"父の形見をゴミと笑った夫と五十億円の引導" 第14話
彼はそう言って、1枚の相関図との送細のコピーを提示した。
「彼が設した架空のコンサルタント会社を隠れ蓑にして、当グループからの事費の部が正にプールされていました」
田部は送先を指でなぞった。
「そしてそこから、彼個の秘密座へ毎定額が還流されています」
細に記載された数字を追っていくと、その額は過3で3億円にっていた。
志は会社にも内緒で、これほどの巨額の裏を掠め取っていたのだ。
自分の実力で稼いだと豪語していたエリートの正体は、ただの姑息な横領犯に過ぎなかった。
「彼個の座記録も、融関からの正式な回答としてすでに裏が取れています」
田部は断言した。
「どんな言い逃れも能な、完全な証拠です」
田部の言葉に、私は静かに頷いた。
しかし、報告はそれだけでは終わらなかった。
「希様、彼がこれほどの裏を捻できた背景には、非常に非ながありました」
田部はファイルをめくり、数枚の面をテーブルに並べた。
それは、志の会社の請けとして実際に現で働いている、さな町からの証言記録だった。
「彼は孫請けの零細業者に対して、原価を割るような当な値げをしていました」
田部は顔をしかめた。
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「その際にわれた話の録音データが、いくつかの業者に残されていました」
田部がタブレット端末を操作し、音声のき起こしテキストを表示する。
そこには、私が10にわたって聞かされ続けてきた、あの酷で傲な言葉が並んでいた。
『言う通りにしないなら、から仕事はゼロだ』
『おらみたいな底辺のは、俺の声でいつでも潰せるんだぞ』
『俺が仕事を回してわせてやっているんだ。文句を言うな』
文字を読んでいるだけで、志の吐き捨てるような声が脳内に再された。
いの職たちを脅迫し、彼らの活を質にして搾取する。
そうやって吸いげたおで級スーツを買い、社の娘と再婚して偉そうに振るっていたのだ。
私の胸の奥で静かだった炎が、ゴウゴウと音をてて燃えがり始めた。
私の父も、油まみれの作業着を着てさな町で黙々と働いていた。
父はグループの未来を担う技術を守るため、誇りを持って底辺の職を演じていた。
志はそんな真面目にきる々を底辺と見し、寄虫のように彼らの血を吸っていたのだ。
「本当に、許せない」
私のから、無識のうちにい声が漏れていた。
志が私を傷つけたこと以に、真面目に働く々を踏みにじったことがどうしても許せなかった。
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私はタブレット端末から目をし、田部を真っ直ぐに見据えた。
「田部、この正の事実をもって、彼らの会社との契約を直ちに破棄することは能ですか?」
私が尋ねると、田部はく頷き、ファイルの番ろにある契約の写しをいた。
「もちろんです。当グループの基本取引契約第18条に定められています」
田部は条文を指差した。
「な背信為や正取引が発覚した、催告なしに契約の即破棄が能です」
さらに、と田部は言葉を続けた。
「過の正によって当グループが被った損害の賠償と、巨額の違約を請求する権利があります」
私は契約の条文をなぞりながら、たい声で確認した。
「違約と損害賠償をわせると、いくらになりますか?」
田部は元の資料を見直し、切の迷いがない声で答えた。
「これまでの被害総額と契約の罰則規定を適用し、50億円になります」
50億円。
堅の設備会社に過ぎない彼らにとって、それは会社をいくつか売却しても到底支払えない絶望な額だ。
「この請求をえば、彼らの会社は即座に資繰りがショートし、違いなく倒産します」
田部がを押すように言ったが、私の決が揺らぐことはなかった。
「構いません。悪質な寄虫には、徹底な駆除が必です」
私ははっきりと宣言し、50億円の違約請求の発を正式に承認した。
これまでの彼らは、うちのグループの板を盾にしてい者たちを虐めてきた。