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"4500万の城を奪われた夜" 第9話

が微かに震えていた。だが、それは恐怖によるものではなかった。 元を縛り付けていたい鎖が、音をてて断ち切られたような、たく澄み渡った覚悟の震えだった。

葵はスマートフォンの画面をタップし、瀬川麻里の事務所に話をかけた。

「麻里さん、葵です。役所の続きは止めました。……それと、実の父親とも完全に縁を切る覚悟ができました」

受話器の向こうで、麻里がく息を呑む気配がした。 『……そう。よく腹を括ったわね。向こうの狙いは何だったの?』

「群馬のが競売にかけられています。叔父たちには千万円以の借があり、父は私のマンションを担保にしてを引っ張ろうとしていました。私の机の鍵を抉じけようとしたのも、実印を探すためです」

『完全に線を越えてるわね。……分かった。それなら、こちらもけ容赦なく、かつ最速で追い順に入るわよ』

麻里の声に、プロの法律としての徹な鋭さが宿った。

『葵、あなたのマンション、管理規約はどうなってる? 第者への無断転貸や、区分所者以期滞についての規定があるはずよ』

「規約の第条に、『専部分を宅以の用途に使用すること、および管理組への届なき第者への反復・継続な居の用に供することを禁ずる』という条項があります。

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違反した、理事権限で退勧告および共用部分の使用制限ができるといてありました」

来よ。管理組方につけなさい。個のトラブルだと管理会社は嫌がるけれど、「規約違反の法占者が居座り、タバコのやゴミ放置で災やの危険をじさせている」となれば、管理組としても放置できない。それと、ライフラインの名義はどうなってる?』

「すべて私個の名義で、クレジットカード決済です」

『よし。まずは兵糧攻めと、堀の完全封鎖よ。今にやるべきことを指示するわ。メモできる?』

「はい」 葵はバッグから帳とペンを取りした。 自分のを取り戻すための、厳なカウントダウンが始まっていた。

正午を回った調布駅のファミリーレストランで、葵は瀬川麻里と向かいっていた。 テーブルのには、麻里が事務所から持参したモバイルプリンターで力した数枚の類が広げられている。

「いい、葵。ここからの順は違えちゃダメよ」 麻里は赤ペンで類の項目を指し示した。

「まず提として、親族であっても無償で部を使わせるは、法には『使用貸借(しようたいしゃく)』に該当するわ。今回は『栞さんの学受験のためのの単』という確な目と期提だった。

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にもかかわらず、無断で族全員が移し、部の鍵を改変し、民票の正移転を試み、内の什器備品を破損・汚損している。これは完全な『信頼関係の破壊』による使用貸借の即解除事由になる」

麻里が作成したのは、内容証郵便の文面だった。 宛名は野敏男および悦子。 内容は、使用貸借契約の即解除、および本到達以内の完全退と原状回復の請求。従わないは、法占に基づく渡し訴訟および占移転禁止の仮処分、ならびにあたりの相賃料相当額の損害賠償を請求する旨が、簡潔かつ徹な法技術の言葉で綴られていた。

「これに加えて、士としての私の職印を押した通を、内容証郵便で部宛てに発送する。普通なら郵便局窓から発送して届くのはになるけれど、子内容証(e内容証)を使えば最で今の夕方には配達されるわ。それと並して、同じ文面の写しを玄関ポストに直接投函し、ドアにも渡し用の封筒を挟み込む」

「相が受け取りを拒否したらどうなりますか?」

「内容証は配達証付きで送るから、が入るか受取拒否されても、発送した事実そのものが証拠として残る。民法表示は相方に到達した、あるいは到達し得る状態に置かれたに効力をじるのよ」

麻里は鞄からもう組の類を取りした。 「そして、これが本丸。管理組と管理会社への『専部分正使用および規約違反為に関する申告』よ」

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