"4500万の城を奪われた夜" 第7話
によっては、このマンションを担保にたな借を組まれる危険すらあった。
「実印は入っていません。別の所に保管してあります」 葵はを削ぎ落とした声で答えた。
「あらそう? お兄ちゃんはあそこにあるって言ってたのに」 悦子はあからさまに舌打ちをした。 「ケチケチしないでちょうだいよ。族なんだから。減るもんじゃないでしょ」
「族だからこそ、境界線は必です。それから叔母さん、今朝、父から何か連絡はありましたか?」
「お兄ちゃん? さっき話あったわよ。『葵には俺からよく言っておくから、おたちはして京にいろ』ってね。お兄ちゃんは昔から頼りになるわ。さすが男よね。あんたみたいににてたくなったとは違い」
葵はもう、秒たりともこの女と同じ空気を吸いたくなかった。 「仕事にきます」
「ちょっと、今夜は何に帰ってくるの? 敏男さんのビール、銘柄はプレモルがいいって言ってたから買ってきてよね!」
背に浴びせられる声を無して、葵は部をた。 エレベーターをりると、すぐにスマートフォンの通話を切り、録音データを保した。麻里のアドバイス通り、会話はすべて記録してある。
葵はそのままタクシーを拾い、調布役所へと向かった。
役所階の民課は、平の昼ということもあり、転居や各種証を求める々で混みっていた。
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番号札を引き、分ほど待って窓に呼ばれる。
「野葵と申します。自宅の所に対する、審な転入届の確認と、届の制限について相談したいのですが」
葵は自のマイナンバーカードと、マンションの登記事項証を提示した。 窓の女性職員は、葵のただならぬ様子を察したのか、奥から主任らしき代の男性職員を呼んできた。
個別の相談ブースに通され、葵は事を端に説した。 「私が単独で所し、居している分譲マンションに、親族が無断で侵入・滞しています。本の同がない状態で、私の所を宛先とした転入届や世帯併がされていないか確認したいのです」
男性職員は端末を操作し、眉にい皺を寄せた。 「……野さん。実はですね、今朝番で、ご親族とわれる方――野悦子さんという女性が、窓に来られています」
臓がねた。 「転入届をしたんですか?」
「そうとされました。ご自と、野敏男さん、野栞さんの名分の転入届です。所である群馬県からの転証と、世帯主であるあなたの父親――野宗助さんからの『同居承諾』、それにご親族関係を証する戸籍謄本を持参されていました」
「受理したんですか!?」
「いえ、現点では保留にしています」 職員は落ち着いた声で首を振った。 「窓で対応した職員が確認したところ、この部の登記の所者および現世帯主が野葵さんご本であること、そして提された承諾が父親名義であるものの、同居していない別所の物からのものである点に自然な点がありました。
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ご本の委任状や同の確認が取れなかったため、『世帯主本の確認類がしている』として、度持ち帰っていただいている状態です」
葵はく息を吐きした。や汗が背を伝っていく。 もし役所の職員が形式だけで処理していたら、今朝の点で葵のは法に乗っ取られていた。
父は、群馬の実が差し押さえられることをっていたのだ。 そして、妹を救うために、京で暮らしをしている娘のマンションを差しし、勝に戸籍謄本を取り寄せて承諾まで偽造した。
「職員さん、お願いがあります」 葵はを乗りし、はっきりと告げた。 「私以のから、この所に対するいかなる転入届、世帯変更届、民票の交付申請があっても、絶対に受理しないでください。私は彼らとの同居を切承諾していません。必であれば、警察への被害届や法な申を提します」
「分かりました。民基本台帳法に基づき、実態のない届や正な転入を防ぐため、システムに警告のフラグをてておきます。ご本様が窓に来られない限り、この所への転入続きは切しないようにロックをかけます」