みかん小説
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"妻の手術日に3000万奪った夫の代償" 第5話

奴らは、国の楽園へのフライトに胸を躍らせている。

もはや奴らはではない。を持たぬ、純粋な悪魔だ。

ご苦労だった、御子柴。 引き続き、奴らが空港に着くまで監を頼む。

話を切り、私は静かにがった。 は自然と病院へと向かっていた。

のドアをそっとけると、紬は窓のの暗をぼんやりと眺めていた。 気配に気づき、私の方を振り向く。 その顔はと恐怖で青く、痛々しいほどに痩せこけていた。

お父さん……。眠れないの。

私はベッドの傍らのパイプ子に腰掛け、紬のたいを両で包み込むように握った。 氷のようにたい、そのさな。 こんなにもか細いで、娘はたった、病という巨な敵と戦っているのだ。

怖いんだ。 もし、目が覚めなかったらどうしようって……。

震える声で告げる娘に、私は精杯の穏やかな声で答えた。

丈夫だ。本で番の先が執刀してくれる。 父さんも、ずっと傍にいる。 術が終わったら、美しいものでもべにこう。何がべたい?

……お父さんの作った、卵焼きがべたいな。

わかった。世界で番うまい卵焼きを作ってやるからな。

私たちは、もない話を続けた。 だが、私のは穏やかな会話とは裏腹に、凍てついた面のようにに静まり返っていた。

このか細いを握りながら、私は、こので奴に婚届にサインをさせるのことを考えていた。

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この優しい娘を、悪魔どものから完全に解放する、そののことを。

やがて紬は、眠薬が効いてきたのか、穏やかな寝息をて始めた。 私は娘の額にそっとキスをすると、静かに病にした。

嵐は、すぐそこまで迫っている。

そして運命の

私はへと続くい廊の、たいプラスチックの子に座っていた。 ひんやりとした空気が首筋を撫でる。

、紬はストレッチャーに乗せられ、の扉のへと消えていった。

怖いよ、お父さん。

震える声で私のを握った娘の触が、まだ指先に残っている。

丈夫だ。父さんがここにいる。

そう言って送りした私の声は、果たして麻酔に落ちていく娘のに届いただろうか。 ただ、の扉のにある赤いランプを見つめるだけのが、永のように続く。 臓が鉛のようにい。

そのだった。 スーツのポケットに入れていたスマートフォンが、静かに震えた。

取りして画面を見ると、御子柴からのメッセージだった。 添付されていたのは、枚の写真。

そこに映っていたのは、これから獄へ落ちることもらず、満面の笑みを浮かべるの悪魔だった。

級ブランドの袋をいくつもぶらげ、えんじのパスポートをに、成田空港の発ロビーで肩を寄せっている。

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その背景には『DUTY FREE』という文字が、皮肉なほどはっきりと見えていた。

私はスマートフォンの画面を指でなぞった。 写真のの奴らの、欲望にまみれた笑顔。 そして、ゆっくりと目を閉じた娘の苦悶。

その全てが脳裏で交錯する。 静寂に包まれた病院の廊で、私は誰にも聞こえない声で静かに呟いた。

始めようか。

のランプが無質に点灯している。 その赤いは、まるで命の残りを告げる砂計のようだ。

私はただひたすらに祈っていた。 特定の神にではない。娘の命力そのものに。 そして執刀医の確かな腕に。 このたい廊で私にできることは、それしかなかった。

どれほどのが経っただろうか。 永にもえる沈黙の、私のスマートフォンが再び震えた。

御子柴からの定報告か。あるいは桐からの準備完の連絡か。 私は祈りの邪魔をされたことにわずかな苛ちを覚えながら、震えるでそれを取りした。

画面に表示された通を見て、私の臓がきくねた。 それは予していた誰からのものでもなかった。

Instagramの通。 発信者のアカウント名は『Rena_Y』。翔太の妹、玲奈だ。

なぜ、今?

嫌な予が、背筋を氷の指でなぞるように駆けがった。 私は吸い込まれるように、その通をタップする。

表示されたのは、枚の写真。 その写真を目にした瞬、私の周りから世界のと音が完全に消え失せた。

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