"19年間の嘘を暴いた1枚のDNA鑑定書" 第20話
その言葉に鮫島は卑た笑いを漏らし、ポケットからサバイバルナイフを取りした。
「ああ、来てもらおうじゃねえか。まずはおの喉をかき切ってから、その自のガキ共も残らず獄に送ってやるよ」
鮫島がギラリとるナイフを振りげ、真由の首筋に狙いを定めたその絶体絶命の瞬。
「その汚いをせ!」
宗が獣のような咆哮をげながら、暗からびした。
彼はに持った鉄パイプを力の限り振り抜き、鮫島の腕を打する。 予期せぬ奇襲に鮫島は苦悶の声をげ、ナイフを取り落としてずさった。
だがくにいた鮫島のが角材をに宗へと襲いかかってきた。
を過ぎた老いぼれの体。 しかし宗は歩も引かなかった。
全に叩きつけられる角材の痛みにうめきながらも、彼は真由のにち塞がり、そのを盾にした。
「宗さん!だめ、逃げて!」
真由が鳴をげた。 だが宗はの端から血を流しながらも、どこか嬉しそうに笑った。
「逃げる?もう分だ。ずっと逃げ続けてきた。今度こそ、今度こそ俺が君を守るんだ」
その言葉と宗の鬼気迫る姿が、鮫島のりの炎にさらに油を注いだ。
「に損ないが!そんなににたいのなら望み通り先に送ってやる!」
鮫島はに落ちたナイフを再び拾いげると、宗の腹部目掛けて突き込んできた。
広告
宗はそれを避けるそぶりにも見せず、むしろその刃をそので受け止めようとした。
その刹だった。
倉庫の井のガラスが派な音をてて砕け散り、ロープを伝って武装した特殊部隊員たちがしてくる。 同に倉庫の巨な扉が内側から破壊され、湊を先にした警備チームが斉に突入してきた。
「母さん!」
子供たちの叫び声と共に閃弾が炸裂し、倉庫内は瞬にしてと音の獄と化した。
鮫島は最の悪あがきとばかりに、くにいた真由に向けてナイフを振りろした。
その、ほんの数秒の瞬。
宗が弾かれたようにそのを投げし、真由をく抱きしめてその刃を背で受け止めた。
「ぐはっ……!」
鈍い音と共に、神崎宗の背に突きてられたナイフが彼の肉をくえぐった。
宗は苦痛に満ちたうめきを漏らしながらも、腕に抱いた真由をそうとはしなかった。
彼の体から噴きした々しい血が、真由のいブラウスを見るに赤黒く染めていく。
犯の鮫島は予期せぬ抵抗に瞬ひるんだが、すぐにに返り、さらに力を込めてナイフを押し込もうとした。
だがその凶は、駆けつけた湊のりに燃えた蹴りによって阻まれた。
湊の撃は鮫島の顎を確に捉え、彼は数メートル先まで吹きばされる。
広告
そして髪入れずに突入してきた警備チームによってに顔を押し付けられ、きを封じられた。
倉庫内の制圧は、ものの数秒で完した。
しかしそのに訪れたのは勝利の堵ではなく、血の匂いがち込める苦しい沈黙だった。
結束バンドを解かれた真由は、を忘れて血のに倒れゆく宗の体を抱きしめた。
「あなた、バカな!どうして、どうしてこんなことを!」
宗は霞んでいく界ので、必に真由の顔を探した。 そして彼女が無事であることを確認すると、堵したように微かに笑った。
彼は血に濡れたで彼女の頬に触れようとしたが、そのが自らの汚れた血で染まっていることに気づき、寸のところできを止めた。 自分の汚れが彼女に移ってしまうことを恐れたのだ。
「怪は……ないか?よかった……。本当によかった」
宗は自分の脇腹から止めどなく流れる血には切構わず、ただひたすらに真由の否だけを気遣っていた。
その姿は、かつての傲で自己な財閥の総帥ではなく、ただする女性の無事を願うの男の姿そのものだった。
「父さん!」
慧が絶叫にい声をげながら駆け寄ってきた。
彼は持参した救急キットをくと、震えるで宗の傷を確かめ始める。
神のを持つと称された才科医。
しかし目ので夥しい血を流しているのがの誰でもない、自分の父親であるという現実は、彼の静さを容赦なく奪いっていた。