"「手術は後でいい」三千万円の古希祝いに狂った夫の末路" 第4話
今回の義母である良枝の古希祝いも、最初はささやかな計画だった。
「70歳という節目だから、親戚を集めてし良いホテルで事をしよう」
休のリビングで、孝之がそう提案したのだ。
私は彼に微笑みかけ、から賛成した。
義父がくなってから、良枝はずっと1で実を守ってきた。
広いで寂しいいもしているだろうと、私なりに気遣っていたつもりだった。
けれど、そのささやかな計画はしずつ、そして確実におかしくなっていった。
ある晩、孝之は1枚の見積もりを卓に得げに広げた。
私は夕の片付けのを止め、その類を覗き込んだ。
それは、実の回りを全面にリフォームする業者の契約だった。
「母さんもだし、段差のないお呂にしてやりたいんだ」
孝之は私を見ずに、類を指差して言った。
私はその番の数字を見て、息をんだ。
その額は、軽く数百万円にっていたのだ。
さらに次の週、私がリビングのソファで久美子の入院案内の冊子に目を通していたのことだ。
孝之は分い級のカタログを、乱暴に卓へ投げした。
バサッというい音が部に響いた。
「親戚の目もあるし、母さんが乗るもしいものに買い換えよう」
孝之は腕を組み、満そうにカタログの表を叩いた。
「古い軽自じゃ、みっともない」
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私は元の母の臓の術費用を計算したメモを、そっと隠した。
私が術費用の面にを悩ませているすぐ横で。
彼は何百万という数字を、まるでゲームのスコアのように軽く語っていたのだ。
事会だけだったはずの計画は、いつのにか巨なプロジェクトになっていた。
私は毎晩、卓を叩きながらを抱えた。
ホテルでの宿泊費、親戚への豪華な引き物、リフォーム代、そしての購入費。
全てをわせると、3000万円という恐ろしい額が卓に浮かびがった。
私はその数字を見つめ、目のが暗くなるのをじた。
それは、私たちが定のためにしずつ切り詰めて貯めてきた老資の半分以だった。
私はその度に、付箋だらけの計簿をき、孝之のに置いた。
そして、彼をらせないように静かに説を試みたのだ。
「お義母さんのお祝いは切だけれど、これからの私たちの活もあるわ」
私は彼の目を見つめ、必に訴えかけた。
「万がののための予備費だけは、どうか残しておいて欲しいの」
けれど孝之は、私の言葉をまともに聞こうとはしなかった。
彼は計簿を乱暴にで押しやった。
「男なんだから、これくらい当然だろう」
孝之は私を睨みつけ、声を荒げた。
「親孝できるのも、今のうちだけなんだぞ」
その「親孝」
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という言葉を最の盾にされると、私はそれ以く反対できなかった。
親を切にしたいという彼の気持ちを、正面から否定したくはなかったからだ。
でも本当は、私の胸の奥にはずっと違があった。
私はタクシーの窓ガラスに映る自分の虚ろな目を見つめた。
彼が莫なおを使って守ろうとしているのは、本当に母親なのだろうか。
親戚ので、母親にこれだけのことができる自分を見せびらかしたいだけなのではないか。
私はそのさな疑を、波をてないために胸の奥にく押し込んでいたのだ。
私が孝之を信じようと努力しているにも、事態は悪化していた。
私の母である久美子は、ずっと私に慮を続けていたのだ。
私はカバンのの母の保険証にそっと触れた。
久美子の臓が悪いと分かったのは、ちょうど半のことだ。
それでも久美子は、私の顔を見るたびに首を横に振った。
「私は丈夫だから、孝之さんのご実を優先しなさい」
母はいつも、私をさせるように優しく微笑んだ。
私が実に顔をすたび、久美子は申し訳なさそうに笑うのだ。
「向こうのお義母さんに、悪くわれないようにね」
母は自分の命が縮むかもしれないのに、娘である私の嫁としてのばかりを気にしていました。
私は母のさな背をいし、胸が締め付けられた。
古い財布から銭をし、私の帰りに持たせるお茶を買ってくれるような母だ。