「あのボールペンに入っているロゴって、やっぱり最よく来るあの融関のものよね……」
私は、ので点と点を結びつけようとしていた。
広告
単なる偶然だろうか。
いや、私はそこに何か、私のらないなが隠されているのではないかと、女の直でじていた。
それからしばらくのが経ち、々のパートの忙しさに追われるで、私も例の怪しい封のことやボールペンのことなど、すっかり忘れかけていた。
私は、毎レジ打ちのパートに精をし、疲れ果てて眠る活を送っていた頃。
そんなある、ついにの向こうの娘から、待ちに待ったエアメールが届いていたのである。
ポストのでその封筒を見つけた、私は胸が鳴った。
本当は、の主である夫が帰ってきてから、で緒に封をけるべきなのだろう。
しかし、私は本をってから半ぶりに来た、する娘からの初めてのの内容が、どうしても気になって気になって仕方がなかった。
私は、はやる気持ちを抑えきれず、自分の判断で先に封を切って読んでしまうことにしたのだ。
そして、冒のあの面に戻る。
私は、便箋にかれたその内容に、激しく驚愕してしまうことになる。
「え、どういうこと?これ……」
私は、何度も何度もを読み返した。
最まで読み終わった私は、の内容がどうしても信じられず、パニックに陥りそうになりながら、便箋というを裏返したり表にしたりを繰り返した。