"妻を崖から突き落とした義家族と300億円の婿" 第12話
疲労と急激なの変化で、泣き疲れて眠ってしまったのだろう。
私は信号でを止めるたびに、部座席に置かれた古びた宝くじの箱へ線を送っていた。
救急のドアが閉まる直、ゆいは命より切に抱えていたあの箱を、震えるで私に託したのだ。
「誠君、これをあなたに預けるわ。私には使い方が分からなかったけど、これがあればきっと……」
彼女は言葉を最まで紡ぐことなく、鎮静剤の効果で眠りに落ちていった。
この汚れたプラスチックの箱に、体どんな力が隠されているというのか。
今の私にはまだ分からなかった。
だが、彼女が半命がけで守り抜いたものを、私は絶対に無駄にはしないと誓っていた。
が方都のへ入ったところだった。
カーナビの画面に着信の表示が点滅した。
あんなを起こさないよう、スピーカーの音量を絞る。
通話ボタンを押す。
「私だ。ゆいの搬送は無事に完したか?」
私がい声で問いかける。
話の向こうで佐々が素く答えた。
「はい。代表。奥様を乗せた両はすでに県境を越えました。青葉病院の特別と、各科の専医たちによる最準の医療チームが待しております」
「ありがとう、佐々。これでようやく慮なく奴らを潰せる」
私の声にたいりが混じっているのをじ取ったのか。
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佐々の声もまた、切のを排した事務なものへと変わった。
「対象となる義父殿の会社に対する、当ファンドからの300億円の融資契約を確認いたしました。即全額引きげの条件はクリアできるか、問題ありません。契約条項第15項『経営陣によるな違法為または反社会為が発覚した』、代表の権限で即座に括返済を求めることが能です」
佐々の言葉を聞きながら、私は方のを見据えた。
たく笑った。
「彼らの現の財務状況で、300億円のキャッシュを即用できるはずがないな」
「おっしゃる通りです。メインバンクからの追加融資もすでに打ち切られており、々が資を引きげた瞬、あの会社は即倒産となります」
義父たちは、自分たちの会社が盤であり、方の経済を牛っていると信じて疑っていない。
だが、その実態は数からのであり、倒産寸の状態だったのだ。
3、彼らの会社が資繰りに窮し、あちこちにをげて回っていた期があった。
その、彼らに300億円という巨額の救済融資をった資系ファンドの本代表。
それが、彼らが無能なの男と見してやまない私の本当の姿だった。
私はゆいと結婚する際、彼女に余計なプレッシャーを与えたくなくて自らの分を隠した。
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ただの平凡な会社員として振るっていた。
義父たちにも当然、私の正体などかしていなかった。
もし私が巨ファンドの代表だとれば、彼らはゆいへの態度をのひらを返したように変えるだろう。
のためには私を利用しようと群がってくることがだったからだ。
私はゆいとあんなとの平穏な活だけを望んでいた。
裏の顔を完全に封印してきてきた。
その私の沈黙と優しさが義父たちのを育てた。
あろうことか、ゆいの命を奪おうとする最悪の凶を引き起こしてしまった。
私はハンドルを握るに力を込めた。
自らの愚かさをく呪った。
だからこそ、これからの私はただの優しい夫や父親であってはならない。
法との力で、悪魔の息の根を止める酷な神としてち回らなければならないのだ。
「佐々、警察の配はどうなっている?」
「すでに警察庁の層部へ根回しを済ませております。殺未遂及び特別背任の容疑として、県本部の捜査員数名が私で敷の周辺を包囲しつつあります」
「見事だ」
私は頷いた。
「私が図をすまで絶対に悟られるな。奴らには、自分たちが勝者だと確信した最もい所から、獄の底へ落ちてもらう」
「承いたしました。代表、どうかご武運を」
通話が切れ、内には再び静寂が戻った。
義父たちが最も切にしている会社の経営権、族の巨額な財産、そして域での絶対な権力と世体。