みかん小説
本棚

"20万円を惜しんだ子供たちと6300万円の絶縁" 第2話

考えれば考えるほど、選択肢がないことに気づく。

私は線をげ、部の片隅にあるを見つめた。

そして、まれて初めて子供たちに助けを求めることを考えた。

産み、育て、学までした2の子供たち。

今まで1度も、な援助を頼んだことはない。

むしろ、できる限り自してきてきたつもりだ。

私はゆっくりとを伸ばした。

きっと助けてくれるはずだと、私は信じていた。

親子なのだから、困ったは助けうものだとっていた。

私はまず、息子に話をかけることにした。

受話器を取り、何度か呼吸をしてから番号を押した。

コール音が3回鳴った、通話が繋がった。

私はし緊張しながらいた。

「もしもし」

話の向こうから、息子の声が聞こえてきた。

「お母さん」

息子の声は、し疲れているように聞こえた。

背景からは、孫たちの騒ぐ声が聞こえてくる。

私は気遣うように尋ねた。

「今、丈夫かしら?忙しいじゃない?」

息子はし面倒くさそうに答えた。

「ああ、丈夫だよ。どうしたの」

私は言葉を選びながら、ゆっくりと事を説した。

「急な話なんだけど、膝の術が必になってね」

息子の反応を待ちながら、言葉を続ける。

「医者からは、めに術しないと歩けなくなるって言われて」

話の向こうで、息子の息づかいが変わった。

広告

「そうなんだ」

息子の声のトーンが、微妙に変わったのをじた。

警戒するような、距を置くような声になった。

私は勇気を振り絞って、本題を切りした。

「それで、費用が20万円ほど必なの。貸してもらえないかしら」

震える声で、必に付け加える。

「必ず返すから」

い沈黙が流れた。

本当にい、苦しい沈黙だった。

話の向こうから、息子の躊躇する気配が伝わってくる。

やがて、息子がいた。

「お母さん」

私は受話器を握りしめ、次の言葉を待った。

息子は言い訳を探すように言葉を繋いだ。

「それが今、うちも厳しくてさ」

私は黙って息子の言葉を聞き続けた。

「子供の塾代とか、マンションのローンとか々あって」

息子はになって言った。

「本当にごめん」

私は胸が締め付けられるいで、すぐに返事をした。

「そう、ごめんね、無理言って。変なのに」

私は慌てて受話器をからした。

そして、震える指で通話を切った。

受話器を置いた、私はく息を吐きした。

息子には息子の活がある。

それは分に分かっている。

でも、実の母親の術費用すらせないほど、本当に困窮しているのだろうか。

そんな疑問が、の片隅に芽えた。

私は再び受話器を取り、次に娘に連絡した。

娘ならもうし柔らかく対応してくれるかもしれない。

そんな淡い期待を抱いていた。

広告

話は2回のコール音で繋がった。

娘のるい声が聞こえてきた。

「お母さん、どうしたの?珍しいね」

娘はいつもるい声で話してくれる。

私はし希望を持ちながら、事を話した。

「実は、膝の術でおが必になって」

息子に断られたことも正直に伝えた。

「息子にも相談したんだけど、難しいみたいで」

そして、額をげてお願いしてみた。

「10万円でも、貸してもらえないかしら」

娘の反応は、予いものだった。

「ええ」

娘はし困ったような声をす。

「お母さん、今は旅の予約入れちゃったし」

私は黙って娘の言葉を聞いた。

「来費がなってて、ちょっと今は無理かな」

娘はあっさりと断りの言葉をにした。

「ごめんね」

あまりにもあっさりとした拒絶だった。

の予約という言葉が、私の胸にく刺さった。

私は無理にるい声を作って答えた。

「そう、分かったわ。ごめんね」

娘との会話を終わらせようと、急いで付け加える。

「また連絡するね」

娘は軽い調子で返事をした。

「じゃあね、お母さん」

娘はすぐに話を切った。

ツーツーという発信音が、部に虚しく響いた。

受話器を置いた私のは、刻みに震えていた。

話を切った、私はけなかった。

のソファに座ったまま、ぼんやりと井を見つめていた。

界が歪み、涙が1粒、2粒とこぼれ落ちた。

私は両で顔を覆い、静かに泣いた。

子供たちを責める気持ちにはなれなかった。

それぞれに事があるのだろうと、自分に言い聞かせる。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: