"娘の十七万円を愛人に貢いだ夫の末路" 第10話
夫は、画面のの男性タレントに向かって文句を言った。
「こういうのはな、男が女の嫌を取って、女に媚を売っているだけだ。な男がすぎるんだよ」
夫は、ビールをみ、さらに語気をめた。
「女は余計なをさず、黙って男の歩ろを歩いて、静かについてくればいいんだよ。それが本の伝統な庭のあり方だろうが」
夫は、テレビに向かって、いかにも自分が正しいと信じ込んでいるように、偉そうに私見を述べていた。
私は、ソファーの背から夫のその姿をややかに見ろした。
亭主関気取りで、代錯誤な昭の価値観がいつまでも抜けきらない。
私は、自分の実の父親の顔をい浮かべた。
私の父も、確かにそんな古なだった。
私は子供の頃から、父によって散々厳しく、には理尽に躾けられてきた。
母も、そんな気難しい父に逆らわず、懸命にから支えていただった。
しかし、私の父は、どんなに言葉や態度が厳しくても、その根底には、娘の私のことをくしてくれているという確かな実があった。
父は、「親が子供の派な見本とならなければならない」というい信を持ってきていた。
父は、自分自に最も厳しく、決してにれた曲がったことはしない、馬鹿がつくほど正直で器用なだった。
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そう、同じ『亭主関』という板を掲げていても。
今、私の目ので、だらしなくソファーに寝転がっているこの男とは、そののさがとほども違いなのである。
私は、に持っていた布巾をテーブルに置き、ゆっくりと夫のそばにづいた。
「確かに、男のがむやみに女に媚を売っても、仕方ないわよね」
私は、夫の言葉に同調するふりをして、静かにをいた。
「男っていうのは、何よりも真面目で正直で、ズルをしたり曲がったことは嫌いだっていうのが、私の父を見ていてもすごくよくわかるわ」
私は、父への尊敬のを込めて言った。
「族に対して責任を持ち、自分を律する。そういう姿勢こそが、本当のでの亭主関って言うんじゃないかしら?」
私は、夫の顔を覗き込み、わざとらしくそう尋ねた。
夫は、私の言葉を聞いて、し気分を良くしたようだった。
「ふん、そんなことは当たりなんだよ。俺はよくわかってる」
夫は、得げな顔をして言った。
「今の男は、そういう芯がない。こんな腑抜けたことばかりしているから、最の男は女に簡単になめられるんだ。嘆かわしいことだ」
夫は、ソファーのであぐらをかき直した。
「俺は、そこらのチャラチャラした男とは違って、の主として派にを守り、養っている。だからこそ、りりかには、将来困らないように誰よりも厳しく躾けてきたつもりだ」
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夫は、自分の子育てを自画自賛した。
そして、チラリと私を見て、皮肉っぽく付け加えた。
「甘やかしてばかりの、おとは違ってな」
ここに来て、自分の正当性を主張するために、くれた娘のことをダシにして、私に文句を言ってくる夫。
私は、内で煮えくり返るようなりを覚えたが、顔には決してさなかった。
しかし、そうやって悠に寝転がって、偉そうなを叩いていられるのも、今のうちだけだ。
私は、ポケットのにある「あるもの」の触を指先で確かめた。
今に、おはどのがそんな偉そうなことを言えるんだ、というどん底の状況に引き摺りろして持っていって見せる。
私は、目ののこの傲な夫を絶対に屈させ、その汚い偽亭主関の化けの皮を、枚残らず剥がしてやるとに誓っていた。
私は、絶対な証拠を握っているという自信に満ち溢れていた。
私は、自分のスマホをエプロンのポケットの奥にしっかりとしまい直しながら、落ち着き払った態度で夫と話を続けた。
「ごめんなさいね。そうよね。確かに、私は娘のりりかに、し甘すぎたかもしれないわね」
私は、わざとらしくしおらしい態度で、反省してみせた。
「でもね……」
私は、声のトーンを段階げ、氷のようにたい声をした。
「そういうあなたこそ。例の『彼女』には、体どれだけ甘くしてあげているのかしら?」
私は、夫の目を真っ直ぐに見据えた。