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"妻の手術日に3000万奪った夫の代償" 第14話

復讐はまだ終わってはいない。 これは娘の再のための、必欠な儀式に過ぎないのだ。

窓ので、枚の葉がキラリと枝かられ、に乗ってがった。 それはまるで、過との決別を告げ、しい未来へと旅つ娘の魂のように、私には見えた。

たい空気が肌を刺す、方裁判所の最もきな法廷は、傍聴で埋め尽くされていた。 テレビカメラが並び、聞記者がペンをらせる。 世の注目を集めた保険横領事件の判決公判が、今始まろうとしていた。

私は娘の紬の隣で、被告席に線を送っていた。 紬のは、緊張のためか氷のようにたい。 私はそのを、力く握りしめた。丈夫だと、無言で伝えるために。

やがて法廷の扉がき、被告・結翔太が刑務官に連れられて入廷した。

数ヶまで自信に満ち溢れていたその顔には、もはや見るもない。 髪は伸び放題で、目のにはい隈が刻まれている。 着ているグレーのスウェットは、彼の痩せこけた体にはきすぎ、まるで借り物のようだった。

翔太は傍聴席にいる私たちに気づくと、瞬びくりと肩を震わせた。 その瞳が、助けを求めるように々しく揺れる。 しかし紬は、その線から逃げることなく、真っ直ぐ静かに彼を見つめ返した。

その瞳には、もはや憎しみも、りさえもなかった。

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ただ、い断絶だけが横たわっていた。

裁判が静かに入廷し、法廷はを打ったような静寂に包まれた。 分い判決にした裁判は、ゆっくりと、そして厳かに読みげ始めた。

「主文。被告、結翔太を、懲役に処する」

その言葉が響き渡った瞬、法廷内に傍聴たちのどよめきが広がった。 実刑、そして求刑通りの満額判決。 それは司法がした、最限に厳しい断罪だった。

翔太は、そので糸が切れた操り形のように、ガクリと膝から崩れ落ちた。 嘘だ、と声にならない声が、その唇から漏れる。

裁判は崩れ落ちる翔太を瞥することもなく、判決理由を淡々と読みげていく。

「被告は、病に苦しむ妻を献に支えるべきにありながら、その信頼を裏切り、治療費となるべき保険を騙し取った。 そのは極めて自己かつ悪質であり、酌量の余はない。 さらに、妻が命がけの術を受けているまさにそのに、族と共にへ逃し、SNSでこれを誇示するなど、その倫にもとるものと言わざるを得ない。 被害者が受けた精神苦痛は、計りれないものがある」

言が、罪となった男にい鉄槌のように振りろされていく。 紬は、判決の言葉をただ静かに聞いていた。 その頬を、筋の涙が伝った。

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それはしみの涙ではない。 かった悪が、ようやく終わったことを告げる、解放の涙だった。

判決言い渡しが終わり、刑務官に両脇を抱えられて退廷していく翔太の姿を、私たちは最まで見送った。 彼は最まで、こちらを振り返ることはなかった。

婚も、この裁判と並してめられ、すでに正式に成していた。 慰謝料は、翔太が横領した保険と同額の千万円。 凍結されていた座から、全額が紬の元へ返還されることも同に決定した。

も、族も、社会位も、そして自由も。 翔太は、その全てを失ったのだ。

私たちが裁判所をると、待ち構えていた報陣が再び殺到してきた。 だがその喧騒の、私の目は、垣の向こうにいるのみすぼらしいを捉えていた。

雅美と玲奈だった。

かつての華やかさは微もなく、汚れた物のコートにを包み、寒さに震えている。 その姿は、の公園に棲みついたれな活者そのものだった。

は報陣の壁を掻き分けるようにして、私たちのに駆け寄ってきた。 そして次の瞬目も憚らず、たいアスファルトの座をしたのだ。

紬さん! お願い! どうか翔太を許してやって! おなら、私たちがかけて働いて返すから! だからどうか……!

雅美と玲奈が、泣きじゃくりながら面に額を擦り付けて懇願する。

その無様で見苦しい姿。周囲のカメラが斉にその景を捉えた。

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