"4500万の城を奪われた夜" 第2話
そういう話でお父さんから連絡がありましたよね。どうして叔母さんと叔父さんまでここにいるんですか? この荷物は何ですか?」
ヶ、実の父親――野宗助から話があった。 『悦子のところの栞が、京の私学を受けることになった。ホテル代も馬鹿にならんし、おの暮らしの部なら部余ってるだろう。週だけ泊めてやってくれ』 葵は当初、激務の最であることから難を示したが、父は『内の助けいだ』『男の娘としてそれくらい当然の義理だ』と執拗に迫った。葵は渋々、物置代わりに使っていた側の畳半を片付け、表妹の栞を受け入れることを承諾したはずだった。
悦子はわざとらしくきなため息をつき、をひらひらと振った。 「まあまあ、そんなにカリカリしないでよ。栞を京にすなんて、親として配でできるわけないじゃない。女の子なのよ? 何かあったらどうするの。だから私たちが付き添うのは当たりでしょ」
「当たり……? 私には何の連絡もありませんでした」 「あんた仕事で忙しそうだったから、気を遣ってあげたのよ。それにほら、敏男さんも最腰を悪くしてねえ。方の田舎じゃ階段のりりも変だし、京のきい病院で度見てもらったほうがいいって話になってね。
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このマンション、エレベーターもあるし適じゃない」
葵は奥歯をく噛み締めた。 「ここは私のです。私の名義で、私がローンを払っている部です。勝に鍵を変えて、断りもなくみ着くのは居侵入と同じですよ」
その瞬、ソファに寝そべっていた敏男がね起きるように体を起こした。 ドスン、とをに叩きつける。
「おい葵! なんだその言いは!」 酒焼けした濁った声がリビングに号となって響いた。 「内が頼ってきてるのに、法律みたいな賢しい利きやがって! 親の妹夫婦に向かって居侵入だと? おをここまできくするのに、俺や悦子がどれだけ兄貴を助けてきたとってんだ! たかがマンションの持ったくらいで、いい気になりやがって!」
「敏男さん、やめてよ血圧ががるから」 悦子が宥めるように割って入るが、その顔には微も申し訳なさなどない。むしろ、夫の恫を利用して葵を圧倒しようとする、の悪い笑みが張り付いていた。
「葵ちゃんね、私たちも別に好きでこんな狭いところに来てるわけじゃないのよ。栞の受験が終わるまで、ちょっと族みんなで支えおうって言ってるだけじゃない。それなのに帰ってくるなり警察汰みたいな物言いして……あんた、そんなたいだったの?」
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「狭いとうなら、今すぐホテルを取ってください。今夜はくのビジネスホテルに泊まって、荷物をすべてまとめててってください」 葵が歩も引かずに言い放つと、奥の寝のドアが静かにいた。
葵のベッドルーム――セミダブルのベッドと、仕事用のデスクを置いたメインの部から、スウェット姿の栞がてきた。葵の用しているダイソンのドライヤーをに持っている。 「……うるさいんだけど。私、も朝から過問解かなきゃいけないのに」
葵は栞の背にある部を見た。 葵が選んだシーツのには見らぬ掛け布団が持ち込まれ、枕元には敏男の老鏡や雑誌が散らばっていた。 「……私の部を使ってるの?」
「あ、葵ちゃん、そこはね、敏男さんの腰が悪いからベッドのほうがいいとって私たちが使わせてもらってるの」 悦子が事も無げに言った。 「栞は側の部にいるわ。葵ちゃんは、ほら、リビングの横のサービスルームがあるじゃない。あそこにクッションでも敷けばくらい寝られるでしょ。独で軽なんだから、それくらい譲りなさいよ」
あの部は、窓もない畳半の納戸だ。 葵が汗垂らして働き、々万円のローンと万千円の管理費を払い続けている自分ので、なぜ主が納戸に追いやられなければならないのか。
血の気が引くと同に、徹なまでの静けさが葵のを支配した。 ここでに鳴り散らしても、この連は屁理屈と被害者面で押し通すだけだ。